きちりHD Research Memo(3):業態開発力と人材採用・育成力、ITを店舗運営に積極的に活かす先進性が強み
[19/09/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
2. きちりホールディングス<3082>の強み
同社の強みは立地条件に合わせて収益性の高い業態を開発する企画開発力を持つことと、人材の採用力、育成力に優れていることに加えて、先進的なITシステムを店舗運営に積極的に活用する先進性を持っている点が挙げられる。
(1)業態開発力
同社は主力の「KICHIRI」を2002年に出店以降、現在までブランド・コンテンツ活用型店舗も含めて26業態の開発を行ってきた。特に、ここ数年は年に2〜3業態のペースで、出店を行っている。出店エリアは都市型から郊外型、店舗コンセプトについても非日常型から日常型と多彩な業態開発を行っていることが特徴となっている。
最近では「いしがまやハンバーグ」やダイニングバー業態の「ajito」「igu&Peace」、グローサラント業態の「Merca」など収益性の高い業態開発に相次いで成功している。社内で業態開発に関わる人材が育ってきたことが背景にある。例えば、「KICHIRI」では出店費用等の投資回収期間が平均3年程度だが、「いしがまやハンバーグ」や「ajito」では14〜15ヶ月で回収を実現した店舗もあり、営業利益率も「KICHIRI」を上回っている。こうした業態開発力の高さを評価して、大型商業施設等のデベロッパーから声が掛かるケースも増えてきている。
(2)エリア展開
同社では、関東エリアで52店舗の出店を行っているが、今後200店舗まで出店余地はあると見ている。その根拠としては、関西エリア(京阪神+奈良県)で乗降客数2万人以上の駅数が312駅(2018年時点)、出店店舗数が39店舗となっているのに対して、関東エリア(首都圏+茨城県)では同条件の駅数が903駅と約3倍あるためだ。単純に3倍すれば約120店舗だが、1駅に複数店舗出店できる新宿等のターミナル駅が首都圏には多いため、居酒屋業態やレストラン業態など複数業態を開発、出店していくことで200店舗は可能な水準と言える。同社は今後も年間10店舗ペースで出店を進めていく方針となっている。なお、新業態の店舗を多店舗展開していくときの判断材料としては、従業員1人当たり月額50万円の利益が出せるかどうかをボーダーラインとして設定している。
(3)人材採用力と育成力
ここ数年、人手不足により退店を余儀なくされる飲食チェーン店が多くあるなかで、同社は人手不足の影響をさほど深刻には受けていない。これは、同社が早くから正社員の採用強化を進め、必要な人材を確保してきたことが要因となっている。新卒採用者数で見ると、2017年春は79名、2018年春は70名と正社員の2割以上の水準となる新卒社員の採用を続けている(2019年春は新規出店が少なかったため40名と抑制)。新人社員については、当初は主に店舗に配属されるため、1店舗当たり新人社員1人の配属で、アルバイト数名分を賄うことが可能となり、安定した店舗運営を行うことができると言う点で他社にはない強みと言える。
同業他社と比較して同社が順調に新卒社員を採用できている理由としては、独自の教育制度やキャリアプランに加えて、飲食事業やPFS事業(ブランド・コンテンツ活用型、クラウドサービス展開型)等の多彩な事業ポートフォリオを展開していることが要因と考えられる。また、アルバイトスタッフ(パートナー)に対しても、学生を対象とした就活支援制度や退職者に対するパートナー卒業式を毎年開催するなど、自由闊達な雰囲気と同時に、関わる人すべてを大切にする「おもてなし」スピリットが浸透している企業としての認知度が学生の間で広がっていることも一因と考えられる。
人材育成力に関しては、「きちりMBA」制度や立候補制度など同社独自の制度を導入している。「きちりMBA」の講師は社内スタッフで構成されており、全従業員が受講可能となる。「理念研修」から「ビジネススキル」「おもてなし」といった日々の現場で必要となるスキルを身に付けることができるほか、「マネジメント」や「リーダーシップ」など幹部候補制向けのプログラムなども用意されており、これらを受講することで社員一人ひとりのスキルが向上している。
(4) ITの導入を積極推進
PFS事業のうち、クラウドサービス展開型については2016年以降、ITベンチャー企業等との戦略的業務提携を積極的に進めているほか、2018年以降は子会社でサービスを開発、提供を開始している。具体的な取り組みとしては、2016年3月にiPadを活用したSaaS型POSレジシステム「ユビレジ」を展開する(株)ユビレジと資本業務提携を行い、「ユビレジ」をサービスメニューに加えたほか、同年9月にはFinTechベンチャーの(株)BearTailと業務提携を発表。BearTailが提供している「Dr.経費精算」※の導入、提供を開始した。
※「Dr.経費精算」…スマートフォンで領収書を撮影し、スマートフォンアプリまたはWebブラウザからアップロードするだけで自動データ化され、入力オペレータが同データの入力代行を行うサービスとなる。従来と比べて経費精算にかかる手間が大幅に削減できるといったメリットがある。
2018年7月には動画プラットフォーム事業を手掛けるピーシーフェーズ(株)と資本業務提携を締結し、動画コンテンツを用いたクラウド人材育成サービス「shouin(しょういん)」の共同開発及び販売を行うことを発表したほか、同年10月には子会社の(株)オープンクラウドで開発したスマート選考ソリューションサービス「ApplyNow」の提供を開始している(詳細は後述)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. きちりホールディングス<3082>の強み
同社の強みは立地条件に合わせて収益性の高い業態を開発する企画開発力を持つことと、人材の採用力、育成力に優れていることに加えて、先進的なITシステムを店舗運営に積極的に活用する先進性を持っている点が挙げられる。
(1)業態開発力
同社は主力の「KICHIRI」を2002年に出店以降、現在までブランド・コンテンツ活用型店舗も含めて26業態の開発を行ってきた。特に、ここ数年は年に2〜3業態のペースで、出店を行っている。出店エリアは都市型から郊外型、店舗コンセプトについても非日常型から日常型と多彩な業態開発を行っていることが特徴となっている。
最近では「いしがまやハンバーグ」やダイニングバー業態の「ajito」「igu&Peace」、グローサラント業態の「Merca」など収益性の高い業態開発に相次いで成功している。社内で業態開発に関わる人材が育ってきたことが背景にある。例えば、「KICHIRI」では出店費用等の投資回収期間が平均3年程度だが、「いしがまやハンバーグ」や「ajito」では14〜15ヶ月で回収を実現した店舗もあり、営業利益率も「KICHIRI」を上回っている。こうした業態開発力の高さを評価して、大型商業施設等のデベロッパーから声が掛かるケースも増えてきている。
(2)エリア展開
同社では、関東エリアで52店舗の出店を行っているが、今後200店舗まで出店余地はあると見ている。その根拠としては、関西エリア(京阪神+奈良県)で乗降客数2万人以上の駅数が312駅(2018年時点)、出店店舗数が39店舗となっているのに対して、関東エリア(首都圏+茨城県)では同条件の駅数が903駅と約3倍あるためだ。単純に3倍すれば約120店舗だが、1駅に複数店舗出店できる新宿等のターミナル駅が首都圏には多いため、居酒屋業態やレストラン業態など複数業態を開発、出店していくことで200店舗は可能な水準と言える。同社は今後も年間10店舗ペースで出店を進めていく方針となっている。なお、新業態の店舗を多店舗展開していくときの判断材料としては、従業員1人当たり月額50万円の利益が出せるかどうかをボーダーラインとして設定している。
(3)人材採用力と育成力
ここ数年、人手不足により退店を余儀なくされる飲食チェーン店が多くあるなかで、同社は人手不足の影響をさほど深刻には受けていない。これは、同社が早くから正社員の採用強化を進め、必要な人材を確保してきたことが要因となっている。新卒採用者数で見ると、2017年春は79名、2018年春は70名と正社員の2割以上の水準となる新卒社員の採用を続けている(2019年春は新規出店が少なかったため40名と抑制)。新人社員については、当初は主に店舗に配属されるため、1店舗当たり新人社員1人の配属で、アルバイト数名分を賄うことが可能となり、安定した店舗運営を行うことができると言う点で他社にはない強みと言える。
同業他社と比較して同社が順調に新卒社員を採用できている理由としては、独自の教育制度やキャリアプランに加えて、飲食事業やPFS事業(ブランド・コンテンツ活用型、クラウドサービス展開型)等の多彩な事業ポートフォリオを展開していることが要因と考えられる。また、アルバイトスタッフ(パートナー)に対しても、学生を対象とした就活支援制度や退職者に対するパートナー卒業式を毎年開催するなど、自由闊達な雰囲気と同時に、関わる人すべてを大切にする「おもてなし」スピリットが浸透している企業としての認知度が学生の間で広がっていることも一因と考えられる。
人材育成力に関しては、「きちりMBA」制度や立候補制度など同社独自の制度を導入している。「きちりMBA」の講師は社内スタッフで構成されており、全従業員が受講可能となる。「理念研修」から「ビジネススキル」「おもてなし」といった日々の現場で必要となるスキルを身に付けることができるほか、「マネジメント」や「リーダーシップ」など幹部候補制向けのプログラムなども用意されており、これらを受講することで社員一人ひとりのスキルが向上している。
(4) ITの導入を積極推進
PFS事業のうち、クラウドサービス展開型については2016年以降、ITベンチャー企業等との戦略的業務提携を積極的に進めているほか、2018年以降は子会社でサービスを開発、提供を開始している。具体的な取り組みとしては、2016年3月にiPadを活用したSaaS型POSレジシステム「ユビレジ」を展開する(株)ユビレジと資本業務提携を行い、「ユビレジ」をサービスメニューに加えたほか、同年9月にはFinTechベンチャーの(株)BearTailと業務提携を発表。BearTailが提供している「Dr.経費精算」※の導入、提供を開始した。
※「Dr.経費精算」…スマートフォンで領収書を撮影し、スマートフォンアプリまたはWebブラウザからアップロードするだけで自動データ化され、入力オペレータが同データの入力代行を行うサービスとなる。従来と比べて経費精算にかかる手間が大幅に削減できるといったメリットがある。
2018年7月には動画プラットフォーム事業を手掛けるピーシーフェーズ(株)と資本業務提携を締結し、動画コンテンツを用いたクラウド人材育成サービス「shouin(しょういん)」の共同開発及び販売を行うことを発表したほか、同年10月には子会社の(株)オープンクラウドで開発したスマート選考ソリューションサービス「ApplyNow」の提供を開始している(詳細は後述)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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