アルプス技研 Research Memo(1):2019年12月期上期も好調継続。新規事業も農業関連分野が動き出す
[19/09/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 会社概要
アルプス技研<4641>は、機械、電気・電子、ソフト・IT、化学などの分野において、大手製造業各社に高度技術サービスを提供する総合エンジニアリングアウトソーシング企業である。経営理念である“Heart to Heart”「人と人との心のつながり」を大切にしており、技術者としてのみならず社会人としても一流であるべしとの思いから、創業以来一貫して、技術力の強化に加え、ヒューマン教育にも注力している。これが同社の強みである人材を生み出す源泉となる企業組織文化となっている。同社グループは同社及び子会社5社から構成され、2016年12月期より、アウトソーシングサービス事業とグローバル事業の2つの事業セグメントとなった。2018年7月には創業50周年を迎えるとともに、第2創業期がスタート。新規事業分野への参入を含め、SDGs(事業活動を通じた社会的課題解決)にも取り組みながら、次世代に向けた強みの創出(経営基盤の強化)を目指している。
2. 新規事業(農業及び介護分野)の進捗
同社は、中長期成長ビジョンの実現に向けて、新規事業分野(農業及び介護関連分野)への参入を決定すると、2018年4月に農業・介護関連の人材派遣を行う子会社(株)アグリ&ケアを設立した。これらの分野は、AIやIoT、ロボットなどの最先端技術の導入や外国人労働力の活用がカギを握ると言われており、これまで培ってきた高度な技術力や人材育成(外国人の採用を含む)のノウハウが生かせることから、社会的課題の解決に貢献すると同時に、先行者利益を目指す戦略と考えられる。まずは農業関連事業が先に立ち上がっており、2019年7月には「強い農業」を目指す愛知県が取り組む「農業支援外国人受入事業」において、アグリ&ケアが「特定機関」の認定を受けた。2018年に引き続き、今秋も中国、ベトナム、ミャンマーなどからのアグリテック人材及び就農(アグリ)人材を採用する計画(一定規模)となっている。
3. 2019年12月期上期の業績
2019年12月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比5.5%増の16,589百万円、営業利益が同0.4%増の1,644百万円と増収及び営業利益はほぼ横ばいで推移した(計画どおりの進捗)。売上高は、良好な受注環境が続くなかで、主力のアウトソーシングサービス事業が高稼働率の維持や稼働人数の増加、契約単価の向上により伸長。2019年新卒(4月入社)の採用も314名(前期は288名)と順調に増えている。損益面では、積極的な広告宣伝費の投入のほか、募集費前倒しの発生(採用活動の早期化対応)により販管費が大きく増加。その結果、営業利益はほぼ横ばいにとどまり、営業利益率も若干低下しているが、募集費前倒しの影響が解消することにより下期には改善する見通しである。また、創業者からの第2創業期の寄付金を特別利益(1億円)に計上。新規事業や知名度向上に向けた施策の推進など、次世代に向けた強みの創出のために有効活用しているが、その分だけ販管費が増加する(営業利益率を引き下げる)要因にもなっていることに注意が必要である(特別利益を販管費として活用していることから、一時的に会計上のゆがみが生じている)。
4. 2019年12月期の業績予想
2019年12月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比8.2%増の35,470百万円、営業利益を同5.4%増の3,780百万円と増収増益を見込んでおり、引き続き最高業績を更新する見通しである。同社グループの主要顧客である大手製造業各社からの派遣要請が堅調であり、この傾向が継続することを想定している。また、新規事業(農業関連事業)については、本格的な業績寄与には時間を要する見込みであるが、新設された在留資格の活用により、アグリテック及び就農(アグリ)人材の営業強化に取り組む方針である。
5. 中長期の成長戦略
同社は、中長期成長ビジョンとして、1)既存事業の強化に加えて、2)最先端技術への対応、3)グローバル展開、4)新規事業への挑戦の4つの戦略軸を打ち出している。特に、第11次5ヶ年計画(定性目標)で、「新産業革命時代に向けた経営資源の再投資」を推進する方針である。また、3ヶ年の中期経営計画(ローリング方式)では、2021年12月期の目標として売上高41,370百万円、営業利益4,100百万円、ROE20%以上を目指している(ただし、新会社による業績寄与については保守的にみているようだ)。
■Key Points
・2019年12月期上期の業績も好調を継続(計画どおりの進捗)。積極的なR&D投資に支えられ、米中貿易摩擦などの影響は見られない
・新規事業についても農業関連分野(アグリテック及び就農人材)が先に動き出した
・2019年12月期の通期業績予想を据え置き、引き続き過去最高業績を更新する見通し
・第11次5ヶ年計画(定性目標)では、「新産業革命時代に向けた経営資源の再投資」を推進。農業や介護関連分野など、SDGs(事業活動を通じた社会的課題の解決)にも積極的に取り組む方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 会社概要
アルプス技研<4641>は、機械、電気・電子、ソフト・IT、化学などの分野において、大手製造業各社に高度技術サービスを提供する総合エンジニアリングアウトソーシング企業である。経営理念である“Heart to Heart”「人と人との心のつながり」を大切にしており、技術者としてのみならず社会人としても一流であるべしとの思いから、創業以来一貫して、技術力の強化に加え、ヒューマン教育にも注力している。これが同社の強みである人材を生み出す源泉となる企業組織文化となっている。同社グループは同社及び子会社5社から構成され、2016年12月期より、アウトソーシングサービス事業とグローバル事業の2つの事業セグメントとなった。2018年7月には創業50周年を迎えるとともに、第2創業期がスタート。新規事業分野への参入を含め、SDGs(事業活動を通じた社会的課題解決)にも取り組みながら、次世代に向けた強みの創出(経営基盤の強化)を目指している。
2. 新規事業(農業及び介護分野)の進捗
同社は、中長期成長ビジョンの実現に向けて、新規事業分野(農業及び介護関連分野)への参入を決定すると、2018年4月に農業・介護関連の人材派遣を行う子会社(株)アグリ&ケアを設立した。これらの分野は、AIやIoT、ロボットなどの最先端技術の導入や外国人労働力の活用がカギを握ると言われており、これまで培ってきた高度な技術力や人材育成(外国人の採用を含む)のノウハウが生かせることから、社会的課題の解決に貢献すると同時に、先行者利益を目指す戦略と考えられる。まずは農業関連事業が先に立ち上がっており、2019年7月には「強い農業」を目指す愛知県が取り組む「農業支援外国人受入事業」において、アグリ&ケアが「特定機関」の認定を受けた。2018年に引き続き、今秋も中国、ベトナム、ミャンマーなどからのアグリテック人材及び就農(アグリ)人材を採用する計画(一定規模)となっている。
3. 2019年12月期上期の業績
2019年12月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比5.5%増の16,589百万円、営業利益が同0.4%増の1,644百万円と増収及び営業利益はほぼ横ばいで推移した(計画どおりの進捗)。売上高は、良好な受注環境が続くなかで、主力のアウトソーシングサービス事業が高稼働率の維持や稼働人数の増加、契約単価の向上により伸長。2019年新卒(4月入社)の採用も314名(前期は288名)と順調に増えている。損益面では、積極的な広告宣伝費の投入のほか、募集費前倒しの発生(採用活動の早期化対応)により販管費が大きく増加。その結果、営業利益はほぼ横ばいにとどまり、営業利益率も若干低下しているが、募集費前倒しの影響が解消することにより下期には改善する見通しである。また、創業者からの第2創業期の寄付金を特別利益(1億円)に計上。新規事業や知名度向上に向けた施策の推進など、次世代に向けた強みの創出のために有効活用しているが、その分だけ販管費が増加する(営業利益率を引き下げる)要因にもなっていることに注意が必要である(特別利益を販管費として活用していることから、一時的に会計上のゆがみが生じている)。
4. 2019年12月期の業績予想
2019年12月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比8.2%増の35,470百万円、営業利益を同5.4%増の3,780百万円と増収増益を見込んでおり、引き続き最高業績を更新する見通しである。同社グループの主要顧客である大手製造業各社からの派遣要請が堅調であり、この傾向が継続することを想定している。また、新規事業(農業関連事業)については、本格的な業績寄与には時間を要する見込みであるが、新設された在留資格の活用により、アグリテック及び就農(アグリ)人材の営業強化に取り組む方針である。
5. 中長期の成長戦略
同社は、中長期成長ビジョンとして、1)既存事業の強化に加えて、2)最先端技術への対応、3)グローバル展開、4)新規事業への挑戦の4つの戦略軸を打ち出している。特に、第11次5ヶ年計画(定性目標)で、「新産業革命時代に向けた経営資源の再投資」を推進する方針である。また、3ヶ年の中期経営計画(ローリング方式)では、2021年12月期の目標として売上高41,370百万円、営業利益4,100百万円、ROE20%以上を目指している(ただし、新会社による業績寄与については保守的にみているようだ)。
■Key Points
・2019年12月期上期の業績も好調を継続(計画どおりの進捗)。積極的なR&D投資に支えられ、米中貿易摩擦などの影響は見られない
・新規事業についても農業関連分野(アグリテック及び就農人材)が先に動き出した
・2019年12月期の通期業績予想を据え置き、引き続き過去最高業績を更新する見通し
・第11次5ヶ年計画(定性目標)では、「新産業革命時代に向けた経営資源の再投資」を推進。農業や介護関連分野など、SDGs(事業活動を通じた社会的課題の解決)にも積極的に取り組む方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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