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サーバーワークス Research Memo(3):ストック収入が売上高の8割強、高成長かつ安定性も兼ね備える収益構造

注目トピックス 日本株
■事業概要

3. 事業内容
サーバーワークス<4434>は企業がクラウド化を進めるためのコンサルティング、設計・構築フェーズから、運用・保守フェーズまで一貫したサービスを提供している。サービスとしては、クラウドを導入するに当たっての計画策定から基盤のデザイン設計、構築・導入支援を行うクラウドインテグレーションサービス、AWSを中心としたクラウドサービスに独自の付加サービスを加えて顧客に販売するリセールサービス、AWS上に構築したシステムの障害監視や運用・保守等を請け負うMSPサービスの3つのサービスで構成され、その他として大学合否通知サービス事業の売上を計上している。

直近3年間の売上構成比では、リセールサービスが72%台と大半を占めており、次いでクラウドインテグレーションとMSPサービスが13%前後で並んでいる。このうちリセールサービスとMSPサービスは既存顧客から定期的に売上計上が見込めるストック型ビジネスとなり。売上構成比で約85%の水準となる。このため、新規導入案件が減少したとしても、全体の売上高に与えるマイナスの影響は小さく、ストック収入の売上拡大よって安定した収益成長が見込まれる。

(1) クラウドインテグレーション
同社は、オンプレミス環境で運用されてきた企業の基幹・業務系システムをAWSに移行するための導入支援サービスを提供している。

2019年10月1日時点で累計導入社数は740社、プロジェクト数で6,900件超となっており、ここ数年は1プロジェクト当たりの平均単価も上昇傾向にある。これは大企業でのクラウド移行が進み始めており、比較的規模の大きいプロジェクトの受注が増えていることが要因となっている。

(2) リセール
2011年7月にAWSとVAR契約(付加価値再販売契約)を締結して以来、日本におけるAWSのリセラーとして再販売を行っている。同社は課金代行サービスや自社開発したAWS運用自動化サービス「Cloud Automator」を合わせて提供し、顧客メリットを打ち出すことでリセール契約に結び付けている。

課金代行サービスとは、AWS利用料金の支払いがドル決済のため、同社が顧客に代わって決済を行い、顧客には日本円で請求書を発行(月末レートで円換算して請求)することで、顧客の業務負担を軽減するサービスとなる。また、AWS料金は利用時間に応じた従量課金制となっているが、あらかじめ利用するサーバースペックや利用期間等を予約することで大幅な割引料金が適用されるReserved Instance(リザーブド・インスタンス)※と呼ぶサービスがあり、利用している企業も多い。

※期間は1年と3年の2通りがあり、支払オプションとして「全額前払い」「一部前払い」「前払いなし」の3通りがあり、「一部前払い」「前払いなし」については残額分は利用期間を通じて月額で支払うことになる。


保険サービスとは、AWSでシステム障害が発生し顧客企業が損害を被った場合に補償するサービスとなる。また、「Cloud Automator」では顧客が任意の時間にデータのバックアップやインスタンスの起動/停止を設定し、オペレーションを自動化する機能のほか、AWSリソースが決められたルールどおりに構成されているかを定期的にレビューする機能があり、利便性の向上やコスト削減に寄与するサービスとなっている。丸紅<8002>が同社でAWSを導入する決め手となったのも、「Cloud Automator」にある。丸紅ではグループ全体でAWSを導入する際に、2千台のサーバーが必要であった。土日深夜帯は稼働しないため、AWS利用料の削減をどうするかが課題となっていたが、「Cloud Automator」による自動停止機能を使うことで、5年間で270百万円の費用削減が可能であることが明らかとなった。

2020年2月期第2四半期末におけるAWSのアカウント数(リセール契約数)は1,002件で前年同期末比42.9%増と高成長が続いている。2020年2月期よりクラウド導入支援プロジェクトを受注する際に、リセールまたは後述するMSPの契約をセットで付けることを条件としたことが高成長の要因になっていると見られる。収益性についてはリセール収入という特性上、他のサービスと比較して相対的に低いが、契約件数の増加とともに収入が積み上がっていくストック型ビジネスとなるため、安定収益源として収益拡大に貢献することになる。なお、解約は発生しているものの、そのほとんどは一時利用目的(キャンペーン用やテスト利用等)が理由となっている。

(3) MSP
顧客がAWS上に展開した仮想サーバーやネットワークの監視・運用・保守等を請け負うサービスで、テラスカイと合弁で設立した(株)スカイ365において24時間365日体制で性能監視、障害監視・復旧、バックアップ等の運用サービスを行っている。料金体系は、利用期間に応じて課金するサブスクリプション型のビジネスモデルとなっており、持続的かつ長期的な安定収入が見込めるため、ストック型ビジネスと位置付けている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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