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RSテクノ Research Memo(4):インゴットの歩留まり改善で収益性改善に期待が高まる

注目トピックス 日本株
■プライムウェーハ事業の現状と見通し

2.RS Technologies<3445>の現在のプライムウェーハ事業
(1) これまでの経緯
同社は2017年12月に中国の中央政府直属企業である北京有色金属研究総院(現有研科技集団有限公司、以下、GRINM)及び福建倉元投資有限公司(以下、福建倉元)と3社間で合弁契約を締結し、2018年1月からプライムウェーハの製造販売事業に進出した。具体的スキームは、同社(以下、適宜RSTと略)とGRINM、福建倉元がそれぞれ、45%、49%、6%を出資して合弁企業の北京有研RS半導体科技有限公司(以下、BGRS)を設立し、BGRSの下にGRINMの100%子会社で、実際のプライムウェーハ製造を行うGRITEKを収めるというものだ(なお、同社の出資分(45%相当)について、同社は当初60%、1年後25%、2年後15%と3回に分けて出資する契約となっている)。

このスキームの最大のポイントは、合弁企業の出資3社の出資比率にある。福建倉元は福建省に籍を置く中国企業であるため、GRINMと合わせた中国側の出資比率が55%となり、BGRS及びGRITEKは内資企業(国内企業)として扱われる。GRITEKが内資企業であることは、中央政府や地方政府から各種の補助金等を得ることができ、設備投資や事業運営上、外資企業に比べて優位に立つことができる点で大きなメリットがある。他方、福建倉元はRSTの方永義社長(ほうながよし)の親族企業であり、RST側が51%を保有して経営の実権を確保し、GRITEKをRSTの連結子会社としている。

(2) GRITEKの操業状況
GRITEKはGRINMの直系子会社で、かねてより高い技術力が評価されてきた。実際、公称生産能力どおり(場合によってはそれ以上)の生産数量を実現できるだけの生産技術を有する、数少ないプライムウェーハメーカーだ。

プライムシリコンウェーハの生産品目は8インチのほかに、5インチ、6インチのウェーハとなっている。各サイズの合計生産能力(単純合算)は月産25万枚(2018年1月の子会社化時点)で、6インチが過半を占めているもようだ。GRITEKにとって最大サイズ(すなわち収益の中核のサイズ)の8インチについては、子会社化当時は月産5万枚だったが、同社の傘下入り後にデボトルネック(ボトルネックの解消)を行い、2018年秋以降は月産7万枚の生産能力を有するに至っている。

生産状況は順調で2018年1月以降、フル生産に近い状況が続いていると弊社ではみている。


GRITEKはその北京工場において、シリコンインゴットの引き上げからシリコンウェーハへの加工までを行う、いわゆる一貫メーカーだ。シリコンインゴットについては、月産17トンの生産能力を有し、FZ法とCZ法の2つの製法で製造している。生産されたインゴットは一部を自社消費してシリコンウェーハに加工して販売するほか、一部は外販している。しかしながら、ウェーハ製造に必要なシリコンインゴットを全て自社で製造しているわけではない。8インチのシリコンインゴットの引き上げは技術的難易度が高く、従来は外部から購入してウェーハに加工していた部分が大きかったとみられる。すなわち、シリコンインゴットの引き上げとウェーハ加工を両方やっているという意味では一貫メーカーであることは事実だが、原料から最終製品までの流れという意味では必ずしもそうではないということだ。しかしこのことは収益性改善余地が大きいことを意味している。収益性の高い8インチウェーハを真に一貫製造できれば収益性は大きく改善するためだ。後述するように、2019年12月期第2四半期はこの点で明確な進捗がみられた。

GRITEKの業績は同社の業績の「プライムシリコンウェーハ製造販売事業」セグメントに反映されている。GRITEKはプライムシリコンウェーハの一貫製造ビジネスのほかに、半導体製造装置の消耗部材の製造・販売事業も手掛けている。大まかな売上構成比としてはプライムウェーハ事業が3分の2、消耗部材事業が3分の1とみられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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