ダイナムジャパンHD Research Memo(3):4つの強みを活かして強固な経営基盤を確立し、他社との差別化を実現
[19/12/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
2. ダイナムジャパンホールディングスグループの特長と強み
ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の様々な特長・強みのなかで、弊社では1)国内トップの店舗数、2)ローコストオペレーション、3)顧客視点の経営、4)資金調達力の4点に注目している。ポイントはそれぞれの強みが互いにつながっていることだ。すなわち、他社が同社と同じ強さを実現するのは容易ではないということだ。
(1) 国内トップの449店舗を擁していること
同社はグループの店舗数が449店舗(2019年9月末現在)と国内トップを誇る。集計時期のずれによって厳密な比較ではないものの、国内シェアは店舗数ベース、遊技台の設置台数ベースともに、4%台半ばと推定される。
店舗数が多いことは、いわゆる規模の利益(スケールメリット)の獲得につながる。スケールメリットは、店舗の新規出店、改装、遊技機の購入、景品の仕入れ、物流など様々な面に及ぶが、特に重要なのは経費に占める割合が大きい遊技機の購入や運用面での効果だ。店舗数が多いことはパチンコ・パチスロ機の保有台数も当然多くなり、遊技機メーカーに対するバイイングパワー(価格交渉力)が強まることになる。また、同社はPB(プライベートブランド)機の開発・導入を進めているが、ここでもスケールメリットが生きてくる。さらには機種の店舗間移動の面でも店舗数の多さを活かして、集客増とコスト削減の両立を図ることが可能な体制を構築している。
(2) チェーンストア理論に基づくローコストオペレーション
ローコストオペレーションは同社の競争力の源泉であり、成長戦略を含めたすべての施策について実現性・有効性を担保する大きな支えとなっているというのが弊社の理解だ。
同社のローコストオペレーションの背景には、チェーンストア理論が理論的支柱として存在している。パチンコホール事業の2大経費は人件費と機械費であるが、その直接的な費用の削減だけでなく、少ない従業員数でのオペレーションを可能にする店舗設計や店舗運営システム(一例として“各台計数機”)の導入、新規出店の標準化など、様々な面にチェーンストア理論が活かされ、同社グループ全体としてのローコスト化につながっている。
前述のように同社は国内トップの449店舗を誇る。これは積極的な多店舗展開策の結果に他ならないが、それを可能とした原動力もローコストオペレーションのノウハウだ。そこで店舗数増大⇒スケールメリットによるコスト削減という好循環が生まれて、現状の地位があるものと弊社では分析している。また、後述する顧客視点に立った経営も、ローコストオペレーションがあるからこそ実現できていると考えている。
同社がチェーンストア理論を経営に活用するに至った経緯は沿革で述べたとおりだ。同社はまた、志を同じくする同業者と、業界団体「パチンコ・チェーンストア協会(PCSA)」を設立し、チェーンストア理論をパチンコホールの経営に活かす研究を重ねている。またPCSAの活動は、同業他社の経営基盤の強化に貢献しただけでなく、夢コーポレーション(株)のグループ化という形で同社の業容拡大にも貢献した。
(3) 顧客視点に立った経営の実践
同社は5つの経営方針の1つに“顧客第一主義”を掲げ、現に実践している。同様の経営方針を掲げる同業他社はあっても、それを実践できているところは少ないと思われ、同社の特長の1つと弊社では考えている。
同社の様々な経営施策のうちで“低貸玉営業”と、“射幸性に頼らない営業”の2つを特に弊社では評価している。これらは同社の経営方針や成長戦略を理解するうえでのキーワードでもある。
a) 低貸玉営業
貸玉料(パチンコは玉を借りて遊ぶという形態となっており、その料金)を通常の4円より安い、1円もしくは2円に引き下げた営業形態のことだ。同じ料金でも客はより多くの玉を借りることができ、それだけ長く遊ぶことが可能になる。2019年9月末時点では同社のパチンコ機の72.4%(業界全体47.4%)、パチスロ機の57.5%(業界全体21.8%)が低貸玉機となっており、業界平均を大きく上回っている。
低貸玉営業店舗は高貸玉営業店舗に比べて集客力があることは明白にデータに現れている。しかしこの戦略を採用するには、相応の企業体力が必要だ。低貸玉店舗は、高貸玉店舗よりも営業収入が低いのに対して営業費用はそれほど差がないので、利益率が低くなってしまうためだ。それをカバーする方策の一つが店舗数拡大による成長であり、同社はまさにそれを実践してきた。
b) 射幸性に頼らない営業
文字どおり、射幸性の高い機種を集客の中心的な戦略とはしないということだ。パチンコ機には大当たりの確率が高いものから低いものまで様々な種類がある。確率が低い機種ほど大当たりした場合の出玉数が多く、コアなパチンコファンほどそうした射幸性の高い機種を好む傾向がある。したがってパチンコホールも低確率機種(すなわち高射幸性機種)の構成比を高めた店づくりをして集客を行っているところが多い。
しかしながら、2017年3月期にこの射幸性に規制が入り、確率の最低ラインが1/400から1/320へと引き上げられ、1/400機種は2016年12月までに撤去された。射幸性に対する規制の背景には依存問題対策があり、2018年2月にも新規則が施行された。射幸性を売り物に集客するというパチンコホールの経営スタイルは成り立たなくなりつつあるのが現状だ。
これに対して同社は、高射幸性機の割合が業界平均に比べて低く、反対に最も射幸性の低い確率1/100タイプの構成比が業界平均よりも20%も高い構成となっている。射幸性規制の強化の影響は同社も避けられないが、従来から射幸性に頼らない営業を目指してきた同社においてはそのマイナス影響が相対的に軽微であると弊社では考えている。
(4) 上場企業の強みを活かした資金調達力
同社は2012年にパチンコホール業界で初めて香港証券取引所に株式を上場した。約3,000社のパチンコホール企業の中で株式を上場しているのは同社を含めて2019年9月末現在3社だけだ。今後予想される業界再編において、買い手となれるかどうかの重要な条件の1つが資金調達力であることは議論の余地はないだろう。同社は2015年11月の夢コーポレーションのグループ化で、上場企業としての強みを活かし、全株式を株式交換により取得した。M&Aに限らず店舗投資や新事業展開などで潜在的資金需要は旺盛で、上場企業であることのメリットは非常に大きく働くと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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2. ダイナムジャパンホールディングスグループの特長と強み
ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の様々な特長・強みのなかで、弊社では1)国内トップの店舗数、2)ローコストオペレーション、3)顧客視点の経営、4)資金調達力の4点に注目している。ポイントはそれぞれの強みが互いにつながっていることだ。すなわち、他社が同社と同じ強さを実現するのは容易ではないということだ。
(1) 国内トップの449店舗を擁していること
同社はグループの店舗数が449店舗(2019年9月末現在)と国内トップを誇る。集計時期のずれによって厳密な比較ではないものの、国内シェアは店舗数ベース、遊技台の設置台数ベースともに、4%台半ばと推定される。
店舗数が多いことは、いわゆる規模の利益(スケールメリット)の獲得につながる。スケールメリットは、店舗の新規出店、改装、遊技機の購入、景品の仕入れ、物流など様々な面に及ぶが、特に重要なのは経費に占める割合が大きい遊技機の購入や運用面での効果だ。店舗数が多いことはパチンコ・パチスロ機の保有台数も当然多くなり、遊技機メーカーに対するバイイングパワー(価格交渉力)が強まることになる。また、同社はPB(プライベートブランド)機の開発・導入を進めているが、ここでもスケールメリットが生きてくる。さらには機種の店舗間移動の面でも店舗数の多さを活かして、集客増とコスト削減の両立を図ることが可能な体制を構築している。
(2) チェーンストア理論に基づくローコストオペレーション
ローコストオペレーションは同社の競争力の源泉であり、成長戦略を含めたすべての施策について実現性・有効性を担保する大きな支えとなっているというのが弊社の理解だ。
同社のローコストオペレーションの背景には、チェーンストア理論が理論的支柱として存在している。パチンコホール事業の2大経費は人件費と機械費であるが、その直接的な費用の削減だけでなく、少ない従業員数でのオペレーションを可能にする店舗設計や店舗運営システム(一例として“各台計数機”)の導入、新規出店の標準化など、様々な面にチェーンストア理論が活かされ、同社グループ全体としてのローコスト化につながっている。
前述のように同社は国内トップの449店舗を誇る。これは積極的な多店舗展開策の結果に他ならないが、それを可能とした原動力もローコストオペレーションのノウハウだ。そこで店舗数増大⇒スケールメリットによるコスト削減という好循環が生まれて、現状の地位があるものと弊社では分析している。また、後述する顧客視点に立った経営も、ローコストオペレーションがあるからこそ実現できていると考えている。
同社がチェーンストア理論を経営に活用するに至った経緯は沿革で述べたとおりだ。同社はまた、志を同じくする同業者と、業界団体「パチンコ・チェーンストア協会(PCSA)」を設立し、チェーンストア理論をパチンコホールの経営に活かす研究を重ねている。またPCSAの活動は、同業他社の経営基盤の強化に貢献しただけでなく、夢コーポレーション(株)のグループ化という形で同社の業容拡大にも貢献した。
(3) 顧客視点に立った経営の実践
同社は5つの経営方針の1つに“顧客第一主義”を掲げ、現に実践している。同様の経営方針を掲げる同業他社はあっても、それを実践できているところは少ないと思われ、同社の特長の1つと弊社では考えている。
同社の様々な経営施策のうちで“低貸玉営業”と、“射幸性に頼らない営業”の2つを特に弊社では評価している。これらは同社の経営方針や成長戦略を理解するうえでのキーワードでもある。
a) 低貸玉営業
貸玉料(パチンコは玉を借りて遊ぶという形態となっており、その料金)を通常の4円より安い、1円もしくは2円に引き下げた営業形態のことだ。同じ料金でも客はより多くの玉を借りることができ、それだけ長く遊ぶことが可能になる。2019年9月末時点では同社のパチンコ機の72.4%(業界全体47.4%)、パチスロ機の57.5%(業界全体21.8%)が低貸玉機となっており、業界平均を大きく上回っている。
低貸玉営業店舗は高貸玉営業店舗に比べて集客力があることは明白にデータに現れている。しかしこの戦略を採用するには、相応の企業体力が必要だ。低貸玉店舗は、高貸玉店舗よりも営業収入が低いのに対して営業費用はそれほど差がないので、利益率が低くなってしまうためだ。それをカバーする方策の一つが店舗数拡大による成長であり、同社はまさにそれを実践してきた。
b) 射幸性に頼らない営業
文字どおり、射幸性の高い機種を集客の中心的な戦略とはしないということだ。パチンコ機には大当たりの確率が高いものから低いものまで様々な種類がある。確率が低い機種ほど大当たりした場合の出玉数が多く、コアなパチンコファンほどそうした射幸性の高い機種を好む傾向がある。したがってパチンコホールも低確率機種(すなわち高射幸性機種)の構成比を高めた店づくりをして集客を行っているところが多い。
しかしながら、2017年3月期にこの射幸性に規制が入り、確率の最低ラインが1/400から1/320へと引き上げられ、1/400機種は2016年12月までに撤去された。射幸性に対する規制の背景には依存問題対策があり、2018年2月にも新規則が施行された。射幸性を売り物に集客するというパチンコホールの経営スタイルは成り立たなくなりつつあるのが現状だ。
これに対して同社は、高射幸性機の割合が業界平均に比べて低く、反対に最も射幸性の低い確率1/100タイプの構成比が業界平均よりも20%も高い構成となっている。射幸性規制の強化の影響は同社も避けられないが、従来から射幸性に頼らない営業を目指してきた同社においてはそのマイナス影響が相対的に軽微であると弊社では考えている。
(4) 上場企業の強みを活かした資金調達力
同社は2012年にパチンコホール業界で初めて香港証券取引所に株式を上場した。約3,000社のパチンコホール企業の中で株式を上場しているのは同社を含めて2019年9月末現在3社だけだ。今後予想される業界再編において、買い手となれるかどうかの重要な条件の1つが資金調達力であることは議論の余地はないだろう。同社は2015年11月の夢コーポレーションのグループ化で、上場企業としての強みを活かし、全株式を株式交換により取得した。M&Aに限らず店舗投資や新事業展開などで潜在的資金需要は旺盛で、上場企業であることのメリットは非常に大きく働くと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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