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テクマト Research Memo(5):ストック型ビジネスが前年同期比2ケタ増と順調に成長

注目トピックス 日本株
■テクマトリックス<3762>の業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業の売上高は前年同期比11.5%増の9,310百万円、営業利益は同23.0%増の956百万円となり、過去最高を更新した。受注高についても同7.2%増の9,374百万円と堅調に推移し、第2四半期末の受注残高も前年同期末比24.1%増の9,876百万円と過去最高水準となった。なお、情報基盤事業(単体)における非ストック売上は同21.8%増の4,574百万円、ストック売上は同13.5%増の2,706百万円となり、非ストック売上が大きく伸長した。このため、40%前後を適正水準と考えているストック売上比率に関しては、前年同期の38.8%から37.2%と1.6ポイント低下したが、金額ベースでは2ケタ成長を続けており、順調に推移していると言える。

分野別の売上動向を見ると、サイバー攻撃からの防御対策として次世代ファイアウォールや不正侵入防御アプライアンス、Webセキュリティ対策製品等の販売が民需・官需問わず好調で前年同期比で2ケタ増収となった。また、EDR(Endpoint Detection and Response)製品※や次世代型メールセキュリティ製品、AIを活用した次世代アンチウイルス製品などの先進的なセキュリティ対策製品も堅調に推移した。

※業務パソコンやサーバ等のネットワーク端末(エンドポイント)がサイバー攻撃を受けた際に、その状況把握及び攻撃を受けた端末の特定・隔離等の対策を迅速に行うことができる製品。


ストック型ビジネスとなるセキュリティ運用・監視サービスも、セキュリティ対策の高度化を背景に契約数が伸びており、前年同期比で2ケタ増収となった。2019年8月には新たにセキュリティ統合監視サービス「TechMatrix Premium Support powered by TRINITY(TPS)」の提供も開始している。同サービスはAI技術と、最先端の脅威シナリオに基づく独自開発の相関分析基盤を活用したインシデントハンドリングの提供等により、個々の端末の監視だけにとどまらず、ゲートウェイ製品やすべての端末、ネットワークフロー全体の相関分析を行うことで、「面」としてネットワーク状況を監視するサービスとなる。未知のマルウェアに対するセキュリティ対策を含めて、異常の早期検出と迅速な対応が可能となる。現在、ICT基盤の運用監視サービスとしては「TRINITY」があり、年間で数億円規模の売上となっているが、新サービスの導入により2ケタ億円以上の規模まで拡大していくことを目指しており、ストック売上の一部として同事業セグメントの安定収益基盤に育成していく考えだ。

一方、ストレージ製品については2019年3月期の売上増に貢献した大手放送局向けの需要が一巡したため減収となったが、地方局向けに横展開しており減少幅は小幅にとどまった。また、連結子会社のクロス・ヘッド、沖縄クロス・ヘッドの売上高も伸び悩んだ。クロス・ヘッドについては付加価値の高いクラウドサービス移行支援や運用・監視サービス等に注力し、業績は計画どおり順調に推移したが、沖縄クロス・ヘッドについては、県内におけるSI案件の需要減少により業績は低迷した。

(2) アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業の売上高は前年同期比19.2%増の4,489百万円、営業利益は同131.8%増の387百万円と過去最高を更新した。医療分野やCRM分野の売上が大きく伸長し、ソフトウェア品質保証分野も堅調に推移したことが増収増益要因となった。受注高についても同24.2%増の5,137百万円と好調で、第2四半期末の受注残高も前年同期末比15.0%増の7,988百万円となるなど、いずれも過去最高を更新している。また、売上高(単体のアプリケーション・サービス事業及びNOBORIの売上合計)のうち、非ストック売上は前年同期比21.6%増の1,732百万円、ストック売上は同16.8%増の2,257百万円といずれも2ケタ増収となった。ストック売上比率は、前年同期の57.6%から56.6%に若干低下した。ストック売上は医療分野を中心に月額課金型サービスが好調に推移したが、CRM分野で大型案件の売上計上があり、非ストック売上が大きく伸長したことが要因となっている。同社は、ストック売上比率を近い将来60%超にすべく事業を拡大していく方針となっている。

分野別の動向を見ると、医療分野は「NOBORI」の契約施設数が前年同期末の約850施設から1,000施設を超えるなど順調に増加したことで2ケタ増収となり、営業利益も増益となった。既存顧客の契約更新だけでなく、クラウドで先行する強みを生かして競合からのリプレイスも進んでいる。一方、新規サービスの開発も継続して進めている。個人向け(患者向け)のPHRサービスについては、5〜6ヶ所の基幹病院において数千人規模の患者を対象に実証試験を実施している。また、AIベンチャー並びに医師等と組んだ医用画像診断支援システムの共同開発についても継続して進めている。「医知悟」については遠隔読影需要の高まりにより、放射線分野での病院向けが順調に増加したほか、健診施設等の顧客開拓が進み、契約施設数、読影依頼件数、従量課金金額ともに堅調に推移した。

CRM分野では、2018年6月にリリースしたFAQナレッジ管理システム「FastAnswer2」の新バージョン※1や、同年12月にリリースしたコンタクトセンターCRMシステム「FastHelp5」の新バージョン※2の受注が好調に推移した。特に、ここ最近はコンタクトセンターでもチャットボットシステムを導入することで、生産性の向上に取り組む事業者が増えており、用途目的に応じて複数のチャットボットシステムと柔軟に連携可能な「FastHelp5」を新規に導入する企業(生保、鉄道、通信事業者など)、あるいは前世代の「FastHelp4」からリプレイスする企業が増加している。2019年5月には、AIを活用して電話からの問い合わせを音声認識によりテキスト化して自動要約する機能をHmcomm(株)※3と共同開発し、機能強化を図っている。前世代からの更新需要については2020年まで続くようで、CRM分野については当面、高水準の需要が継続するものと予想される。また、海外展開の状況としては、2018年4月にタイ(バンコク)に駐在員事務所を開設して以降、インドネシアやフィリピンも含めて日系企業や現地のドラッグストアやEC企業、金融機関など合わせて数十社まで顧客数を増やしており、直近ではベトナムにも代理店を開設するなど、引き続き事業拡大に向け取り組んでいる。

※1 社内で作成・利用するナレッジを「外部公開用FAQ」(お客様用FAQ)と「内部用FAQ」(顧客対応時に参照するFAQや製品情報・規約集等の文書情報からなるFAQナレッジ)の両用途に適用可能としたほか、ダッシュボード機能の追加や直観的な操作で運用できるようにUIの改良を行い、ナレッジ管理機能の強化を図った。
※2 「Fast API」を通じて複数のチャットボットシステムとの連携を可能とした。
※3 Hmcommは、国立研究開発法人産業技術総合研究所発のベンチャー企業で、独自の音声処理技術を基盤とした要素技術の研究/開発や、ソリューション/サービスの提供を行っている。


ソフトウェア品質保証分野は、米中貿易摩擦の影響による製造業の投資減速懸念があったものの、車載ソフトウェアの開発工程で利用されるソフトウェアテストツールの引き合いが依然旺盛だったほか、UIテスト自動化ツール「Ranorex」についても、エンジニア不足が慢性化するなかでWeb制作やアプリ開発会社からの引き合いが好調で前年同期比2ケタ増収となった。また、ビジネスソリューション分野については、事業構造転換中(アプリ開発等の受託開発事業からの脱皮)で売上高は伸び悩んだものの、子会社のカサレアルで提供する企業向け研修サービスが好調で、売上高、損益とも計画を上回った。カサレアルについては2019年6月にチェコのソフトウェアベンダーであるJetBrains s.r.o.とトレーニングパートナー契約を締結した。カサレアルのJava関連コースの研修において使用する開発環境として、各国で高い開発生産性をもたらすと評価を得ているJetBrainsの統合開発環境製品を正式採用し、より効率的な研修サービスを提供すること、また、チーム開発における研修コースを拡充し事業を拡大していくことが狙いとなっている。さらには、同年8月に学校の教員向けに「Appleプロフェッショナルラーニング基礎インストラクター」のサービスも提供開始している。2020年度から小・中・高等学校でプログラミング教育が必修化されることを受け、教職員向けにAppleデバイスやアプリケーションスキルの習得を支援するサービスとなっており、今後の売上増が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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