RSテクノ Research Memo(3):中国では5社のプレーヤーが8インチウェーハを供給
[19/09/26]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■プライムウェーハ事業の現状と見通し
1. 中国のシリコンウェーハ市場の状況
(1) 主なプレーヤーの状況
中国の半導体チップ消費量は世界の40%を占めるまでに成長したが、国産化率はそのうち10%程度にとどまっている。すなわち半導体チップの大多数は輸入されたものであり、国内生産量はまだ少ないということだ。
したがって、主要な半導体材料であるシリコンウェーハも上記と似たような状況にある。半導体の量産では最大の12インチウェーハを始めとして様々なサイズのシリコンウェーハが使用されている。このうち、中国国内で生産されているウェーハは8インチが最大かつ最先端のサイズとなっている。中国国内にも12インチウェーハを使用する半導体チップ製造工場は存在するが、材料の12インチウェーハは日本など海外から輸入している。
中国には現状、10数社のシリコンウェーハメーカーがあると言われている。それらの中で8インチウェーハの供給ができている事業者はRS Technologies<3445>の連結子会社であるGRITEKも含めて5社程度と言われている(ただし、この情報は1年半ほど前の情報であるため、現在はもう少しプレーヤーが増えている可能性もある)。足元の生産能力は各社月産5万枚〜10万枚で、5社合計では30万枚程度と推測されている。1つ注意を要するのは、これらのメーカーが必ずしも公称能力どおりに製品を出荷できているわけではないということだ。その中でGRITEKは8インチウェーハの実生産量が公称能力を上回っている数少ない企業となっている(詳細は後述するがGRITEKはデボトルネックで生産能力拡大を果たしている)。
これらの企業はいずれも、積極的な能力増設計画を有している。各社の増産時期はバラバラで詳細は不明であるが、2020年〜2021年頃には中国の8インチウェーハの生産能力は、現状の月産35万枚から月産100万枚以上へと、3倍以上に増加する見通しとなっている。
(2) 中国のマーケットの現状
各社の積極的な設備能力増強の背景には、中国におけるシリコンウェーハの潜在市場が膨大であり、国家の支援もあって急成長のチャンスが大きいということがある。現状、中国国内の8インチウェーハの市場は月産50万枚と言われている。これが2021〜2022年頃には100万枚に増加するという見方がされている。中国政府が2015年5月に発表した「中国製造2025」(Made in China 2025)では、ICの国産化率について2020年に40%、2025年に70%という目標が明示されている。仮にこの目標が現実になれば、中国国内のシリコンウェーハ需要は急拡大し、8インチウェーハだけをとっても月産100万枚をはるかに上回る需要量となる可能性が高い※。
※上記の需要見通しは米中貿易摩擦が激化する以前に語られていたものだ。米中貿易摩擦の激化は、シリコンウェーハなど材料から半導体チップに至るすべてについて、中国の内製化率上昇を加速させる方向に働いていると想像される。したがって、シリコンウェーハの需要見通しも上昇修正されている可能性がある。
中国国内で生産されたシリコンウェーハは、国内の半導体チップ製造工場等に出荷され、各種半導体チップの材料として使用されている。サイズが最大でも8インチであることから、メモリやCPU向けではなく、ロジック系ICやASIC、パワーIC等の生産に使用されているとみられる。
シリコンウェーハの実際の製造では、その直接の原料である多結晶シリコン(ポリシリコン)を始め、各種製造装置(単結晶引上機や切断機、研磨機など)、副資材(石英るつぼや研磨用のコンパウンド(磨き粉)、研磨布など)などが必要であり、これらのサプライチェーンの整備が重要な要素となっている。このうち、多結晶シリコンの供給については中国国内での調達が十分可能な状況あるようだ。石英るつぼも同様だ。製造装置については、韓国や日本、中国などのメーカーから調達しているとみられる。弊社では中国のシリコンウェーハメーカー各社の能力増強計画について、そもそもの実現可能性やサプライチェーンの確保の点で懐疑的にみていたが、こうした状況に照らすと各社が能力増強を進めたとしても問題なく生産が可能だと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<SF>
1. 中国のシリコンウェーハ市場の状況
(1) 主なプレーヤーの状況
中国の半導体チップ消費量は世界の40%を占めるまでに成長したが、国産化率はそのうち10%程度にとどまっている。すなわち半導体チップの大多数は輸入されたものであり、国内生産量はまだ少ないということだ。
したがって、主要な半導体材料であるシリコンウェーハも上記と似たような状況にある。半導体の量産では最大の12インチウェーハを始めとして様々なサイズのシリコンウェーハが使用されている。このうち、中国国内で生産されているウェーハは8インチが最大かつ最先端のサイズとなっている。中国国内にも12インチウェーハを使用する半導体チップ製造工場は存在するが、材料の12インチウェーハは日本など海外から輸入している。
中国には現状、10数社のシリコンウェーハメーカーがあると言われている。それらの中で8インチウェーハの供給ができている事業者はRS Technologies<3445>の連結子会社であるGRITEKも含めて5社程度と言われている(ただし、この情報は1年半ほど前の情報であるため、現在はもう少しプレーヤーが増えている可能性もある)。足元の生産能力は各社月産5万枚〜10万枚で、5社合計では30万枚程度と推測されている。1つ注意を要するのは、これらのメーカーが必ずしも公称能力どおりに製品を出荷できているわけではないということだ。その中でGRITEKは8インチウェーハの実生産量が公称能力を上回っている数少ない企業となっている(詳細は後述するがGRITEKはデボトルネックで生産能力拡大を果たしている)。
これらの企業はいずれも、積極的な能力増設計画を有している。各社の増産時期はバラバラで詳細は不明であるが、2020年〜2021年頃には中国の8インチウェーハの生産能力は、現状の月産35万枚から月産100万枚以上へと、3倍以上に増加する見通しとなっている。
(2) 中国のマーケットの現状
各社の積極的な設備能力増強の背景には、中国におけるシリコンウェーハの潜在市場が膨大であり、国家の支援もあって急成長のチャンスが大きいということがある。現状、中国国内の8インチウェーハの市場は月産50万枚と言われている。これが2021〜2022年頃には100万枚に増加するという見方がされている。中国政府が2015年5月に発表した「中国製造2025」(Made in China 2025)では、ICの国産化率について2020年に40%、2025年に70%という目標が明示されている。仮にこの目標が現実になれば、中国国内のシリコンウェーハ需要は急拡大し、8インチウェーハだけをとっても月産100万枚をはるかに上回る需要量となる可能性が高い※。
※上記の需要見通しは米中貿易摩擦が激化する以前に語られていたものだ。米中貿易摩擦の激化は、シリコンウェーハなど材料から半導体チップに至るすべてについて、中国の内製化率上昇を加速させる方向に働いていると想像される。したがって、シリコンウェーハの需要見通しも上昇修正されている可能性がある。
中国国内で生産されたシリコンウェーハは、国内の半導体チップ製造工場等に出荷され、各種半導体チップの材料として使用されている。サイズが最大でも8インチであることから、メモリやCPU向けではなく、ロジック系ICやASIC、パワーIC等の生産に使用されているとみられる。
シリコンウェーハの実際の製造では、その直接の原料である多結晶シリコン(ポリシリコン)を始め、各種製造装置(単結晶引上機や切断機、研磨機など)、副資材(石英るつぼや研磨用のコンパウンド(磨き粉)、研磨布など)などが必要であり、これらのサプライチェーンの整備が重要な要素となっている。このうち、多結晶シリコンの供給については中国国内での調達が十分可能な状況あるようだ。石英るつぼも同様だ。製造装置については、韓国や日本、中国などのメーカーから調達しているとみられる。弊社では中国のシリコンウェーハメーカー各社の能力増強計画について、そもそもの実現可能性やサプライチェーンの確保の点で懐疑的にみていたが、こうした状況に照らすと各社が能力増強を進めたとしても問題なく生産が可能だと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<SF>