ジャストプラ Research Memo(7):「Putmenu」は行列のできる飲食・物販店などでのニーズを見込む(1)
[19/10/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
2. Putmenu事業の状況と今後の展開
ジャストプランニング<4287>は「まかせてネット」に続く新たな収益柱として、飲食店等の注文・会計待ち時間「0分」を実現するサービス「Putmenu」の事業拡大に注力している。販売ターゲットとしては、飲食店だけでなくショッピングモールやアウトレットモールのフードコート、各種イベント会場など注文や決済等で行列の発生しやすい場所のほか、外国人利用客の多いホテルや観光地等が挙げられる。また、事前注文を可能とすることで食材の廃棄ロス削減効果が期待できる社内食堂でも2019年より導入されるなど、2018年の事業開始以降、様々な利用シーンで導入が拡がりつつある。
現状は各導入先においての運用状況を収集・分析し、その中で改善点などを抽出・解決しながらサービスの品質向上に取り組んでいる。導入スピードがやや遅く見えるのは、こうしたPDCAサイクルを回しながら着実に事業を進めているためだ。なかでも、観光地向けの「街ごとキャッシュレス」の取り組みについては、現地での関心やニーズはあるものの、実際の運用方法などの方針を固めるのに時間が掛かっているようで、2020年1月期は、第1弾として始める「妙高 街ごとキャッシュレス」※をモデルケースに運用方法を固め、パッケージ化して横展開していく方針となっている。開発費等は2020年1月期がピークとなるため、2021年1月期以降は導入先の拡大により収益貢献してくるものと予想される。各利用シーンでの取り組み状況は以下のとおり。
※妙高市(新潟県)内のスキー場やその周辺にある飲食店舗、道の駅、宿泊施設、交通機関等で「Putmenu」を利用できるようにする取り組み。2019年11月頃より運用を開始する予定。
(1) 外食/中食
フードコート向けでは2018年1月より、イオンモール<8905>幕張新都心店のフードコート内店舗「おひつごはん四六時中」に導入を開始したのを皮切りに、同年9月には新規オープンしたイオンスタイル仙台卸町のフードコート(11店舗、700席)、同年11月には丸井グループ<8252>のショッピングモール「モレラ岐阜」のフードコート(4店舗)の専用アプリ「モレラオーダー」として採用されたほか、2019年9月には西日本で初となる大丸心斎橋店のフードホール(15店舗)にも導入され運用を開始している。
「Putmenu」導入後の効果としては、混雑時の待ち時間解消により他のフードコートと比較して時間当たり注文件数がピーク時には2倍に増加したことが挙げられる。従来は物理的に1分当たり1件の注文処理が限界であり、注文のための行列ができれば利用客が他店舗に流れ売上機会ロスにつながることもあったが、「Putmenu」を利用すればこうした問題も解消されることになる。なお、これら顧客企業での横展開が進んでいないように見えるが、既存店舗においては既に導入されているPOSレジシステムと連携するための開発費用がかかるほか、2019年10月に導入された軽減税率への対応が経営の優先課題となっていたためと考えられる。各メーカーのPOSレジシステムとの連携を可能とするシステム改良も2020年1月期中に目途がつくようで、2020年1月期以降は都市部で集客力が高いショッピングモールなどを中心に導入件数も増加していくものと予想される。
そのほか、2018年11月より(株)ベイシアが運営するスーパーマーケット「ベイシア新座店」で惣菜の事前注文・決済サービス「タッチdeデリカ」として「Putmenu」が採用されている。当日1時間前から最大3日後まで、受取日時を指定して注文できるサービスで、指定時間になると自動でスマートフォンへの呼び出しプッシュ通知が届き、利用者は注文時に指定した時間に店舗に受け取りに向かい、できたての惣菜をすぐに受け取ることができる仕組みとなっている。決済処理に関してはスマートフォンのGPS機能を使って20km圏内で可能となる。店舗側から見れば、受注生産が可能となり販売量の予測精度が高まることで、食材の廃棄ロス削減効果が期待できることになる。当初は、会社から帰宅する際に同サービスを利用するケースを想定していたが、そのほかにも休日の行楽用食材の購入のため事前に予約注文するといった使い方をするケースもあるようだ。
2019年7月より、イオンスタイル甲子園でイベント観戦セット(総菜+飲料等)の販売を2種類限定で開始した。従来は試合前になるとレジが混雑して行列ができていたが、「Putmenu」の導入により混雑具合が改善されるなど効果が出ており、今後、セットメニューの拡充を進めていく予定となっている。
(2) イベント会場
「Putmenu」の導入先として、イベント会場も有力なターゲットとなる。2018年11月に第1弾として、男子プロバスケットボールチーム「千葉ジェッツふなばし」のホームアリーナ「船橋アリーナ」(船橋市総合体育館)のフードラウンジに導入された。バスケットボールの試合観戦では、ハーフタイム(15分間)内に観客も軽食やドリンクを購入するため、フードラウンジで行列に並ぶ必要(試合再開に間に合わない可能性)があったが、「Putmenu」を利用することで、観客席から商品を注文し、行列に並ぶことなく商品を購入できるようになる。「Putmenu」導入後のフードラウンジにおける売上は25%以上アップし、顧客満足度も向上するなど、想定以上の導入効果が出ている。
「Putmenu」で商品を購入した場合、サービス料として通常料金の8%を徴収しているが、それでもリピート率は80%を超えており、同サービスに対するニーズの大きさがうかがえる。また、Bリーグでは2019年10月3日の開幕試合の公式グッズ販売の予約注文・決済に「Putmenu」を試験的に導入した。今後は、販売結果等を見ながら継続的に利用していくかどうか決めていくと思われるが、アリーナでのグッズ販売についても行列ができるため、「Putmenu」を継続的に利用していくことが期待される。
一方、プロサッカーのJリーグでも、前述したように「ファジアーノ岡山FC」のホームスタジアム「シティライトスタジアム」で2019年7月より導入を開始しており、顧客満足度の向上と売上アップに寄与している。そのほか、2019年9月に東京で開催された国内最大級の和牛フェスティバル「東京和牛ショー2019-Autumn-」(9月11日-16日)でも「Putmenu」が導入された。同フェスティバルはチケット制だったためチケットを購入するために長蛇の列ができていたが、「Putmenu」の利用率も高く、一時システムがダウンするほどアクセスが集中する状況となっていた。イベント会場など行列ができる場所での「Putmenu」のニーズの高さが確認されたことから、今後もイベント会場での導入は積極的に推進していく方針となっている。なお、イベント会場向けの収益モデルとしては、サービス料金を運営会社とレベニューシェアする方式であり、流通額に比例して同社の収益も拡大する格好となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. Putmenu事業の状況と今後の展開
ジャストプランニング<4287>は「まかせてネット」に続く新たな収益柱として、飲食店等の注文・会計待ち時間「0分」を実現するサービス「Putmenu」の事業拡大に注力している。販売ターゲットとしては、飲食店だけでなくショッピングモールやアウトレットモールのフードコート、各種イベント会場など注文や決済等で行列の発生しやすい場所のほか、外国人利用客の多いホテルや観光地等が挙げられる。また、事前注文を可能とすることで食材の廃棄ロス削減効果が期待できる社内食堂でも2019年より導入されるなど、2018年の事業開始以降、様々な利用シーンで導入が拡がりつつある。
現状は各導入先においての運用状況を収集・分析し、その中で改善点などを抽出・解決しながらサービスの品質向上に取り組んでいる。導入スピードがやや遅く見えるのは、こうしたPDCAサイクルを回しながら着実に事業を進めているためだ。なかでも、観光地向けの「街ごとキャッシュレス」の取り組みについては、現地での関心やニーズはあるものの、実際の運用方法などの方針を固めるのに時間が掛かっているようで、2020年1月期は、第1弾として始める「妙高 街ごとキャッシュレス」※をモデルケースに運用方法を固め、パッケージ化して横展開していく方針となっている。開発費等は2020年1月期がピークとなるため、2021年1月期以降は導入先の拡大により収益貢献してくるものと予想される。各利用シーンでの取り組み状況は以下のとおり。
※妙高市(新潟県)内のスキー場やその周辺にある飲食店舗、道の駅、宿泊施設、交通機関等で「Putmenu」を利用できるようにする取り組み。2019年11月頃より運用を開始する予定。
(1) 外食/中食
フードコート向けでは2018年1月より、イオンモール<8905>幕張新都心店のフードコート内店舗「おひつごはん四六時中」に導入を開始したのを皮切りに、同年9月には新規オープンしたイオンスタイル仙台卸町のフードコート(11店舗、700席)、同年11月には丸井グループ<8252>のショッピングモール「モレラ岐阜」のフードコート(4店舗)の専用アプリ「モレラオーダー」として採用されたほか、2019年9月には西日本で初となる大丸心斎橋店のフードホール(15店舗)にも導入され運用を開始している。
「Putmenu」導入後の効果としては、混雑時の待ち時間解消により他のフードコートと比較して時間当たり注文件数がピーク時には2倍に増加したことが挙げられる。従来は物理的に1分当たり1件の注文処理が限界であり、注文のための行列ができれば利用客が他店舗に流れ売上機会ロスにつながることもあったが、「Putmenu」を利用すればこうした問題も解消されることになる。なお、これら顧客企業での横展開が進んでいないように見えるが、既存店舗においては既に導入されているPOSレジシステムと連携するための開発費用がかかるほか、2019年10月に導入された軽減税率への対応が経営の優先課題となっていたためと考えられる。各メーカーのPOSレジシステムとの連携を可能とするシステム改良も2020年1月期中に目途がつくようで、2020年1月期以降は都市部で集客力が高いショッピングモールなどを中心に導入件数も増加していくものと予想される。
そのほか、2018年11月より(株)ベイシアが運営するスーパーマーケット「ベイシア新座店」で惣菜の事前注文・決済サービス「タッチdeデリカ」として「Putmenu」が採用されている。当日1時間前から最大3日後まで、受取日時を指定して注文できるサービスで、指定時間になると自動でスマートフォンへの呼び出しプッシュ通知が届き、利用者は注文時に指定した時間に店舗に受け取りに向かい、できたての惣菜をすぐに受け取ることができる仕組みとなっている。決済処理に関してはスマートフォンのGPS機能を使って20km圏内で可能となる。店舗側から見れば、受注生産が可能となり販売量の予測精度が高まることで、食材の廃棄ロス削減効果が期待できることになる。当初は、会社から帰宅する際に同サービスを利用するケースを想定していたが、そのほかにも休日の行楽用食材の購入のため事前に予約注文するといった使い方をするケースもあるようだ。
2019年7月より、イオンスタイル甲子園でイベント観戦セット(総菜+飲料等)の販売を2種類限定で開始した。従来は試合前になるとレジが混雑して行列ができていたが、「Putmenu」の導入により混雑具合が改善されるなど効果が出ており、今後、セットメニューの拡充を進めていく予定となっている。
(2) イベント会場
「Putmenu」の導入先として、イベント会場も有力なターゲットとなる。2018年11月に第1弾として、男子プロバスケットボールチーム「千葉ジェッツふなばし」のホームアリーナ「船橋アリーナ」(船橋市総合体育館)のフードラウンジに導入された。バスケットボールの試合観戦では、ハーフタイム(15分間)内に観客も軽食やドリンクを購入するため、フードラウンジで行列に並ぶ必要(試合再開に間に合わない可能性)があったが、「Putmenu」を利用することで、観客席から商品を注文し、行列に並ぶことなく商品を購入できるようになる。「Putmenu」導入後のフードラウンジにおける売上は25%以上アップし、顧客満足度も向上するなど、想定以上の導入効果が出ている。
「Putmenu」で商品を購入した場合、サービス料として通常料金の8%を徴収しているが、それでもリピート率は80%を超えており、同サービスに対するニーズの大きさがうかがえる。また、Bリーグでは2019年10月3日の開幕試合の公式グッズ販売の予約注文・決済に「Putmenu」を試験的に導入した。今後は、販売結果等を見ながら継続的に利用していくかどうか決めていくと思われるが、アリーナでのグッズ販売についても行列ができるため、「Putmenu」を継続的に利用していくことが期待される。
一方、プロサッカーのJリーグでも、前述したように「ファジアーノ岡山FC」のホームスタジアム「シティライトスタジアム」で2019年7月より導入を開始しており、顧客満足度の向上と売上アップに寄与している。そのほか、2019年9月に東京で開催された国内最大級の和牛フェスティバル「東京和牛ショー2019-Autumn-」(9月11日-16日)でも「Putmenu」が導入された。同フェスティバルはチケット制だったためチケットを購入するために長蛇の列ができていたが、「Putmenu」の利用率も高く、一時システムがダウンするほどアクセスが集中する状況となっていた。イベント会場など行列ができる場所での「Putmenu」のニーズの高さが確認されたことから、今後もイベント会場での導入は積極的に推進していく方針となっている。なお、イベント会場向けの収益モデルとしては、サービス料金を運営会社とレベニューシェアする方式であり、流通額に比例して同社の収益も拡大する格好となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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