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C&R社 Research Memo(6):ゲーム分野の減益をTV/映像、医療、会計・法曹分野の増益でカバーする(1)

注目トピックス 日本株
■クリーク・アンド・リバー社<4763>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) クリエイティブ分野(日本)
クリエイティブ分野(日本)の売上高(社内取引含む、以下同様)は前年同期比11.0%増の11,906百万円、営業利益は同17.7%減の534百万円となった。売上高は映像(テレビ、映画)、ゲーム、Web等の主力3分野を中心に請負、派遣需要が旺盛に推移したほか、新規エージェンシー事業も順調に売上げを伸ばした。一方、営業利益は利益率の高い政策受託案件が増加したほか、自社媒体を活用した集客の効率化が進んだものの、既存事業における戦略的な人員増強や新規事業への先行投資、グループ本社への移転・集約化並びに大阪支社の増床に伴う賃借料の増加等に加えて、クレイテックワークスの新作スマートフォン向けゲーム「パレットパレード」の開発費増加が減益要因となった。

分野別の動向を見ると、映像分野は制作スタジオを中心にTV番組の企画・制作力を強化し、地上波、BS放送等の需要増に対応するとともに、(株)AbemaTV等の動画配信サービスへの取り組みを強化したことにより、売上高で1割増となり、利益面でも増収効果や生産性向上により大幅増益となった。

ゲーム分野においては、受託開発案件の増加や2018年7月より連結子会社に加わったクレイテックワークスの寄与により売上高は2割増となったものの、営業利益は「パレットパレード」の開発期間が長期化したことに伴う費用増や、新たな取り組みとして開始した業界未経験者の育成機関となる「クリエイティブ・アカデミー」や「TECH STADIUM」の立ち上げ費用を主因として2ケタ減益となった。なお、アカデミーについては教育期間が3ヶ月間で、修了した人材の大半は戦力化して収益貢献している(30〜40人/1クール)。このため第2四半期だけで見ると黒字化しており、下期で上期分の赤字(30百万円)は吸収できる見込みとなっている。

Web・紙媒体等分野は1ケタ台の増収増益となった。Web・広告・出版業界に特化した業界最大級の求人情報サイト「Webist(ウェビスト)」を通じたWebクリエイターのネットワーク強化が進み、エージェンシー事業が好調に推移したものの、前年同期は官公庁向け大型案件があったこともあり伸び率はやや鈍化した。新たな取り組みとして2018年7月に新規開設したAI/IoT領域の求人サイト「Symbiorise(シンビオライズ)」を通じたデータ分析者等の人材紹介サービスなど、デジタルマーケティング分野におけるサービスも着実に増加している。

電子書籍・YouTube分野は1割増収となったものの、営業利益は2ケタ減となった。電子書籍に関しては複数の電子書店経由での配信数・ダウンロード数が順調に増加し、Youtube関連では企業やテレビ番組の公式チャンネルの運用受託等が増加した。ただ、利益面では前年同期に好調だった中国向け海外版権エージェンシー事業の低迷が響いて減益となった。中国では景気の先行き不透明感から海外コンテンツの版権購入意欲が冷え込んでいることから、下期は中国以外の国への販売に注力し、中国向けの落ち込みをカバーしていく方針となっている。

新規エージェンシー分野のうち、建築分野では一級建築士等のネットワークが2,600人を超える規模にまで拡大したことで、エージェンシー事業が堅調に推移したほか、プロデュース事業についても個性的な賃貸物件をプロデュースする「CREATIVE RESIDENCE®」シリーズのうち、前期に発表した屋内ガレージ付戸建賃貸「STAPLE HOUSE®」の引き合いが増加しているほか、レストラン等の戸建以外のプロデュースにも実績が広がり始めており、増収増益となっている。

VR分野については、子会社のVR JapanとIDEALENS製のVRゴーグルを活用した「VR遠隔医療教育通信システム」等のコンテンツ配信、システム開発のほか、企業の教育研修やアミューズメント施設、観光施設等向けにコンテンツ制作から機器の提供までを一貫して行うシステムインテグレータとしての取り組みに注力しているが、新機種である4K高解像度ディスプレイ「IDEALENS K4」の販売開始が2019年9月にずれ込んだこともあり、収益に大きな変化は見られなかった。

その他、新たな取り組みとして2019年2月よりバイオロジーやケミカル等のライフサイエンス分野の研究開発を補佐するリサーチャー(研究開発支援者)のエージェンシー事業を開始したほか、同年3月より各分野のプロフェッショナルが専門技術と語学力をともに高める「プロフェッショナル語学」サービスを、医療分野より開始している。リサーチャー・エージェンシー事業では既に、バイオベンチャーや大学、研究機関、製薬会社等から200件超の受注を、自社運営の専門サイト「Laboしごと」等を通じて獲得している。また、「プロフェッショナル語学」サービスでは医師免許を持つ海外ドクター等20人以上が医療語学のトレーナーとなっており、対面及びオンライン形式でサービスを提供している。今後はクリエイティブや法曹分野でもサービス展開すべく、準備を進めている段階にある。

(2) 医療分野
子会社の(株)メディカル・プリンシプル社(出資比率100.0%)で展開する医療分野では、「民間医局」のブランドによる医師紹介事業を中心に、医学生・研修医を対象とした「レジナビフェア」、臨床研修情報サイト「レジナビ」、医師の転職・求人・募集サイト「MediGate(メディゲート)」、医師を対象に提供する教育プログラム「民間医局アカデミー」等のサービスを、全国16拠点の営業体制で提供している。

当第2四半期累計の売上高は前年同期比9.9%増の2,558百万円、営業利益は同17.4%増の749百万円と半期ベースで過去最高を2年ぶりに更新した。全国各地での慢性的な医師不足、地域的偏在を背景に医師の求人ニーズが引き続き旺盛ななかで、10万人を超える医師ネットワーク基盤を強みとして紹介事業を中心に収益を拡大した。新規事業の投資費用60百万円も含まれており、既存事業だけで見れば増益率はさらに高かったことになる。

なお、新規事業のうち、M&Aや事業承継等のコンサルティング事業についてはまだ受注実績はないものの、潜在需要は大きい。国内の病院及び診療所(歯科診療所含む)の数は2019年7月時点で17.9万施設あるが、このうち診療所を中心に6.5万施設は事業承継の悩みを抱えていると言われているためだ。現在、4名体制で営業活動を行っており、今後の受注獲得が期待される。また、2019年4月に画像診断ナレッジサービス「読影指南」※の開発元であるNPO法人のメディカル指南車と業務提携を締結し、「民間医局」の会員向けに「読影指南」の販売を開始している。臨床現場で画像診断を行う必要のある医師は約30万人に上り、これら医師の画像診断力向上や画像診断医師の不足に寄与するサービスとして、また、医学生向けの教育用ツールとしての需要増加が見込まれる。

※医師が信頼性の高い画像診断の知識・経験を効率的に習得できるように、大学病院が保有している症例と専門医の知識・経験をコンピュータに理解させ、医師にWebサービスとして提供する画像診断ナレッジサービス。胸部X線、腹部超音波、上部消化管内視鏡の3つの分野において画像診断ナビゲーター(医師の画像診断支援)、画像診断シミュレーター(医学生や研修医等の学習教材)の2種類のサービスを各1,000円/月で提供している(学生は半額)。


(3) 会計・法曹分野
会計分野は子会社のジャスネットコミュニケーションズ(株)(出資比率100.0%)、法曹分野は同様にC&Rリーガル・エージェンシー社(同90.0%)がエージェント事業を中心に展開している。当第2四半期累計の売上高は前年同期比10.9%増の1,044百万円、営業利益は同149.3%増の107百万円となり、2年ぶりに過去最高を更新した。前年同期は戦略的に人材投資、広告宣伝費等を投下したことで微減益となったが、当期は投資の効果が顕在化した格好だ。

会計分野では、4.2万人の会計士・税理士のネットワークを強みに、前期から本格的に開始した「事業承継・M&A支援サービス」などを含めて着実に売上げを伸ばしている。一方、法曹分野では2018年9月に「弁護士転職.jp」を新規開設した効果もあって、弁護士登録者数が前年同期の1.07万人から1.19万人に拡大し、法律事務所や企業への紹介件数が順調に増加した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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