ビ花壇 Research Memo(1):2019年6月期業績は増収ながら大幅な減益も、2020年6月期は損益改善図る
[19/09/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 会社概要
ビューティ花壇<3041>は、葬儀の際に利用される生花祭壇等の企画・制作・設営を主力として、生花卸売やブライダル装花を含めた生花事業をコア事業としている。また、M&Aを軸とした周辺事業の取り込みによる規模拡大と提案力向上にも積極的に取り組んできた。同社の特長は、技術難易度の高いデザイン性による差別化と、独自の調達ルートや大量仕入れを生かした価格競争力にある。ただ、生花祭壇のパイオニアとして新たな技術を生み出し、広く一般に生花祭壇を普及させることで「業界のリーディングカンパニー」として成長してきた同社であるが、関東エリアを中心に急速なペースで単価下落が進んでおり、事業環境は厳しい状況が続いている。同社では、そのような環境変化に対応するため、コア事業である生花事業(生花祭壇事業、生花卸売事業、ブライダル装花事業)に最大限注力する事業方針のもと、生産規模や販売規模、原料調達など物量を拡大させるとともに、長年培ってきたノウハウや業務集約を通じた効率的な業務プロセスの確立により低コスト化を実現し、「業界のコストリーダー」として市場シェア拡大に取り組んでおり、徐々にその成果が現れ始めている。また、花卉の生産事業を行う(株)アグリフラワー(2019年6月期から連結化)も順調に立ち上がってきており、いよいよ事業の六次化(自社生産)による原価低減(及び安定化)に向けても本格的に動き出した。
2. 2019 年6 月期の業績
2019年6月期の業績は、売上高が前期比4.5%増の5,874百万円、営業利益が同88.3%減の19百万円、経常利益が同81.9%減の30百万円と、増収ながら大幅な減益となった。売上高は、「生花卸売事業」が新規顧客獲得等により大きく伸長したものの、主力の「生花祭壇事業」が受注単価の下落等により微増にとどまった。また、「ブライダル装花事業」も低調であった。利益面では、特に「生花祭壇事業」における国内天候不良による仕入原価の高騰のほか、人件費の増加、新規拠点の開設費用等により大幅な営業減益となった。ただ、2019年1月に基本合意書を締結したM&A案件は、条件面で折り合わず解消となったものの、「生花祭壇事業」における積極的な拠点展開や「生花卸売事業」における業務効率化など、今後の事業拡大に向けた基盤づくりについては一定の成果を残したと言える。
3. 2020年6月期の業績予想
2020年6月期の業績予想について同社は、売上高が前期比2.1%増の6,000百万円、営業利益が同613.6%増の140百万円、経常利益が同364.1%増の140百万円と、増収及び大幅な損益改善を見込んでいる。売上高は、すべてのセグメントが伸長する計画となっている。特に、「生花祭壇事業」が新規出店に伴う顧客獲得等により拡大するとともに、「生花卸売事業」についても既存顧客対応の強化や関西エリアへの展開(物流網の構築)等が増収に寄与する見通しである。利益面では、仕入原価の圧縮(及び安定化)や物流費の削減などにより大幅な損益改善を実現する計画である。
4. 成長戦略
同社は、2020 年6 月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を推進してきた。1) コア事業での売上拡大、2) 物流のサービス強化と高度化、3) 管理部門の体制強化、4) 周辺事業の水平展開を重点目標に掲げるとともに、コア事業である「生花祭壇事業」の拡大を軸に据え、その副次的効果を物流の活性化(生花卸売事業の強化)へ結び付ける戦略をより強く打ち出している。また、技術開発型企業への投資や積極的なアライアンス、M&A の実行など外部リソースの活用にも意欲的に取り組む方針である。業績面では進捗に遅れがみられ、最終年度の数値目標は達成できない見通しであるが、定性面では着実に前進してきたと評価しても良いであろう。また、2021年6月期以降の方向性についても大きな変化はないとみている。
弊社でも、「生花祭壇事業」における営業戦略や原価低減策が軌道に乗ってきたことや積極的な拠点展開にも取り組んでいることから、今後の事業拡大や損益改善は十分に可能であるとみている。また、実験的に進めている花卉の自社生産(事業の六次化)についても、いよいよ本格的に動き出してきており、仕入原価の安定化に向けてどのような貢献をしてくるのかが大きなポイントとなるだろう。今後も、業界再編等に向けた同社ならではの取り組みに注目したい。また、業界環境が厳しさを増すなかで、M&A による事業拡大やフランチャイズ(FC)展開を含めた他社との提携が成功のカギを握るものとみている。
■Key Points
・2019年6月期の業績は、受注単価の下落や仕入原価の高騰等により増収ながら大幅な減益
・「生花祭壇事業」における新規拠点の開設や「生花卸売事業」における業務効率化の推進については一定の成果を残す
・2020年6月期の業績予想として、新規拠点の開設や仕入原価の低減(安定化)により増収及び大幅な損益改善を見込む
・「生花祭壇事業」を軸とした中期経営計画を推進。物流効率化の実現に加え、ドミナント展開や低価格戦略によるシェア拡大を目指している
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 会社概要
ビューティ花壇<3041>は、葬儀の際に利用される生花祭壇等の企画・制作・設営を主力として、生花卸売やブライダル装花を含めた生花事業をコア事業としている。また、M&Aを軸とした周辺事業の取り込みによる規模拡大と提案力向上にも積極的に取り組んできた。同社の特長は、技術難易度の高いデザイン性による差別化と、独自の調達ルートや大量仕入れを生かした価格競争力にある。ただ、生花祭壇のパイオニアとして新たな技術を生み出し、広く一般に生花祭壇を普及させることで「業界のリーディングカンパニー」として成長してきた同社であるが、関東エリアを中心に急速なペースで単価下落が進んでおり、事業環境は厳しい状況が続いている。同社では、そのような環境変化に対応するため、コア事業である生花事業(生花祭壇事業、生花卸売事業、ブライダル装花事業)に最大限注力する事業方針のもと、生産規模や販売規模、原料調達など物量を拡大させるとともに、長年培ってきたノウハウや業務集約を通じた効率的な業務プロセスの確立により低コスト化を実現し、「業界のコストリーダー」として市場シェア拡大に取り組んでおり、徐々にその成果が現れ始めている。また、花卉の生産事業を行う(株)アグリフラワー(2019年6月期から連結化)も順調に立ち上がってきており、いよいよ事業の六次化(自社生産)による原価低減(及び安定化)に向けても本格的に動き出した。
2. 2019 年6 月期の業績
2019年6月期の業績は、売上高が前期比4.5%増の5,874百万円、営業利益が同88.3%減の19百万円、経常利益が同81.9%減の30百万円と、増収ながら大幅な減益となった。売上高は、「生花卸売事業」が新規顧客獲得等により大きく伸長したものの、主力の「生花祭壇事業」が受注単価の下落等により微増にとどまった。また、「ブライダル装花事業」も低調であった。利益面では、特に「生花祭壇事業」における国内天候不良による仕入原価の高騰のほか、人件費の増加、新規拠点の開設費用等により大幅な営業減益となった。ただ、2019年1月に基本合意書を締結したM&A案件は、条件面で折り合わず解消となったものの、「生花祭壇事業」における積極的な拠点展開や「生花卸売事業」における業務効率化など、今後の事業拡大に向けた基盤づくりについては一定の成果を残したと言える。
3. 2020年6月期の業績予想
2020年6月期の業績予想について同社は、売上高が前期比2.1%増の6,000百万円、営業利益が同613.6%増の140百万円、経常利益が同364.1%増の140百万円と、増収及び大幅な損益改善を見込んでいる。売上高は、すべてのセグメントが伸長する計画となっている。特に、「生花祭壇事業」が新規出店に伴う顧客獲得等により拡大するとともに、「生花卸売事業」についても既存顧客対応の強化や関西エリアへの展開(物流網の構築)等が増収に寄与する見通しである。利益面では、仕入原価の圧縮(及び安定化)や物流費の削減などにより大幅な損益改善を実現する計画である。
4. 成長戦略
同社は、2020 年6 月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を推進してきた。1) コア事業での売上拡大、2) 物流のサービス強化と高度化、3) 管理部門の体制強化、4) 周辺事業の水平展開を重点目標に掲げるとともに、コア事業である「生花祭壇事業」の拡大を軸に据え、その副次的効果を物流の活性化(生花卸売事業の強化)へ結び付ける戦略をより強く打ち出している。また、技術開発型企業への投資や積極的なアライアンス、M&A の実行など外部リソースの活用にも意欲的に取り組む方針である。業績面では進捗に遅れがみられ、最終年度の数値目標は達成できない見通しであるが、定性面では着実に前進してきたと評価しても良いであろう。また、2021年6月期以降の方向性についても大きな変化はないとみている。
弊社でも、「生花祭壇事業」における営業戦略や原価低減策が軌道に乗ってきたことや積極的な拠点展開にも取り組んでいることから、今後の事業拡大や損益改善は十分に可能であるとみている。また、実験的に進めている花卉の自社生産(事業の六次化)についても、いよいよ本格的に動き出してきており、仕入原価の安定化に向けてどのような貢献をしてくるのかが大きなポイントとなるだろう。今後も、業界再編等に向けた同社ならではの取り組みに注目したい。また、業界環境が厳しさを増すなかで、M&A による事業拡大やフランチャイズ(FC)展開を含めた他社との提携が成功のカギを握るものとみている。
■Key Points
・2019年6月期の業績は、受注単価の下落や仕入原価の高騰等により増収ながら大幅な減益
・「生花祭壇事業」における新規拠点の開設や「生花卸売事業」における業務効率化の推進については一定の成果を残す
・2020年6月期の業績予想として、新規拠点の開設や仕入原価の低減(安定化)により増収及び大幅な損益改善を見込む
・「生花祭壇事業」を軸とした中期経営計画を推進。物流効率化の実現に加え、ドミナント展開や低価格戦略によるシェア拡大を目指している
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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