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はてな Research Memo(6):2020年7月期は成長基盤確立への先行投資により、一時的に減益に転じる見通し

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2020年7月期業績見通し
はてな<3930>の2020年7月期の業績は、売上高で前期比10.3%増の2,781百万円、営業利益で同36.6%減の287百万円、経常利益で同36.2%減の287百万円、当期純利益で同39.9%減の197百万円と増収減益を見込んでいる。売上高については前下期に失速したコンテンツプラットフォームサービスも含めてすべての部門で増収を見込んでいるが、中長期的な成長基盤構築を目的とした先行投資(人材投資、ITインフラ投資等)の実行により減益となる。ただ、2021年7月期以降はこれら投資の効果が顕在化し、利益率も上昇に転じるものと弊社では見ている。

(1) 部門別売上見通し
コンテンツプラットフォームサービスの売上高は前期比17.7%増の684百万円となる見通し。前述したように、前下期の減収要因であった一部アドネットワーク先との接続回復や「はてなブログ」等への登録者数及び訪問者数の増加による広告収入増が見込まれるほか、有料サービスとなる「はてなブログPro」の契約数増に伴う課金収入増も見込まれる。ただ、アドネットワーク先との接続回復時期が遅れるようだと、広告収入が下ぶれするリスクはある。

コンテンツメディアサービスの売上高は前期比2.3%増の872百万円を見込む。「はてなブログMedia」のサービスのうち、月額基本料は見通しがつきやすいが、コンテンツ制作料や広告掲載料は顧客ごとにニーズが異なるため、期初段階では保守的に計画に織り込んでいる。なお、当期の運用件数は前期比29件増の104件を目標としている。企業のデジタルマーケティング戦略や人材採用戦略において、オウンドメディアを活用する動きが続いており、こうした需要を確実に取り込んでいく。前期は計画を上回る運用件数、並びに売上高を達成しており、当期も計画の上振れが期待される。

テクノロジーソリューションサービスの売上高は前期比12.6%増の1,224百万円と2ケタ成長が続く見通し。ストック型サービスである「Mackerel」は、開発体制並びに販売体制の拡充に伴う積極的な拡販施策によって、累積顧客指数で前期末比34.5%増と高成長を見込んでいる。2019年10月にはソニービズネットワーク(株)が提供するAWS導入・運用支援サービス「マネージドクラウド with AWS」のオプションサービスとして「Mackerel」が採用され提供を開始したことを発表しており、販売ネットワークの拡充も進んでいる。

IT専門調査会社であるIDC Japan(株)の予測によると、国内のパブリッククラウドサービス市場は2018年から2023年までの5年間で年率20%の成長が続く見通しとなっている。このため、サーバー監視業務の負担軽減に寄与する「Mackerel」の需要も同様に高成長が期待される。なお、類似サービスとして米Datadog(データドック)の「Datadog」というサービスがあるが、機能的にはアプリケーションソフトの監視も行うなど「Mackerel」よりも守備範囲が広くなっており価格帯も高い。このため、市場の棲み分けが成されているものと考えられる。

「GigaViewer」については、当期も数件の新規導入が予定されており、Webマンガではほぼデファクトスタンダードの位置付けとなってきている。開発・運用料だけでなく、「GigaViewer」上での課金機能を拡充していくことで課金モデルによるレベニューシェアを獲得していくなど、収益増に向けた取り組みにも注力していく方針だ。

(2) 事業費用
事業費用は前期比20.6%増の2,494百万円を見込んでいる。内訳は人件費で同28.6%増の1,343百万円、DC利用料で同26.8%増の539百万円、その他費用で同2.3%増の612百万円となる。

人件費については、エンジニアを中心に前期の2倍となる36名の増員(期末従業員数は178名)を計画している。受託サービスの引き合いが旺盛で開発のリソースが不足していることや、中期的な成長を見据えて人材投資を積極化する。従来は、インターンの採用やリファラル採用が中心であったが、当期からは人材サービス会社も活用して増員を進めていくことにしており、採用費の増加も計画に織り込んでいる。

DC利用料の増加要因については、既存サービスの成長に連動した増加に加えて、サービスの品質向上・維持のための戦略的投資も2〜3割程度含まれている。例えば、「Mackerel」や「はてなブログMedia」などSaaSサービスの品質向上を図るため、ミドルウェアソフトの機能を一段階引き上げる予定にしており、それに伴って利用料金も増加する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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