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スカラ Research Memo(10):2030年6月期に売上収益5,000億円、営業利益500億円目標(2)

注目トピックス 日本株
■スカラ<4845>の今後の見通し

(3) 経営数値目標
経営数値目標としては、2025年6月期に売上収益1,000億円、営業利益100億円、2030年6月期に売上収益5,000億円、営業利益500億円を打ち出した。2019年6月期の売上収益が171億円、営業利益が21億円なので、既存事業だけではなく新規事業への展開や、事業エリアも国内だけでなく海外も視野に入れて展開していくことを視野に入れている。事業セグメントとしてはケイパビリティごとに分類している。

a) 価値創造経営支援事業
価値創造経営支援事業では、価値創造総合アドバイザリー(コンサルティング)やエンゲージメントファンド※、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)、投資家向けコミュニケーション支援サービス等が含まれ、これら事業に関しては専門性の高いスキルが要求されるため、外部パートナーと契約して事業展開していくことになる。実際に事業展開する子会社の(株)スカラパートナーズも2019年7月に設立しており(出資比率100%)、10名程度のスペシャリストとパートナー契約を結んでいる。

※エンゲージメントファンドとは、投資先企業のコミットメントが長期投資家のコミットメントと同じようになるように双方向で話し合い、必要な際には取引先や顧客の紹介、M&A案件の提案など投資先企業の経営支援やアドバイスも行う投資ファンドを指す。


スカラパートナーズでは、クライアント企業とともに、未来を見据えた革新的な新規事業の立ち上げを推進するCSVイノベーション事業、起業家の発掘、起業支援、企業育成サポートを行うCSVインキュベーション事業、潜在的な企業価値向上の可能性を探り、出資を通した事業育成、投資、価値創造コンサルティング等を行うCSVインベストメント事業の3つの事業を展開していく予定となっている。当面の注力分野は、「食と健康、医療、教育、環境、地方創生、金融」の6分野でこれら領域の企業や研究機関、自治体等とともに、AI/IoT技術を活用しながら企業価値の向上、あるいは社会問題を解決することに注力していく。

また、投資家向けコミュニケーション支援サービスでは2019年9月にジェイ・フェニックス・リサーチ(株)を完全子会社化することを発表しており、同社を通じて展開していく予定だ。ジェイ・フェニックス・リサーチでは証券アナリストの視点から統合報告書や証券アナリストレポートの作成、価値創造経営アドバイザリー業務を行っており、売上規模は直近で約60百万円となっている。今後は同社と共同でIT/AI/IoTを活用し、企業価値向上に資するサービスを展開していくことになる。既に、AIを活用した証券アナリストレポートの自動生成システムの開発に着手している。

売上収益目標は2025年6月期で300億円、2030年6月期で1,800億円としている。CSVイノベーション事業に関してはいかに大企業の顧客を獲得していくことができるかが成長のカギを握ることになる。

b) IT/AI/IoT関連事業
IT/AI/IoT関連事業については既存事業の延長線となる。売上収益目標は2025年6月期で600億円、2030年6月期で2,200億円としている。2025年6月期までの6年間の年平均成長率で見ると23%成長となる。ソフトブレーンでも2021年12月期から始まる次期3ヶ年中期経営計画では売上高で年率20〜30%成長を目標としており、同社のSaaS/ASP事業の成長性や新規事業への展開等も考慮すれば、十分射程圏内と言えるだろう。

今後の取り組みとしては、SaaS/ASPサービスの提案型ソリューションの展開とAI/IoTソリューションの導入支援だけでなく、事業を拡大していくための基盤となるエンジニアの育成、大企業とベンチャー企業とのマッチングサービス、知識創造サイクルのための新たなコミュニケーションツールの開発などに注力していく。エンジニアの育成では、2018年に支店を開設したミャンマーで現在、20名程度のエンジニア育成を行っているが、2〜3年後には数百名規模まで拡大していくことを計画している。

c) 社会問題解決型事業
社会問題解決型事業では、発展途上国での保険・教育環境の整備、環境問題、地方創生に関わる事業などを展開し、売上収益目標は2025年6月期で100億円、2030年6月期で1,000億円としている。

発展途上国の保険整備に関しては、ミャンマー支店でモデル事業として一部スタートしている。ミャンマーでは病院が少なく保険制度も未整備のため、風邪の治療で1回3万円の費用が掛かるため、病院に行かず症状を悪化させる患者も多い。このため、食の面から健康増進活動を推進してパーソナルヘルスデータをスマートフォンアプリ等を介して収集する仕組みづくりを行っている。これらビッグデータを広範囲に収集することができれば、保険データの基盤となり保険ビジネスを事業化していくことが可能となる。事業化する際の資金はエンゲージメントファンドや政府からの助成金等を活用し、実際のサービスは保険会社と共同で進めていくことになる。

環境問題では、バイオテクノロジーによる資源循環理論をもとに、課題データベースやリソースデータベース、マッチングアドバイザリー機能を備えた総合情報プラットフォームを立ち上げ、関連する団体や研究機関、大企業等と連携しながら事業を展開していく予定にしている。

また、地方創生では国内及び海外の地方都市を対象に、各自治体や地域金融機関、中小企業と連携し、地方文化の承継問題を支援し、地域活性化に取り組んでいく。具体的な計画はまだないものの、人材/マネタイズ/文化発信のためのマッチングプラットフォームや、若手人材ネットワーク、地方文化継承者ネットワーク等を構築し、事業展開していくことを想定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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