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プラッツ Research Memo(7):レンタル市場向けに介護用ベッドが順調に販売を伸ばし、増収増益で着地

注目トピックス 日本株
■業績の動向と今後の見通し

1. 2019年6月期決算の概要
プラッツ<7813>の2019年6月期決算は、売上高5,940百万円(前期比6.9%増)、営業利益236百万円(同78.9%増)、経常利益405百万円(同24.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益292百万円(同21.2%増)と増収増益となった。

期初予想との比較では、売上高は380百万円(6.0%)、営業利益は74百万円(23.8%)それぞれ予想を下回ったが、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益はほぼ期初予想の線で着地した。

主力の医療介護用電動ベッド事業は、高齢化社会の進行で要介護者数が増加基調をたどる中、売上高は前期比6.8%増の5,939百万円となった。販売市場別動向の詳細は後述するが、メイン市場の福祉用具流通市場向けが同9.3%増となり全体を牽引した。一方、家具流通市場と海外市場は前期比で減少した。

一方利益面では、売上高が前期比6.9%増収だったのに対して売上原価の増加が同3.3%に抑制された結果、売上総利益は同13.4%の増益となった。売上総利益率は2018年6月期の35.4%から2019年6月期は37.6%に上昇した。販管費は同8.7%増と売上総利益の伸びを下回ったことから営業利益は前述のように同78.9%増となった。営業利益率は2018年6月期の2.4%から2019年6月期は4.0%に上昇した。

売上原価の伸びを低く抑えることができた最大の要因は、介護用ベッドの中でボリュームゾーンを担うMioletシリーズの新製品『Miolet III』が一段と低コストモデルとなったことだ。2018年11月の発売で8ヶ月だけの貢献だったが、設計や材料・パーツなどを大幅に見直した効果が出たとみられる。

期初予想との比較では、売上高は医療・高齢者施設市場と海外市場の売上が想定を下回った。売上高の未達に伴い、営業利益も計画を下回ることとなった。しかし経常利益は、営業外収益に計上した為替差益(49百万円)と持分法による投資利益(121百万円)が想定を上回ったことから、ほぼ期初予想の線での着地となった。

福祉用具流通市場向け売上高は前期比9.3%増の4,681百万円となり、期初計画の4,670百万円を上回った。新商品の『Miolet III』が主要販売先であるレンタル事業者・レンタル卸事業者から好評をもって迎えられ、売上高を伸ばした。過去の例でも新製品の投入は顕著な増収をもたらしている。2019年6月期は投入のタイミングが2018年11月で8ヶ月だけの貢献だったが着実に結果を残したことで2020年6月期への期待が高まる結果となった。

医療・高齢者施設市場向け売上高は前期比1.8%増の947百万円となった。期初計画の1,170百万円を下回り、全社ベースの売上高が計画未達となる一因となった。病院などを対象とする医療用ベッドの販売は事業開始後日が浅く、絶対数も少ないため順調な拡大が続いている。一方、このセグメントの大部分を占める高齢者施設向けの介護用ベッドの販売は、施設数の増加ペースにブレーキがかかりつつあることに加え、同社の営業体制上、レンタル事業者向け営業担当者が兼任していた関係でどうしても後手に回りがちという事情もあり、販売を伸ばしきれなかったとみられる。

家具流通市場向け売上高は前期比9.8%減の150百万円となり、期初計画に対しても下回った。この市場は通常の家具流通市場で販売されている介護用ベッドを、介護認定を受けていない健常者が生活の質向上のために、自費で購入する市場だ。同社自身横ばい〜緩やかな成長を見込んでいる市場であり、2019年6月期はそれに沿った結果だったと言える。

海外市場の売上高は前期比11.1%減の160百万円にとどまった。期初計画の320百万円の半分の水準であり、全社売上高の計画未達の大きな要因となった。同社は2018年6月に上海偉賽と業務提携し、それに基づき3年間で10,000台の介護ベッドを販売する計画を立てていた。しかしながら米中通商摩擦や中国の景気不透明感などを背景に資金源であったファンドからの資金計画が変更となり、介護用ベッドの販売が進まなかったことで大幅未達となった。

同社は社内ベンチャーとしてフィットネス事業を立ち上げ、福岡市東区に女性限定の5,000円フィットネスジム『プレイサ』第1号店を、2019年3月にオープンした。これに伴い、情報開示上は従来のビジネスを管掌する医療介護用電動ベッド事業とフィットネス事業の2つのセグメント体制となった。2019年6月期のフィットネス事業の業績は、売上高1百万円、営業損失32百万円だった。中長期的には多店舗展開を目指すとしているが、当面は医療介護用電動ベッド事業主体の事業展開等状況は従来から変わらないと思われる。また、今回の中期経営計画においてもフィットネス事業の収益は織り込まれていないとみられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)




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