クイック Research Memo(6):雇用情勢は引き続き追い風
[19/12/09]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
3. 2020年3月期の業績見通し
クイック<4318>は2020年3月期業績見通しについて、売上高20,940百万円(前期比9.2%増)、営業利益2,920百万円(同13.1%増)、経常利益2,950百万円(同4.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,995百万円(同1.5%増)と期初計画のままの見込みとなっている。2019年10月に実施された消費税増税や米中の貿易摩擦問題などから景気の先行きには慎重な見方が必要だが、4月に施行された働き方改革関連法により企業にとって生産性の向上や労働力の確保が急務となっている。特に専門職を中心に企業の人手不足感に大きな改善は見込めないと考えられ、雇用情勢は引き続き同社に追い風となることが期待される。
事業別の業績見通しでは、人材サービス事業が売上高13,140百万円(前期比14.3%増)、営業利益2,402百万円(同21.1%増)、リクルーティング事業が売上高3,818百万円(同3.6%減)、営業利益は979百万円(同2.3%減)、情報出版事業が売上高2,046百万円(同3.4%増)、営業利益208百万円(同16.8%増)、その他が売上高1,934百万円(同11.7%増)、営業利益は114百万円(同41.8%減)と見込んでいる。
主力の人材サービス事業では、人材紹介において、既存領域の強化を図るとともに、依然多く残る未開拓な専門職分野と地方エリアを開発していく方針である。競争激化や求人検索エンジンなど新たな求人サービスに対しては、スマートフォンを活用した効果的なプロモーションで対抗、新入社員の早期戦力化や組織強化も図る。このため、引き続き看護師や施工管理技術者を中心に専門職の人材紹介が業績をけん引すると思われる。また、人材派遣や保育園運営も収益貢献する見込みである。リクルーティング事業では、2020年度新卒向け求人メディアの本格稼働に加え、コンサルティング営業やIndeedの強化により業績拡大を狙う。しかし、リクルート系のリクナビがサイトに登録した学生の「内定を辞退する確率」をAIで予測して企業に販売していた問題に関しては、少なからず余波を受けそうだ。情報出版事業では、生活情報誌の停滞は続きそうだが、Webサービスの充実やポスティング、コンシェルジュなどによる伸びを見込む。ネット関連事業では、「日本の人事部」をさらに進化させてメディア価値を高め、海外事業では、引き続き顧客企業の人事課題解決のパートナーとしての地位確立を目指す。なお、2020年3月期下期に入って2019年10月に(株)クロノスがグループ入りし、11月には中国上海の人材紹介企業が立ち上がった。
2030年3月期、売上高1,000億円企業を目指す
4. 中長期業績見通し
同社は中長期的に、既存事業の成長と新規事業の育成に向けて積極投資を継続する考えである。この一環として(株)クロノスをM&Aしたが、同社が得意とするIT・AI技術を活用して新たなビジネスモデルの開発を進める計画である。加えて、国際的な人材流動化に対応した「クロスボーダーリクルートメント」市場の開拓など、グローバルなHRビジネスを先駆的に進める方針である。この布石とも言えるのが、中国上海での人材紹介会社の立ち上げである。なお、社内的には、組織強化や働き方改革に向けた人事制度改革を進め、事業横断的視点でキャリアアップ支援や育成制度を構築することで、人材を増強する計画である。こうした積極経営により、当面の目標として2022年3月期に売上高26,170百万円、営業利益3,930百万円を目指す。東京オリンピック・パラリンピック後は景気低迷が気になるが、ブティック戦略と登録者獲得施策によって差別化された事業基盤が出来上がりつつあることから、むしろ淘汰の時代にシェアを伸ばすことが予想される。同社も2030年3月期には、既存事業で450億円、新規事業で200億円、海外で100億円、M&Aで250億円の合計1,000億円の売上高を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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3. 2020年3月期の業績見通し
クイック<4318>は2020年3月期業績見通しについて、売上高20,940百万円(前期比9.2%増)、営業利益2,920百万円(同13.1%増)、経常利益2,950百万円(同4.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,995百万円(同1.5%増)と期初計画のままの見込みとなっている。2019年10月に実施された消費税増税や米中の貿易摩擦問題などから景気の先行きには慎重な見方が必要だが、4月に施行された働き方改革関連法により企業にとって生産性の向上や労働力の確保が急務となっている。特に専門職を中心に企業の人手不足感に大きな改善は見込めないと考えられ、雇用情勢は引き続き同社に追い風となることが期待される。
事業別の業績見通しでは、人材サービス事業が売上高13,140百万円(前期比14.3%増)、営業利益2,402百万円(同21.1%増)、リクルーティング事業が売上高3,818百万円(同3.6%減)、営業利益は979百万円(同2.3%減)、情報出版事業が売上高2,046百万円(同3.4%増)、営業利益208百万円(同16.8%増)、その他が売上高1,934百万円(同11.7%増)、営業利益は114百万円(同41.8%減)と見込んでいる。
主力の人材サービス事業では、人材紹介において、既存領域の強化を図るとともに、依然多く残る未開拓な専門職分野と地方エリアを開発していく方針である。競争激化や求人検索エンジンなど新たな求人サービスに対しては、スマートフォンを活用した効果的なプロモーションで対抗、新入社員の早期戦力化や組織強化も図る。このため、引き続き看護師や施工管理技術者を中心に専門職の人材紹介が業績をけん引すると思われる。また、人材派遣や保育園運営も収益貢献する見込みである。リクルーティング事業では、2020年度新卒向け求人メディアの本格稼働に加え、コンサルティング営業やIndeedの強化により業績拡大を狙う。しかし、リクルート系のリクナビがサイトに登録した学生の「内定を辞退する確率」をAIで予測して企業に販売していた問題に関しては、少なからず余波を受けそうだ。情報出版事業では、生活情報誌の停滞は続きそうだが、Webサービスの充実やポスティング、コンシェルジュなどによる伸びを見込む。ネット関連事業では、「日本の人事部」をさらに進化させてメディア価値を高め、海外事業では、引き続き顧客企業の人事課題解決のパートナーとしての地位確立を目指す。なお、2020年3月期下期に入って2019年10月に(株)クロノスがグループ入りし、11月には中国上海の人材紹介企業が立ち上がった。
2030年3月期、売上高1,000億円企業を目指す
4. 中長期業績見通し
同社は中長期的に、既存事業の成長と新規事業の育成に向けて積極投資を継続する考えである。この一環として(株)クロノスをM&Aしたが、同社が得意とするIT・AI技術を活用して新たなビジネスモデルの開発を進める計画である。加えて、国際的な人材流動化に対応した「クロスボーダーリクルートメント」市場の開拓など、グローバルなHRビジネスを先駆的に進める方針である。この布石とも言えるのが、中国上海での人材紹介会社の立ち上げである。なお、社内的には、組織強化や働き方改革に向けた人事制度改革を進め、事業横断的視点でキャリアアップ支援や育成制度を構築することで、人材を増強する計画である。こうした積極経営により、当面の目標として2022年3月期に売上高26,170百万円、営業利益3,930百万円を目指す。東京オリンピック・パラリンピック後は景気低迷が気になるが、ブティック戦略と登録者獲得施策によって差別化された事業基盤が出来上がりつつあることから、むしろ淘汰の時代にシェアを伸ばすことが予想される。同社も2030年3月期には、既存事業で450億円、新規事業で200億円、海外で100億円、M&Aで250億円の合計1,000億円の売上高を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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