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日本調剤 Research Memo(1):3つの事業セグメントが順調に伸長。薬機法改正への“備え”も着実に進捗

注目トピックス 日本株
■要約

日本調剤<3341>は調剤薬局の国内トップクラス企業で、調剤薬局事業の売上高では第2位を誇る。自社グループでジェネリック医薬品の製造も行っており、メーカー機能を有しているところが特徴的だ。さらに、医療従事者を対象にした人材派遣・紹介事業と情報提供・コンサルティング事業も加え、4部門体制で事業展開している。

1. 2020年3月期第2四半期は3分野とも順調に伸長し増収増益で着地。利益のバランスも改善
同社の2020年3月期第2四半期決算は、売上高130,297百万円(前年同期比9.8%増)、営業利益4,066百万円(同162.8%増)と増収・大幅増益で着地した。3つの事業セグメント全てで前年同期比増収増益になるとともに、営業利益が期初計画を上回り、極めて順調な決算だった。さらには、医薬品製造販売事業と医療従事者派遣・紹介事業が営業利益を大きく伸長させたことで、利益面において事業セグメント間のバランスが良化し、中長期的に目指す収益構造の実現に向けて着実に進んでいることがうかがえる内容となった。

2. 中長期的成長に向けて、調剤薬局事業のみならず医薬品製造販売事業も本格拡大期に
同社は『2030年に向けた長期ビジョン』のもと成長戦略に取り組んでいる。調剤薬局事業では2019年薬機法改正が大きな転機となりそうだ。そこで重要となるのが人材、すなわち薬剤師の質の向上とみられるが、同社は質の高い教育を実施し、それがモチベーション効用や医療サービス、収益の向上へとつながり、定着率向上や更なる人材確保へつながる好循環を生みだすことに成功している。医薬品製造販売事業では調剤薬局事業との連携モデルが機能しており、販売面は順調に進捗している。前期までに当面必要となる設備への投資が完了し、新工場の順調な稼働も確認できたことで、今後は生産面での収益アップを本格的に追求するステージに入る。その解の1つが受託製造で、これまでに順調に契約を獲得しているが大型案件も含め、更なる契約拡大を目指して取り組んでいる。

3. 2020年3月期下期も業績は順調に推移する見通し。三津原庸介新社長が打ち出す新機軸に注目
2020年3月期通期見通しについて、同社は期初予想を据え置いた。2020年3月期第2四半期の進捗が順調だったことから、通期予想の達成はもちろん、上振れ幅が適時開示基準を超えて上方修正となることへの期待も高まっている。しかしながらこの点については、消費税率引き上げに伴う2019年10月の薬価改定の影響もあるため、一度立ち止まって慎重に推移を見極めることが賢明だろう。いずれにしても業績面での不安感は小さいため、2020年4月の調剤報酬改定とそれへの対応を含めた、中長期的な方向性にむしろ目を向けるべきと弊社では考えている。その大きなヒントは前述の薬機法改正にあるが、加えて2019年6月に就任した三津原庸介(みつはらようすけ)新社長がどのような新機軸を打ち出し、成長戦略を加速させてくるかにも注目したい。

■Key Points
・『2030年に向けた長期ビジョン』をベースとするスタンスは不変
・2019年の薬機法改正で「人材」の重要性が一段と高まるが、備えは着実に進行中
・医薬品製造販売事業は生産と販売の両面で高効率モデルが実現し、利益が急拡大するステージに

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)




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