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エリアリンク Research Memo(3):不動産運用サービスと不動産再生・流動化サービスの2セグメント体制で展開

注目トピックス 日本株
■会社概要

2. 事業の概要
(1) 事業セグメントの概要
エリアリンク<8914>の事業は、1)不動産運用サービス事業と、2)不動産再生・流動化サービス事業の2つの事業セグメントから成っている。2019年12月期第2四半期のセグメント別内訳を見ると、売上高では、不動産運用サービス事業が77%、不動産再生・流動化サービス事業が23%となっている。一方、営業利益では、不動産運用サービス事業が63%、不動産再生・流動化サービス事業が37%となっており、不動産再生・流動化サービス事業の利益率が高いことがわかる。2019年12月期第2四半期は不動産再生・流動化サービスの売上高、営業利益の構成比が1年前に比べて大きく伸長したが、これは自社保有ビルの売却という一過性の要因による影響も大きい。後述するように同社は不動産再生・流動化サービス事業の強化に取り組んでいるが、通常ベースでどの程度の売上高・営業利益の構成比を確保できるかどうかが注目点だ。

(2) 不動産運用サービス事業の概要
不動産運用サービス事業の本質は、未活性の不動産(土地、建物等)を不動産商品に仕立て直し(“商品化”)して収益を上げることだ。商品という観点では、前述のように、ストレージや駐車場、レンタルオフィスなど様々なサービス業態を、「ハロー」ブランドで展開している。

同社はストレージ事業を中核に据えて成長を遂げてきており、収益面でもストレージ事業が圧倒的に大きくなっている。また、ストレージの中にも建築物の構造や事業モデルの違いによって、いくつかのタイプに分かれており、収益の性格もそれぞれ異なっている。そうした状況を反映して、不動産運用サービス事業は、ストレージ運用、ストレージ流動化、及び、その他不動産運用サービス、の3つのサブセグメントに分けて情報開示が成されている(ハローコンテナや土地付きストレージなど、ストレージのタイプ別の事業モデルの詳細については後述する)。

ストレージ運用とストレージ流動化は、いずれもハローストレージにかかる収益であり、収入の性質に応じて分類したものだ。このうち、ストレージ運用は、ハローストレージの募集・運営・管理にかかる収入であり、ストレージという不動産商品の管理会社としての収入ということだ。ストレージにはコンテナタイプ、トランクタイプ、及び土地付きストレージのすべてが含まれる。収入のタイプとしてはストック型収入と言える。

一方、ストレージ流動化は土地付きストレージの販売収入とハローコンテナの受注・出店にかかる収入から成っている。収入のタイプとしてはフロー型収入と言える。

その他不動産運用サービスの内容は、ストレージ以外の事業にかかる収入となっている。具体的には、ハローパーキング、ハローオフィス、アセットマネジメント(自社保有物件の募集・運営・管理)などからの収入で構成されている。収入タイプとしてはストック型収入と言える。

(3) 不動産再生・流動化サービス事業の概要
不動産再生・流動化サービス事業は、当初は不動産オーナーや投資家から中古不動産を購入し、改修等を行って付加価値を加えて運用効率を上げた後に投資家等に販売する、いわゆる不動産売買事業がその内容であった。しかしながら、リーマン・ショックを契機とする事業環境急変のなかで、不動産売買事業からは2015年12月期までに撤退し、2016年12月期以降は土地権利整備事業に特化して展開している。同社ではこの土地権利整備事業について“底地事業”と呼称しており、IR資料等でも広く使用している。

底地事業の事業モデルは以下のようなものだ。

土地を借りてその上に自己の建物を建てることは一般的に行われている。この場合、建物の所有者(Aとする)は土地を利用する権利(借地権)を有している(言うまでもなく、土地利用の対価、すなわち地代を支払う義務もある)。一方、土地の所有者(地主、Bとする)は、借地権の制限があるため、その土地を自由に利用することができない。このように、借地権が付いた土地を底地と言う。Bは土地の利用が制限されるものの、Aからの地代収入を得る権利を有することから、この土地を貸している権利を「底地権」と称することが住宅・不動産業界では一般的に行われている。

土地と建物の所有者が異なる状況は権利関係のねじれを生じされて複雑化するだけでなく、土地の価格にも影響を与える(借地権+底地権=所有権と図式化でき、借地権の分だけディスカウントされる)。そこで同社は、地主のBから底地(権)を取得し、それをAに販売して収益を上げるとともに、AB間の権利関係を整備する(Aは土地と建物の両方の所有者となる)事業を行っている。これが底地事業の基本的事業モデルとなっている。

なお、Aから建物を、Bから底地(権)をそれぞれ取得し、更地にして第三者に売却することもあるが、これはチャンスに恵まれた場合の結果であって、同社が底地事業として積極的に追求しているものではない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)




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