エリアリンク Research Memo(9):2019年12月期は、通期予想の超過達成の可能性が高い
[19/10/23]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2019年12月期通期見通し
2019年12月期通期についてエリアリンク<8914>は、売上高29,000百万円(前期比0.6%増)、営業利益2.800百万円(同0.6%増)、経常利益2,700百万円(同6.4%増)、当期純利益1,500百万円(同17.1%減)を予想している。
期初予想では減収減益を予想していたが上期(第2四半期累計期間)までの順調な進捗を受けて上方修正し、売上高、営業利益ともに前期並みの水準を確保する見通しとなっている。当期純利益については保有するストレージの減損やシステム更新投資にかかる減損などで約5億円の特別損失の計上を計画していることが理由だ。
同社は2019年12月期通期予想を上方修正したものの、上下バランスは前期から大きく変化している。今下期の業績予想は売上高8,860百万円(前年同期比40.5%減)、営業利益170百万円(同86.8%減)となっており、当期純利益については赤字転落を予想している(これらの数値は2019年7月25日の上方修正時の下期予想の予想だが、通期予想から上期実績を差し引いた値と大きな差はない)。
これらの数値を見ると、今下期の会社予想が控え目に過ぎ、通期予想の達成はもちろん、更なる上方修正もあり得るようにも思われる。しかしながら、今下期はいくつか特殊要因があり、通期予想は達成されたとしても、三度目の上方修正が必要な水準ほどの超過達成となるかについては注意が必要だと考えている。
この点は事業セグメント別に見た方がわかりやすいだろう。
不動産運用サービス事業は今下期について売上高8,422百万円(前年同期比34.1%減)、営業利益739百万円(同53.5%減)を予想している。下期だけを見れば非常に控え目という印象だが通期ベースで見れば売上高は前期比4.5%減、営業利益は18.8%減で、土地付きストレージからコンテナタイプへという注力事業の移行期にあることを考えれば妥当な予想と言えるだろう。
不動産再生・流動化サービスセグメントの今下期は、売上高438百万円(前年同期比79.2%減)、営業利益0百万円(前年同期は352百万円の利益)となっている。2019年4月23日時点の予想との比較では、売上高で2,235百万円、営業利益で504百万円、それぞれ下方修正された形となっている。今下期の業績予想に違和感を覚えるとすれば、その最大のポイントはここになるのではないだろうか。それは取りも直さず今下期への上方修正期待の源泉でもある。
しかしながらここで注意が必要なのは、上期において下期の収益計上を予定していた案件が前倒しで計上されていることだ。その額は同社によれば売上高で15億円、営業利益で3億円だった。したがって下期だけの下方修正分は売上高で約7億円、営業利益で2億円ということになる。この下方修正分をどう評価するかが今下期(及び通期)の業績変動可能性の見方のポイントになる。
この点について同社は、「来期(2020年12月期)に向け商業用底地及び関西進出の準備を進めているため」と説明している。取材を通じて弊社が理解したところでは、底地事業の拡大戦略のもと、仕入れを積極的に進めるがその販売までのタイムラグ(最大2年)をより長めに織り込んだことが前述の下方修正につながったということのようだ。売上計上の時期を先送りにした背景としては金融機関の融資姿勢なども含めた事業環境の変化や不動産市況の改善への期待などがあると考えられる。
以上のように見てくると、非常に保守的で今下期に更なる上方修正への期待が高まると見えた同社の業績予想も、実は相応の理由があってのことというのがわかる。通期予想を上回って着地する可能性が十分高いという見方は弊社も従来から変わらないが、その幅が業績修正の適時開示基準を上回るレベルになるかどうかは微妙だとみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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1. 2019年12月期通期見通し
2019年12月期通期についてエリアリンク<8914>は、売上高29,000百万円(前期比0.6%増)、営業利益2.800百万円(同0.6%増)、経常利益2,700百万円(同6.4%増)、当期純利益1,500百万円(同17.1%減)を予想している。
期初予想では減収減益を予想していたが上期(第2四半期累計期間)までの順調な進捗を受けて上方修正し、売上高、営業利益ともに前期並みの水準を確保する見通しとなっている。当期純利益については保有するストレージの減損やシステム更新投資にかかる減損などで約5億円の特別損失の計上を計画していることが理由だ。
同社は2019年12月期通期予想を上方修正したものの、上下バランスは前期から大きく変化している。今下期の業績予想は売上高8,860百万円(前年同期比40.5%減)、営業利益170百万円(同86.8%減)となっており、当期純利益については赤字転落を予想している(これらの数値は2019年7月25日の上方修正時の下期予想の予想だが、通期予想から上期実績を差し引いた値と大きな差はない)。
これらの数値を見ると、今下期の会社予想が控え目に過ぎ、通期予想の達成はもちろん、更なる上方修正もあり得るようにも思われる。しかしながら、今下期はいくつか特殊要因があり、通期予想は達成されたとしても、三度目の上方修正が必要な水準ほどの超過達成となるかについては注意が必要だと考えている。
この点は事業セグメント別に見た方がわかりやすいだろう。
不動産運用サービス事業は今下期について売上高8,422百万円(前年同期比34.1%減)、営業利益739百万円(同53.5%減)を予想している。下期だけを見れば非常に控え目という印象だが通期ベースで見れば売上高は前期比4.5%減、営業利益は18.8%減で、土地付きストレージからコンテナタイプへという注力事業の移行期にあることを考えれば妥当な予想と言えるだろう。
不動産再生・流動化サービスセグメントの今下期は、売上高438百万円(前年同期比79.2%減)、営業利益0百万円(前年同期は352百万円の利益)となっている。2019年4月23日時点の予想との比較では、売上高で2,235百万円、営業利益で504百万円、それぞれ下方修正された形となっている。今下期の業績予想に違和感を覚えるとすれば、その最大のポイントはここになるのではないだろうか。それは取りも直さず今下期への上方修正期待の源泉でもある。
しかしながらここで注意が必要なのは、上期において下期の収益計上を予定していた案件が前倒しで計上されていることだ。その額は同社によれば売上高で15億円、営業利益で3億円だった。したがって下期だけの下方修正分は売上高で約7億円、営業利益で2億円ということになる。この下方修正分をどう評価するかが今下期(及び通期)の業績変動可能性の見方のポイントになる。
この点について同社は、「来期(2020年12月期)に向け商業用底地及び関西進出の準備を進めているため」と説明している。取材を通じて弊社が理解したところでは、底地事業の拡大戦略のもと、仕入れを積極的に進めるがその販売までのタイムラグ(最大2年)をより長めに織り込んだことが前述の下方修正につながったということのようだ。売上計上の時期を先送りにした背景としては金融機関の融資姿勢なども含めた事業環境の変化や不動産市況の改善への期待などがあると考えられる。
以上のように見てくると、非常に保守的で今下期に更なる上方修正への期待が高まると見えた同社の業績予想も、実は相応の理由があってのことというのがわかる。通期予想を上回って着地する可能性が十分高いという見方は弊社も従来から変わらないが、その幅が業績修正の適時開示基準を上回るレベルになるかどうかは微妙だとみている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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