JBR Research Memo(8):積極的なアライアンス戦略と新サービス・新商品の創出により、高成長を目指す
[19/12/20]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ジャパンベストレスキューシステム<2453>の今後の見通し
2. 中期経営計画
2019年9月期よりスタートした3ヶ年中期経営計画では、経営ビジョンとして「年間500万人へのサービス提供の実現」を掲げ、最終年度となる2021年9月期の経営数値目標として、連結売上高165億円、営業利益25億円、営業利益率で15.2%を掲げた。「駆けつけ」「会員」「保険」「リペア」の4事業を対象に、各業界でトップクラスの企業と業務提携を積極的に展開し、顧客基盤を効率的に拡大していくほか、取引先に対して新商品・既存商品のクロスセルを推進していくことで2ケタ成長を目指していく。また、新サービス・新商品の創出についても会員事業や保険事業において、トライアルも含めて積極的に開発に取り組んでいく方針だ。
業績の進捗状況を見ると、2019年9月期は経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益、営業利益率で計画を達成し、順調な滑り出しとなった。2020年9月期については、売上高で当初計画を10億円引き下げている。前期に提携案件の始動タイミングがやや遅れたことや、駆けつけ事業、リペア事業の売上が未達となり、その影響を2020年9月期業績にも反映させた格好となっている。一方、営業利益は当初計画と変更なく、当期純利益は税効果適用により当初計画から1.4億円上方修正した。2021年9月期については取り組みの進捗状況に前後があるものの、当初計画を達成できる見通しとなっている。
目標を達成していくための重点戦略として、「新たな企業とのアライアンス」「事業間/部門間の連携による重層営業」「新サービス、新商品の創出」「IoT、システム活用によるコスト抑制」の4点を挙げている。
(1) 新たな企業とのアライアンス
業界トップクラスの企業とのアライアンスを2019年9月期から積極的に推進しており、既にCasaとの提携で家財保険の契約件数が増加しているほか、ヤマダ電機や大手ハウスメーカーとの提供により「あんしん修理サポート」の会員数も大きく伸長している。今後についてもすべての事業セグメントを対象に、顧客基盤を持つ新たな提携先企業を開拓し、売上を拡大していく方針となっている。
(2) 事業間/部門間の連携による重層営業
延長保証と緊急駆けつけサービスをセットにした会員サービスを販売開始し、一定の成果は見せているものの、まだ充分な事業間連携までには至っておらず、今後の課題となっている。各事業間での顧客管理システムが統一されていないことも一因と見られるが、2020年12月に稼働開始を予定している次期ERPでは受注から販売、決済、顧客管理までグループですべて統一されるため、2021年以降は事業間連携による重層営業などの効果もさらに上がってくるものと予想される。
(3) 新サービス、新商品の創出
新サービス、新商品では、既述のとおりレスキュー損害保険で火災保険等、少額短期保険では商品化できなかった保険商品の開発を進めていくほか、インシュアテックにも積極的に取り組んでいく方針となっている。レスキュー損害保険には日本生命保険、セブン銀行も各7.1%出資しており、将来的に共同開発や販売面で協業していくことも視野に入れている。セブン銀行についてはグループのコンビニエンストアで新しく開発した保険商品を販売していく可能性がある。火災保険だけでも市場シェアの1〜2%を取るだけで年間売上高が数十億円規模となり、また、同社の強みである企画力を生かした保険商品を開発・販売していくことができれば、保険事業の成長ポテンシャルはさらに高まるものと予想される。
そのほか、同社では新サービスの創出を目的にライフテック(Life + Technology)部門を前期に新設し、その第1弾として電力小売りサービスを2019年9月より開始した。自社のコールセンターや提携する不動産管理会社の販路を活用することで販管費等を抑え、大手電力会社の電力料金(標準プラン)より5%程度安く設定するほか、今後は既存サービスとの組み合わせによる新料金プランも検討している。1年目で5万戸の契約を目標としている。
(4) IoT、システム活用によるコスト抑制
a) ERPの構築
コスト抑制施策として、ERPの開発やIoT、AI技術の活用を推進していく。ERPの開発では第1フェーズとして、2018年11月にパートナー・ネットワーク店とコールセンター、本部をつなぐ受付、手配から作業報告までの一連の業務フローをタブレット端末で完結できるよう統一した。従来はFAXや電子メール、電話など様々な連絡手段を用いてやり取りしていたため、業務効率が低かった。第2フェーズでは、販売管理や債権・債務管理、顧客管理に至るまで一連の業務をすべて統一し、2020年12月の稼働を目標としている。投資額としては約3億円を見込んでおり、次期ERPが稼働すると営業利益率も一段と向上する可能性がある。
b) 会員証のアプリ化
また、会員証のアプリ化(電子化)にも取り組んでおり、2019年9月期より「安心入居サポート」会員向けに会員証アプリの提供を開始している。同アプリではスマートフォンのカメラ機能を使って、コールセンターのオペレーターとのやり取りが可能となっており、緊急トラブルの入電の際にオペレーターは現場の状況を動画または写真で確認しながら、出動が必要なケースと不要なケースに切り分けることが可能となる。こうした取り組みにより無駄な出動費用の削減が図られるほか、会員証の発行コストも不要となるため、会員事業の収益性向上につながるものと予想される。また、同アプリは掲示板機能もあるため、集合住宅などでは住民向けの告知事項を同アプリで行うことが可能となり、不動産オーナーや管理会社にとってもメリットを享受できることになる。ダウンロード件数は累計で5万件とまだ少ないものの、今後は新規会員となるタイミングで一緒にアプリをダウンロードしてもらうようにし、いずれすべての会員をアプリ会員に転換していくことを目標としている。なお、「学生生活110番」もアプリの提供を既に開始しており、「あんしん修理サポート」についても2020年9月期中にアプリの提供を開始する予定となっている。
c) AIの活用
AIの活用についても2019年9月期より自社コールセンターで一部、チャットボットの導入を開始している。今後も業務効率の改善につながる技術を順次導入していくことで生産性向上につなげていく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 中期経営計画
2019年9月期よりスタートした3ヶ年中期経営計画では、経営ビジョンとして「年間500万人へのサービス提供の実現」を掲げ、最終年度となる2021年9月期の経営数値目標として、連結売上高165億円、営業利益25億円、営業利益率で15.2%を掲げた。「駆けつけ」「会員」「保険」「リペア」の4事業を対象に、各業界でトップクラスの企業と業務提携を積極的に展開し、顧客基盤を効率的に拡大していくほか、取引先に対して新商品・既存商品のクロスセルを推進していくことで2ケタ成長を目指していく。また、新サービス・新商品の創出についても会員事業や保険事業において、トライアルも含めて積極的に開発に取り組んでいく方針だ。
業績の進捗状況を見ると、2019年9月期は経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益、営業利益率で計画を達成し、順調な滑り出しとなった。2020年9月期については、売上高で当初計画を10億円引き下げている。前期に提携案件の始動タイミングがやや遅れたことや、駆けつけ事業、リペア事業の売上が未達となり、その影響を2020年9月期業績にも反映させた格好となっている。一方、営業利益は当初計画と変更なく、当期純利益は税効果適用により当初計画から1.4億円上方修正した。2021年9月期については取り組みの進捗状況に前後があるものの、当初計画を達成できる見通しとなっている。
目標を達成していくための重点戦略として、「新たな企業とのアライアンス」「事業間/部門間の連携による重層営業」「新サービス、新商品の創出」「IoT、システム活用によるコスト抑制」の4点を挙げている。
(1) 新たな企業とのアライアンス
業界トップクラスの企業とのアライアンスを2019年9月期から積極的に推進しており、既にCasaとの提携で家財保険の契約件数が増加しているほか、ヤマダ電機や大手ハウスメーカーとの提供により「あんしん修理サポート」の会員数も大きく伸長している。今後についてもすべての事業セグメントを対象に、顧客基盤を持つ新たな提携先企業を開拓し、売上を拡大していく方針となっている。
(2) 事業間/部門間の連携による重層営業
延長保証と緊急駆けつけサービスをセットにした会員サービスを販売開始し、一定の成果は見せているものの、まだ充分な事業間連携までには至っておらず、今後の課題となっている。各事業間での顧客管理システムが統一されていないことも一因と見られるが、2020年12月に稼働開始を予定している次期ERPでは受注から販売、決済、顧客管理までグループですべて統一されるため、2021年以降は事業間連携による重層営業などの効果もさらに上がってくるものと予想される。
(3) 新サービス、新商品の創出
新サービス、新商品では、既述のとおりレスキュー損害保険で火災保険等、少額短期保険では商品化できなかった保険商品の開発を進めていくほか、インシュアテックにも積極的に取り組んでいく方針となっている。レスキュー損害保険には日本生命保険、セブン銀行も各7.1%出資しており、将来的に共同開発や販売面で協業していくことも視野に入れている。セブン銀行についてはグループのコンビニエンストアで新しく開発した保険商品を販売していく可能性がある。火災保険だけでも市場シェアの1〜2%を取るだけで年間売上高が数十億円規模となり、また、同社の強みである企画力を生かした保険商品を開発・販売していくことができれば、保険事業の成長ポテンシャルはさらに高まるものと予想される。
そのほか、同社では新サービスの創出を目的にライフテック(Life + Technology)部門を前期に新設し、その第1弾として電力小売りサービスを2019年9月より開始した。自社のコールセンターや提携する不動産管理会社の販路を活用することで販管費等を抑え、大手電力会社の電力料金(標準プラン)より5%程度安く設定するほか、今後は既存サービスとの組み合わせによる新料金プランも検討している。1年目で5万戸の契約を目標としている。
(4) IoT、システム活用によるコスト抑制
a) ERPの構築
コスト抑制施策として、ERPの開発やIoT、AI技術の活用を推進していく。ERPの開発では第1フェーズとして、2018年11月にパートナー・ネットワーク店とコールセンター、本部をつなぐ受付、手配から作業報告までの一連の業務フローをタブレット端末で完結できるよう統一した。従来はFAXや電子メール、電話など様々な連絡手段を用いてやり取りしていたため、業務効率が低かった。第2フェーズでは、販売管理や債権・債務管理、顧客管理に至るまで一連の業務をすべて統一し、2020年12月の稼働を目標としている。投資額としては約3億円を見込んでおり、次期ERPが稼働すると営業利益率も一段と向上する可能性がある。
b) 会員証のアプリ化
また、会員証のアプリ化(電子化)にも取り組んでおり、2019年9月期より「安心入居サポート」会員向けに会員証アプリの提供を開始している。同アプリではスマートフォンのカメラ機能を使って、コールセンターのオペレーターとのやり取りが可能となっており、緊急トラブルの入電の際にオペレーターは現場の状況を動画または写真で確認しながら、出動が必要なケースと不要なケースに切り分けることが可能となる。こうした取り組みにより無駄な出動費用の削減が図られるほか、会員証の発行コストも不要となるため、会員事業の収益性向上につながるものと予想される。また、同アプリは掲示板機能もあるため、集合住宅などでは住民向けの告知事項を同アプリで行うことが可能となり、不動産オーナーや管理会社にとってもメリットを享受できることになる。ダウンロード件数は累計で5万件とまだ少ないものの、今後は新規会員となるタイミングで一緒にアプリをダウンロードしてもらうようにし、いずれすべての会員をアプリ会員に転換していくことを目標としている。なお、「学生生活110番」もアプリの提供を既に開始しており、「あんしん修理サポート」についても2020年9月期中にアプリの提供を開始する予定となっている。
c) AIの活用
AIの活用についても2019年9月期より自社コールセンターで一部、チャットボットの導入を開始している。今後も業務効率の改善につながる技術を順次導入していくことで生産性向上につなげていく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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