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ダイコク電 Research Memo(1):業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」は順調な立ち上がり

注目トピックス 日本株
■要約

1. 事業概要
ダイコク電機<6430>は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売のほか、パチンコ遊技機の表示・制御ユニット及びパチスロ遊技機の開発・製造・販売等を2本柱としている。主力のホールコンピュータ分野では、デファクトスタンダードとなっている管理手法の提供等により、業界No.1の市場シェア約35%を握る。また、パチンコホールの経営を支援する業界随一の会員制情報提供サービス「DK-SIS」では、会員数3,542店とのネットワークを形成し、同社の事業基盤を支えている。

同社は、年々縮小傾向にあるパチンコ市場等を踏まえ、次世代ホールコンピュータの開発や継続的に収益が得られるストック型ビジネスモデルへの転換、自社開発パチスロ遊技機の開発など、中長期を見据えた事業改革を推進してきた。ただ、一連の規則改正等(出玉制限や依存症対策など)を通じて、パチンコ業界が大きな転換点を迎えるなかで、先行き不透明感の影響から足元業績は厳しい状況が続いている。2019年6月には、業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」をリリースし、今後の事業拡大に向けて本格的に動き出した。「新規則」機による新たな時代に向けて、ホール経営の効率化・省力化に貢献するとともに、市場シェア拡大と収益力の向上を目指している。

2. 2020年3月期上期の業績
2020年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比31.0%増の18,643百万円、営業利益が同49.3%増の1,302百万円と計画を上回る大幅な増収増益となった。売上高は、「情報システム事業」が計画を上回るペースで大きく伸長した。厳しい市場環境が続くなかで、セキュリティ機能の高さが評価されているCRユニット「VEGASIA III」などが好調に推移するとともに、新たに市場投入したAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」も順調に立ち上がってきた。一方、「制御システム事業」についても、パチンコ遊技機向け表示ユニットの販売が苦戦したものの、制御ユニット及び部品販売が好調に推移したことから計画を上回る増収を確保した。利益面でも、「情報システム事業」の伸びが増益に大きく寄与し、営業利益率も7.0%(前年同期は6.1%)に改善している。

3. 2020年3月期の業績予想
2020年3月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比9.1%増の34,000百万円、営業利益を同21.5%減の1,200百万円と増収ながら減益を見込んでいる。売上高は、引き続き「情報システム事業」が好調に推移する見通しである。特に、ホール経営の基盤となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」への入れ替え(システムアップ)を進めることで、付加価値の高い新製品・サービスの導入に拍車をかけるとともに、顧客の囲い込みにもつなげる方針である。一方、利益面については、基幹システムなどの入れ替えや展示会の販売促進費のほか、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」のリリースに伴う減価償却費の発生等により減益を見込んでいる。なお、上期業績が計画を上回ったにもかかわらず、通期業績予想を据え置いたのは、旧規則のパチスロ主力機種の認定切れ(撤去期限)を年末に控え、「新規則」機への置換えによる同社業績への影響(特に、パチンコ遊技機向け表示ユニットの販売など)が不透明であることなどが理由である。

4. 今後の戦略的方向性
同社は、規則改正などパチンコ業界を取り巻く環境の変化に対して、中長期的には業界がさらに幅広く社会に支持される産業へ進化する好機と捉えている。特に、業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」及び次世代製品群によるシェア拡大のほか、データ分析力や企画開発力を生かした新たな価値の創出により、業界の発展に貢献すると同時に、同社自身の成長力及び収益力の向上へと結びつける方針である。弊社でも、中長期的な視点から、業界全体の活性化に向けた取り組みのほか、異業種を含めたM&Aの動きにも注目している。

■Key Points
・2020年3月期上期は計画を上回る増収増益を実現
・業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」も順調な立ち上がり
・「新規則」機への置換えに伴う業界環境の不透明感を踏まえ、通期業績予想は据え置き
・「新規則」機による新たな時代に向けて、ホール経営の効率化・省力化に貢献するとともに、データ活用による新たな価値の提供により、市場シェアの拡大と収益力の向上を目指す方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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