AOITYOHold Research Memo(1):上期業績はプリントレス化や不採算子会社の整理等により減収減益
[19/10/18]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 会社概要
AOI TYO Holdings<3975>は、株式会社AOI Pro.と株式会社ティー・ワイ・オー(TYO)の経営統合により設立された共同持株会社である。主力のテレビCMの企画・制作を始め、広告主直接取引や動画コンテンツマーケティングを軸とした「ソリューション事業」などを手掛けている。業界大手2社の経営統合によりテレビCM制作においてはトップシェアを握る。
インターネットを中心としたメディア(媒体)やデバイス(スマートフォンやタブレットなど)の多様化に加え、通信速度やデータ解析、VR(仮想現実)※1やAR(拡張現実)※2などのテクノロジーの進化により業界環境が大きく変化するなかで、これまでのテレビCM制作では大きな成長は見込みにくくなる一方、広告に関連する事業領域は、その手法や構造変化を伴いながらも拡大していくものと予想されていることが経営統合に至った背景である。経営資源の結集及び有効活用により、スケールメリットやシナジー創出を実現し、新たな価値創造と事業拡大のスピードを速めるところに狙いがあると考えられる。プリントレス化の進展や「働き方改革」の影響など外部要因に加え、受注管理体制の強化、不採算子会社の整理などにより、業績は一旦踊り場となっているものの、他社との連携や新たなテクノロジーへの投資など、将来を見据えた取り組みにも積極的である。
※1 VR(仮想現実)とは、仮想世界を含めたあらゆる体験を、時間や空間を超えてまるで現実世界のように表現する技法やその手法のこと。
※2 AR(拡張現実)とは、現実世界で人が感知できる情報に「何かの情報」を加え、現実を「拡張」表現する技術やその手法のこと。
2. 2019年12月期上期業績の概要
2019年12月期上期の業績は、売上高が前年同期比0.7%減の30,636百万円、営業利益が同53.2%減の816百万円と減収減益となり、売上高、各利益ともに計画を下回る進捗となっている。主力の「動画広告事業」については、プリント売上の減少が続くなかで前年同期並みの売上高を確保したものの、戦略分野である「ソリューション事業」においてスポット的なメディア売上が減少したことや、「海外事業」についても不採算子会社の整理を行ったことにより減収となった。利益面でも、利益率の高いプリント売上の減少による影響のほか、「働き方改革」対応による業務委託費の増加、新システムの稼働に伴う減価償却費の増加等により大幅な営業減益となった。一方、定性面では、戦略的パートナーシップを構築した(株)サイバー・コミュニケーションズ(以下、CCI)との合弁会社設立など、今後に向けて大きな成果を残した。
3. 2019年12月期の業績予想
2019年12月期の業績予想について同社は、上期業績の進捗等を踏まえ、減額修正を公表した。修正後の業績予想は、売上高が前期比1.8%減の63,600百万円(修正幅▲1,400百万円)、営業利益が同33.0%減の2,300百万円(修正幅▲300百万円)となっている。なお、今回の減額修正(幅)は、上期業績の計画未達分をおおむね反映したものであり、下期については当初計画どおりに推移する見通しである。減収予想となっているのは、「働き方改革」に伴う受注コントロールやプリントレス化の継続のほか、不採算子会社の整理等が理由である。利益面でも、利益率の高いプリント売上の減少や働き方改革への対応コスト、人材育成・採用等を中心とする今後の成長に向けた先行投資等により減益となる見通しである。注目すべきは、プリントレス化の影響がほぼ一巡する来期以降の利益成長に向けた道筋にある。弊社でも、1)ブランディングを目的とした動画広告や、2)動画コンテンツマーケティング(ソリューション)への対応が成功のカギを握るとみている。特に、1)については、同社の強みを活かせる分野であることから、いかに拡大する需要を取り込み、かつ収益性(付加価値)を高めていくのかがポイントとなるだろう。
4. 成長戦略
同社は、経営統合から2年が経過し、様々な環境変化への対応を図るため、2019年3月に新たな中期経営方針を公表した。これまでとの大きな違いは、「規模より質」の経営への転換である。すなわち、いかなる時代にも対応できる力強い企業体であり続けるため、ニーズや変化に対応した事業を展開すること、人材の力を最大限活用すること、適切な収益を上げ続けることを目指す姿として掲げている。また、持続可能性や株主還元等は継続して重視しており、株主資本コストを上回るROEの確保を目指していく。
■Key Points
・2019年12月期の上期業績は、プリントレス化の進展や不採算子会社の整理等により減収減益
・それに伴って、2019年12月期の業績予想を減額修正(減収減益となる見通し)
・一方、戦略的パートナーであるCCIとの合弁会社設立など、将来を見据えた活動では大きな成果
・2019年3月に公表した新中期経営方針のもと、「規模より質」の経営への転換を図り、持続的な成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 会社概要
AOI TYO Holdings<3975>は、株式会社AOI Pro.と株式会社ティー・ワイ・オー(TYO)の経営統合により設立された共同持株会社である。主力のテレビCMの企画・制作を始め、広告主直接取引や動画コンテンツマーケティングを軸とした「ソリューション事業」などを手掛けている。業界大手2社の経営統合によりテレビCM制作においてはトップシェアを握る。
インターネットを中心としたメディア(媒体)やデバイス(スマートフォンやタブレットなど)の多様化に加え、通信速度やデータ解析、VR(仮想現実)※1やAR(拡張現実)※2などのテクノロジーの進化により業界環境が大きく変化するなかで、これまでのテレビCM制作では大きな成長は見込みにくくなる一方、広告に関連する事業領域は、その手法や構造変化を伴いながらも拡大していくものと予想されていることが経営統合に至った背景である。経営資源の結集及び有効活用により、スケールメリットやシナジー創出を実現し、新たな価値創造と事業拡大のスピードを速めるところに狙いがあると考えられる。プリントレス化の進展や「働き方改革」の影響など外部要因に加え、受注管理体制の強化、不採算子会社の整理などにより、業績は一旦踊り場となっているものの、他社との連携や新たなテクノロジーへの投資など、将来を見据えた取り組みにも積極的である。
※1 VR(仮想現実)とは、仮想世界を含めたあらゆる体験を、時間や空間を超えてまるで現実世界のように表現する技法やその手法のこと。
※2 AR(拡張現実)とは、現実世界で人が感知できる情報に「何かの情報」を加え、現実を「拡張」表現する技術やその手法のこと。
2. 2019年12月期上期業績の概要
2019年12月期上期の業績は、売上高が前年同期比0.7%減の30,636百万円、営業利益が同53.2%減の816百万円と減収減益となり、売上高、各利益ともに計画を下回る進捗となっている。主力の「動画広告事業」については、プリント売上の減少が続くなかで前年同期並みの売上高を確保したものの、戦略分野である「ソリューション事業」においてスポット的なメディア売上が減少したことや、「海外事業」についても不採算子会社の整理を行ったことにより減収となった。利益面でも、利益率の高いプリント売上の減少による影響のほか、「働き方改革」対応による業務委託費の増加、新システムの稼働に伴う減価償却費の増加等により大幅な営業減益となった。一方、定性面では、戦略的パートナーシップを構築した(株)サイバー・コミュニケーションズ(以下、CCI)との合弁会社設立など、今後に向けて大きな成果を残した。
3. 2019年12月期の業績予想
2019年12月期の業績予想について同社は、上期業績の進捗等を踏まえ、減額修正を公表した。修正後の業績予想は、売上高が前期比1.8%減の63,600百万円(修正幅▲1,400百万円)、営業利益が同33.0%減の2,300百万円(修正幅▲300百万円)となっている。なお、今回の減額修正(幅)は、上期業績の計画未達分をおおむね反映したものであり、下期については当初計画どおりに推移する見通しである。減収予想となっているのは、「働き方改革」に伴う受注コントロールやプリントレス化の継続のほか、不採算子会社の整理等が理由である。利益面でも、利益率の高いプリント売上の減少や働き方改革への対応コスト、人材育成・採用等を中心とする今後の成長に向けた先行投資等により減益となる見通しである。注目すべきは、プリントレス化の影響がほぼ一巡する来期以降の利益成長に向けた道筋にある。弊社でも、1)ブランディングを目的とした動画広告や、2)動画コンテンツマーケティング(ソリューション)への対応が成功のカギを握るとみている。特に、1)については、同社の強みを活かせる分野であることから、いかに拡大する需要を取り込み、かつ収益性(付加価値)を高めていくのかがポイントとなるだろう。
4. 成長戦略
同社は、経営統合から2年が経過し、様々な環境変化への対応を図るため、2019年3月に新たな中期経営方針を公表した。これまでとの大きな違いは、「規模より質」の経営への転換である。すなわち、いかなる時代にも対応できる力強い企業体であり続けるため、ニーズや変化に対応した事業を展開すること、人材の力を最大限活用すること、適切な収益を上げ続けることを目指す姿として掲げている。また、持続可能性や株主還元等は継続して重視しており、株主資本コストを上回るROEの確保を目指していく。
■Key Points
・2019年12月期の上期業績は、プリントレス化の進展や不採算子会社の整理等により減収減益
・それに伴って、2019年12月期の業績予想を減額修正(減収減益となる見通し)
・一方、戦略的パートナーであるCCIとの合弁会社設立など、将来を見据えた活動では大きな成果
・2019年3月に公表した新中期経営方針のもと、「規模より質」の経営への転換を図り、持続的な成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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