Jトラスト Research Memo(2):日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業を中心に業績回復基調(1)
[19/12/06]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2019年12月期第2四半期の業績概要
Jトラスト<8508>は、国内外の金融事業、非金融事業などの事業会社を統括するホールディングカンパニーであり、日本金融事業をベースに、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業をけん引役として持続的な利益拡大を図りながら、既成概念にとらわれないファイナンシャルサービスを提供する企業体を目指している。
同社では、グループの営業収益の半分以上を海外子会社で獲得しており、今後も海外を中心に事業展開を進めていくことから、ほとんどの海外子会社の決算期である毎年12月31日に決算期をそろえることで、更なるグローバルな事業の一体運営を推進し、さらに経営情報の適時・適切な開示による経営の透明化をより一層図ることとした。したがって、2019年12月期は2019年4月1日から2019年12月31日までの9ヶ月間の変則決算となる。
2019年12月期第2四半期連結決算では、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業が第1四半期に続き好調に推移し、特に韓国及びモンゴル金融事業は期初に設定した業績予想を大きく上回る好業績であった。ただ、東南アジア金融事業は引き続き損失を計上した。カンボジアでJTRBの株式を取得し、負ののれん発生益をその他の収益に計上した一方で、Jトラスト銀行インドネシアにおいて、フォークローズドアセット評価損を計上したことや、マルチファイナンス会社のJTOが営業損失を計上したことが響いた。
以上の結果、2019年12月期第2四半期の営業収益は36,307百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益は118百万円(同366.2%増)の減収増益となった。不良債権処理に伴い大幅減益となった前年同期に比べ、利益は大きく改善した。JTRBの株式取得に伴い負ののれん発生益2,278百万円をその他の収益として計上したが、当該株式取得に係る費用2,193百万円を全社費用の販管費に計上したことから、営業利益への影響はほぼ中立であった。また、金融収益の減少や法人所得税の増加などに伴い継続事業からの損失を計上したものの、前年同期の非継続事業からの損失(ハイライツ・エンタテインメント(株)譲渡に伴う損失)がなくなり、親会社の所有者に帰属する四半期損失は1,279百万円(前年同期は2,182百万円の損失)に縮小した。
同社では第2四半期の業績予想を開示していないが、安定的利益を計上する日本金融事業と、大幅増益となった韓国及びモンゴル金融事業が東南アジア金融事業の損失をカバーし、第2四半期の営業利益は既に通期予想61百万円の1.9倍に達しており、予想を上回る業績回復を見せている。
2. セグメント別業績
同社グループは、日本で構築したビジネスモデルを海外展開することで、アジアの総合ファイナンシャルグループへと成長を遂げてきた。現在、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業、投資事業、非金融事業(総合エンターテインメント事業と不動産事業の合算)の5事業セグメントを展開するが、メインとなる金融3事業が営業収益全体の8割強を占める。2019年12月期第2四半期は、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業が利益を確保し、東南アジア金融事業、投資事業の損失を補った。
(1) 日本金融事業
2019年12月期第2四半期における日本金融事業は、債務保証残高の増加に伴い保証料収益が堅調に推移したことから営業収益はほぼ前年同期並みの4,908百万円(前年同期比0.1%増)を計上し、セグメント利益は2,270百万円(同5.6%増)と安定的な利益を維持し、韓国及びモンゴル金融事業に次いで高い利益水準を確保した。
日本金融事業では、子会社の日本保証がアパートローン保証に注力した結果、2019年9月の債務保証残高の合計は2,082億円となり、2018年9月の1,733億円から大きく増加している。大手銀行の不正融資問題をきっかけに、アパートローン保証は以前のような勢いはない状況だが、ローンの期間は20年〜30年と長期のため、その間は保証料収入が入ってくる。また、同社が保証する物件は、東名阪福の各地域の都市部、徒歩10分程度の駅近物件に集中しており、債務保証を行っている賃貸住宅の入居率は95%以上を維持している。ただ、同社では、今後は海外不動産担保ローン保証など、保証商品の多角化を進める方針である。
また、パルティール債権回収による債権買取回収業務でも、回収が進んだ一方で不良債権の買取りも引き続き順調に進み、請求債権残高は合計9,000億円超となっている。パルティール債権回収が取り扱う請求可能債権残高は、2017年3月の7,306億円から2019年9月には7,888億円に増加している。業界全体では金融機関等の貸付債権が6割近くを占めるのに対し、同社ではリース・クレジット債権が過半数を占めている。これに、日本保証が(株)武富士より承継した簿外債権(請求可能債権)の約1,500億円を加えると、サービサー事業における債権残高は9,000億円を超えている。債権残高は今後も緩やかな増加を続けると見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<YM>
1. 2019年12月期第2四半期の業績概要
Jトラスト<8508>は、国内外の金融事業、非金融事業などの事業会社を統括するホールディングカンパニーであり、日本金融事業をベースに、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業をけん引役として持続的な利益拡大を図りながら、既成概念にとらわれないファイナンシャルサービスを提供する企業体を目指している。
同社では、グループの営業収益の半分以上を海外子会社で獲得しており、今後も海外を中心に事業展開を進めていくことから、ほとんどの海外子会社の決算期である毎年12月31日に決算期をそろえることで、更なるグローバルな事業の一体運営を推進し、さらに経営情報の適時・適切な開示による経営の透明化をより一層図ることとした。したがって、2019年12月期は2019年4月1日から2019年12月31日までの9ヶ月間の変則決算となる。
2019年12月期第2四半期連結決算では、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業が第1四半期に続き好調に推移し、特に韓国及びモンゴル金融事業は期初に設定した業績予想を大きく上回る好業績であった。ただ、東南アジア金融事業は引き続き損失を計上した。カンボジアでJTRBの株式を取得し、負ののれん発生益をその他の収益に計上した一方で、Jトラスト銀行インドネシアにおいて、フォークローズドアセット評価損を計上したことや、マルチファイナンス会社のJTOが営業損失を計上したことが響いた。
以上の結果、2019年12月期第2四半期の営業収益は36,307百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益は118百万円(同366.2%増)の減収増益となった。不良債権処理に伴い大幅減益となった前年同期に比べ、利益は大きく改善した。JTRBの株式取得に伴い負ののれん発生益2,278百万円をその他の収益として計上したが、当該株式取得に係る費用2,193百万円を全社費用の販管費に計上したことから、営業利益への影響はほぼ中立であった。また、金融収益の減少や法人所得税の増加などに伴い継続事業からの損失を計上したものの、前年同期の非継続事業からの損失(ハイライツ・エンタテインメント(株)譲渡に伴う損失)がなくなり、親会社の所有者に帰属する四半期損失は1,279百万円(前年同期は2,182百万円の損失)に縮小した。
同社では第2四半期の業績予想を開示していないが、安定的利益を計上する日本金融事業と、大幅増益となった韓国及びモンゴル金融事業が東南アジア金融事業の損失をカバーし、第2四半期の営業利益は既に通期予想61百万円の1.9倍に達しており、予想を上回る業績回復を見せている。
2. セグメント別業績
同社グループは、日本で構築したビジネスモデルを海外展開することで、アジアの総合ファイナンシャルグループへと成長を遂げてきた。現在、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業、投資事業、非金融事業(総合エンターテインメント事業と不動産事業の合算)の5事業セグメントを展開するが、メインとなる金融3事業が営業収益全体の8割強を占める。2019年12月期第2四半期は、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業が利益を確保し、東南アジア金融事業、投資事業の損失を補った。
(1) 日本金融事業
2019年12月期第2四半期における日本金融事業は、債務保証残高の増加に伴い保証料収益が堅調に推移したことから営業収益はほぼ前年同期並みの4,908百万円(前年同期比0.1%増)を計上し、セグメント利益は2,270百万円(同5.6%増)と安定的な利益を維持し、韓国及びモンゴル金融事業に次いで高い利益水準を確保した。
日本金融事業では、子会社の日本保証がアパートローン保証に注力した結果、2019年9月の債務保証残高の合計は2,082億円となり、2018年9月の1,733億円から大きく増加している。大手銀行の不正融資問題をきっかけに、アパートローン保証は以前のような勢いはない状況だが、ローンの期間は20年〜30年と長期のため、その間は保証料収入が入ってくる。また、同社が保証する物件は、東名阪福の各地域の都市部、徒歩10分程度の駅近物件に集中しており、債務保証を行っている賃貸住宅の入居率は95%以上を維持している。ただ、同社では、今後は海外不動産担保ローン保証など、保証商品の多角化を進める方針である。
また、パルティール債権回収による債権買取回収業務でも、回収が進んだ一方で不良債権の買取りも引き続き順調に進み、請求債権残高は合計9,000億円超となっている。パルティール債権回収が取り扱う請求可能債権残高は、2017年3月の7,306億円から2019年9月には7,888億円に増加している。業界全体では金融機関等の貸付債権が6割近くを占めるのに対し、同社ではリース・クレジット債権が過半数を占めている。これに、日本保証が(株)武富士より承継した簿外債権(請求可能債権)の約1,500億円を加えると、サービサー事業における債権残高は9,000億円を超えている。債権残高は今後も緩やかな増加を続けると見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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