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ダイコク電 Research Memo(4):2019年末に主力パチスロ機の撤去期限を控えるも、中期的には事業拡大の好機

注目トピックス 日本株
■ダイコク電機<6430>の業界環境

パチンコ業界は、遊技人口の減少、低貸玉化への流れ、消費税増税の影響などを受けて厳しい環境が続いている。特に、2015年に業界における自主規制(高射幸性機種の制限等)がパチンコ及びパチスロ遊技機の両方で実施されると、2016年に入ってからも「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」回収・撤去の問題が動き出し、業界全体が停滞感に覆われてきた。さらに2017年9月4日には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」(2018年2月1日施行、以下「新規則」と略)※1が公布されると、業界に対する悲観的な見方や先行き不透明感により、混沌とした状況が続いている。足元においても、「新規則」に対応した遊技機として、大当たり確率を最大6段階まで設けた「設定付きパチンコ機」や「パチスロ6号機」が遊技機メーカー各社から発表されているが、まだ認定機種の数が十分に出そろっていないことや、認定された機種の市場の評価も定まっていないことから、本格的な導入には至っていない※2。特に、パチスロについては、これまでホール経営の稼ぎ頭であった主要な高射幸性遊技機の認定切れ(撤去期限)を2019年12月末に控えており、「新規則」機への移行に伴うホール経営への影響や設備投資の動向などに不透明感が漂っている。ただ、今後、旧規則機の撤去が進み、「新規則」機が市場投入されるにつれ、ホールの勝ち残りをかけた(集客のための)投資も活性化してくるものと考えられる。また、ホール運営における人手不足も深刻化しており、省人化に向けた設備機器の導入等も見込まれている。

※1 今回の「新規則」で、例えば、遊技機の最大出玉が抑制され、管理遊技機の規格が明記された。ただ、「新規則」の施行から1年以上が経過したにもかかわらず、依然として旧規則機が多数を占めており、パチンコホールにとっては、業績悪化への懸念のほか、機種の入れ替えのタイミングなど難しい判断が必要とされ、それが投資意欲の冷え込み(慎重な姿勢)の長期化につながっていると言える。
※2 同社推計によると、2019年10月末の「新規則」機台の導入率はパチンコが約32%、パチスロが約22%にとどまっている。ただ、これから旧規則機の撤去期限が次々と到来するため、2021年1月に向けて「新規則」機への移行が徐々に進むものとみられる。


警察庁によれば、パチンコ店舗数は年々減少傾向にあり、2011年から2018年の間で年平均2.7%減となっている。特に足元においては、「新規則」の影響等により新規出店の減少が顕著である。なお、2018年のパチンコホール数は10,060店舗(前年比536店舗減)であるが、同社のホールコンピュータ顧客数は3,517店舗(シェア35.0%)に上る。同社の顧客層は地域1番の優良店が多く、店舗規模も市場平均よりも大きいところに特徴※があり、1店舗当たりの平均遊技台数は533台と他社平均(371台)の約4割増しとなっている。したがって、比較的景気変動に対する抵抗力が強く、投資余力にも優れている顧客基盤と言え、これから「新規則」機による新たな時代を迎え、大型店舗を中心に投資意欲が戻ってくれば、同社にとっては事業拡大の好機になる可能性が高い。

※中大型店舗(501台〜1,000台)におけるシェアは54.2%、大型店舗(1,001台以上)のシェアは75.0%と大型店舗ほど高いシェアとなっている。


また、遊技台数については減少傾向で推移(特に、パチンコ遊技機の減少が顕著)しているものの、1店舗当たりの遊技機設置台数は増加しており、店舗の大型化が示されている。既述のとおり、スケールメリットが生かせる大型店舗は同社の得意とするところであり、機能性や付加価値による高い投資効果を訴求できる同社にとっては追い風と考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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