価値開発 Research Memo(1):資本と組織を強化した上で、将来的にはホテル運営に加え不動産開発事業を展開
[19/12/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
価値開発<3010>は、世界ブランド「ベストウェスタンホテル」の国内展開権利を持つホテル運営会社である。その歴史は古く、創業は1912年(大正元年)に遡り100年以上の歴史を持つ。製糸業で業界大手の一角を占めていたが、繊維不況を契機に不動産業に参入。不動産業がメインとなっていた2008年に価値開発株式会社に社名を変更した。同年、(株)フィーノホテルズを子会社化したことでベストウェスタンホテルのエリア開発会社となり、ホテル事業の足掛かりを築いた。リーマンショックで不動産市況が悪化してからは、事業主体をホテル事業にシフト。2011年3月期にはホテル事業が不動産事業の売上高を逆転、2020年3月期第2四半期のホテル運営事業の構成比は98.5%を占める。2015年には東京証券取引所の所属業種を「不動産業」から「サービス業」に変更した。2018年10月以降、独立系の投資運用グループであるスターアジアグループ(東京事務所:東京都港区)と資本業務提携を締結し、新たなマネジメント体制のもと、新たな成長ステージに入った。
1. 2020年3月期第2四半期の業績動向
2020年3月期第2四半期の売上高は2,916百万円(前年同期比12.8%増)、営業利益101百万円(前年同期は2百万円の利益)、経常利益34百万円(同76百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益148百万円(同56百万円の損失)と増収増益となり、計画どおり黒字化を達成した。売上高に関しては、前年同期より4棟のホテルが増えたことが貢献した。特に好調なのは「ベストウェスタンプラスホテルフィーノ千歳」であり、空港や駅からのアクセスの良さやアッパーブランドならではの上質な客室などが評価され、高い稼働率を維持している。なお、売上高が第2四半期の計画値を若干下回ったのは、大阪のホテルを中心に訪日外国人客が減少しエリア内の価格相場が下落した影響である。営業利益の大幅増加は、増収効果とともにグループ全体におけるコスト削減が寄与した。なお、親会社株主に帰属する四半期純利益が経常利益以上になった要因は、不動産事業に係る固定資産の売却により特別利益133百万円を計上したためである。
2. 2020年3月期通期の業績見通し
2020年3月期は、売上高5,790百万円(前期比13.9%増)、営業利益223百万円(前期は358百万円の損失)、経常利益124百万円(同704百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益103百万円(同2,960百万円の損失)と、増収及び大幅な収益改善と黒字化を予想する。売上高に関しては、通期計画に対する第2四半期時点での進捗率が50.4%と堅調に推移している。一部地域での訪日外国人旅行客数減少に伴う相場価格下落もあるが、全国的には足元の稼働率は順調である。東京オリンピック・パラリンピックを控え日本の各都市にも注目が集まっており、同社の各ホテルも高稼働を維持するものと予想する。営業利益に関しては、通期計画に対する第2四半期時点での進捗率が45.3%である。上期は予想数値よりも若干下回ったが(85百万円の未達)、十分リカバリー可能な範囲である。近年オープン予定のホテルの稼働率も高まるフェーズとなり、通期の利益予想に変更はない。新たなマネジメント体制になり、全社的なコスト低減に取り組んでおり、その効果は下期も期待できる。なお、親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、不動産事業に係る固定資産の売却により特別利益を計上したために第2四半期時点の実績で通期の予想を超えている。
3. 成長戦略
同社は、2019年6月に「成長戦略プラン」を発表し、着実にその推進を行っている。全体としては、スターアジアグループの「ヒト」や「カネ」の支援のもと、ホスピタリティ分野を中心に、長期的に優れた収益成長と株主価値の最大化を目指すプランとなっている。特筆すべきは、「不動産開発、売却」に積極的に参入することの宣言だろう。将来的には新たなホテルの開発から入り、開業・安定稼働後にスターアジア不動産投資法人<3468>(Jリート)へ、売却するといった事業が有望である。ホテル運営と比較すると、不動産開発はより大きな利益を獲得できる可能性があり、当面の取り組みは着実に実施に移されている。既にスターアジアグループからのバックアップにより「ガバナンス」「IRコミュニケーション」が強化された。また、経費コントロールが強化され、ホテル運営の「収益性の向上」もさっそく成果が出ている。不動産事業に関しては、新たに「不動産事業本部」が設立され、体制が整った。2020年3月期上期には、効率的に活用されていない保有不動産の売却(特別利益133百万円)が行われ、有利子負債の圧縮も着実に進んでいる。
■Key Points
・世界ブランド「ベストウェスタン」のエリア開発会社としてホテルを運営。スターアジアグループ傘下に入り新たな成長ステージに入る
・2020年3月期は期初の増収増益予想を据え置き。全国的に足元の稼働率は順調で、新たなマネジメント体制によるコスト低減が期待できる
・スターアジアグループ傘下企業として成長戦略プランを発表。資本と組織を強化した上で将来的にはホテル運営に加え不動産開発事業を展開
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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価値開発<3010>は、世界ブランド「ベストウェスタンホテル」の国内展開権利を持つホテル運営会社である。その歴史は古く、創業は1912年(大正元年)に遡り100年以上の歴史を持つ。製糸業で業界大手の一角を占めていたが、繊維不況を契機に不動産業に参入。不動産業がメインとなっていた2008年に価値開発株式会社に社名を変更した。同年、(株)フィーノホテルズを子会社化したことでベストウェスタンホテルのエリア開発会社となり、ホテル事業の足掛かりを築いた。リーマンショックで不動産市況が悪化してからは、事業主体をホテル事業にシフト。2011年3月期にはホテル事業が不動産事業の売上高を逆転、2020年3月期第2四半期のホテル運営事業の構成比は98.5%を占める。2015年には東京証券取引所の所属業種を「不動産業」から「サービス業」に変更した。2018年10月以降、独立系の投資運用グループであるスターアジアグループ(東京事務所:東京都港区)と資本業務提携を締結し、新たなマネジメント体制のもと、新たな成長ステージに入った。
1. 2020年3月期第2四半期の業績動向
2020年3月期第2四半期の売上高は2,916百万円(前年同期比12.8%増)、営業利益101百万円(前年同期は2百万円の利益)、経常利益34百万円(同76百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益148百万円(同56百万円の損失)と増収増益となり、計画どおり黒字化を達成した。売上高に関しては、前年同期より4棟のホテルが増えたことが貢献した。特に好調なのは「ベストウェスタンプラスホテルフィーノ千歳」であり、空港や駅からのアクセスの良さやアッパーブランドならではの上質な客室などが評価され、高い稼働率を維持している。なお、売上高が第2四半期の計画値を若干下回ったのは、大阪のホテルを中心に訪日外国人客が減少しエリア内の価格相場が下落した影響である。営業利益の大幅増加は、増収効果とともにグループ全体におけるコスト削減が寄与した。なお、親会社株主に帰属する四半期純利益が経常利益以上になった要因は、不動産事業に係る固定資産の売却により特別利益133百万円を計上したためである。
2. 2020年3月期通期の業績見通し
2020年3月期は、売上高5,790百万円(前期比13.9%増)、営業利益223百万円(前期は358百万円の損失)、経常利益124百万円(同704百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益103百万円(同2,960百万円の損失)と、増収及び大幅な収益改善と黒字化を予想する。売上高に関しては、通期計画に対する第2四半期時点での進捗率が50.4%と堅調に推移している。一部地域での訪日外国人旅行客数減少に伴う相場価格下落もあるが、全国的には足元の稼働率は順調である。東京オリンピック・パラリンピックを控え日本の各都市にも注目が集まっており、同社の各ホテルも高稼働を維持するものと予想する。営業利益に関しては、通期計画に対する第2四半期時点での進捗率が45.3%である。上期は予想数値よりも若干下回ったが(85百万円の未達)、十分リカバリー可能な範囲である。近年オープン予定のホテルの稼働率も高まるフェーズとなり、通期の利益予想に変更はない。新たなマネジメント体制になり、全社的なコスト低減に取り組んでおり、その効果は下期も期待できる。なお、親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、不動産事業に係る固定資産の売却により特別利益を計上したために第2四半期時点の実績で通期の予想を超えている。
3. 成長戦略
同社は、2019年6月に「成長戦略プラン」を発表し、着実にその推進を行っている。全体としては、スターアジアグループの「ヒト」や「カネ」の支援のもと、ホスピタリティ分野を中心に、長期的に優れた収益成長と株主価値の最大化を目指すプランとなっている。特筆すべきは、「不動産開発、売却」に積極的に参入することの宣言だろう。将来的には新たなホテルの開発から入り、開業・安定稼働後にスターアジア不動産投資法人<3468>(Jリート)へ、売却するといった事業が有望である。ホテル運営と比較すると、不動産開発はより大きな利益を獲得できる可能性があり、当面の取り組みは着実に実施に移されている。既にスターアジアグループからのバックアップにより「ガバナンス」「IRコミュニケーション」が強化された。また、経費コントロールが強化され、ホテル運営の「収益性の向上」もさっそく成果が出ている。不動産事業に関しては、新たに「不動産事業本部」が設立され、体制が整った。2020年3月期上期には、効率的に活用されていない保有不動産の売却(特別利益133百万円)が行われ、有利子負債の圧縮も着実に進んでいる。
■Key Points
・世界ブランド「ベストウェスタン」のエリア開発会社としてホテルを運営。スターアジアグループ傘下に入り新たな成長ステージに入る
・2020年3月期は期初の増収増益予想を据え置き。全国的に足元の稼働率は順調で、新たなマネジメント体制によるコスト低減が期待できる
・スターアジアグループ傘下企業として成長戦略プランを発表。資本と組織を強化した上で将来的にはホテル運営に加え不動産開発事業を展開
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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