ダイコク電 Research Memo(6):2020年3月期上期は計画を上回る大幅な増収増益
[19/12/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
2. 2020年3月期上期決算の概要
ダイコク電機<6430>の2020年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比31.0%増の18,643百万円、営業利益が同49.3%増の1,302百万円、経常利益が同41.4%増の1,421百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同43.1%増の912百万円と計画を上回る大幅な増収増益となった。特に、利益面での上振れ幅が大きい。
売上高は、「情報システム事業」が計画を上回るペースで大きく伸長した。厳しい市場環境が続くなかで、引き続き、セキュリティ機能の高さが評価されているCRユニット「VEGASIA III」などが好調に推移。また、新たに市場投入したAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」も順調に立ち上がってきた。一方、「制御システム事業」についても、パチンコ遊技機向け表示ユニットの販売が苦戦したものの、制御ユニット及び部品販売が好調に推移したことから計画を上回る増収を確保した。
利益面でも、「情報システム事業」の伸びが増益に大きく寄与した。一方、「制御システム事業」については、表示ユニットの落ち込みや研究開発費の増加等により減益(セグメント損失の計上)となったが、「情報システム事業」の利益の伸びで十分にカバーすることができた。営業利益率も7.0%(前年同期は6.1%)に改善している。
財務面では、現金及び預金が増加したものの、総資産全体では前期末比0.4%増の43,888百万円と微増にとどまった。一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同1.6%増の30,366百万円と増加したことから、自己資本比率は69.2%(前期末は68.4%)と若干改善した。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1)情報システム事業
売上高は前年同期比34.6%増の14,908百万円、セグメント利益は同65.0%増の2,309百万円と大幅な増収増益となった。計画に対しても、売上高、利益ともに上回る進捗となっている。パチスロ主力機種の認定切れによる撤去期限を年末に控え、設備投資への意欲が低下する厳しい市場環境が継続するなか、引き続き、セキュリティ機能の高さが評価されているCRユニット「VEGASIA III」※1が好調に推移した。加えて、パチスロ6号機(新規則機)のヒット機種に対応する専用コンテンツを搭載したファン向け情報端末「BiGMO PREMIUM II」や、「REVOLA」などが大きく伸びたほか、2019年6月に市場投入したAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」への入れ替え(システムアップ)も順調に進んでいるようだ。利益面でも、収益性の高いサービス売上の伸び※2や付加価値の高い提案営業などにより大幅な増益を実現し、セグメント利益率も15.5%(前年同期は12.6%)と高い水準に戻ってきた。
※1 顔認証カメラが標準装備され、ファン動向が把握できるところに最大の特徴がある。特に、データ分析による最適な機種構成の実現のほか、セキュリティ機能の強化が高い評価を受けている。
※2 サービス売上は前年同期比6.8%増の5,598百万円(そのうち、MGサービスは同4.7%増の2,309百万円)と順調に伸びている。特に、MGサービスについては、周辺エリアの集客状況を表示する商圏分析サービス「Market-SIS」の普及に注力している。
(2)制御システム事業
売上高は前年同期比18.2%増の3,750百万円、セグメント損失は66百万円(前年同期は335百万円の利益)と増収ながらセグメント損失に陥った。計画に対しても、売上高が上回った一方、利益面では下回る進捗となっている。パチンコ遊技機向け表示ユニットの販売が前年同期比で減少したものの、大型タイトルで採用された制御ユニット及び部品販売が好調に推移したことで増収を確保した。利益面では、表示ユニットの落ち込みや研究開発費の増加等により大幅な減益となり、セグメント損失に陥った。
以上から、上期実績を振り返れば、厳しい市場環境が継続するなかで、計画を大きく上回る業績を実現したことは高く評価できる。特に、「情報システム事業」において、今後の成長戦略の切り札となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」をリリースし、順調に立ち上がってきたことや、付加価値の高い新製品群が市場から高い評価を受けるなど、同社の実力をしっかりと実証できたところは、将来に向けても力強い材料と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2. 2020年3月期上期決算の概要
ダイコク電機<6430>の2020年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比31.0%増の18,643百万円、営業利益が同49.3%増の1,302百万円、経常利益が同41.4%増の1,421百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同43.1%増の912百万円と計画を上回る大幅な増収増益となった。特に、利益面での上振れ幅が大きい。
売上高は、「情報システム事業」が計画を上回るペースで大きく伸長した。厳しい市場環境が続くなかで、引き続き、セキュリティ機能の高さが評価されているCRユニット「VEGASIA III」などが好調に推移。また、新たに市場投入したAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」も順調に立ち上がってきた。一方、「制御システム事業」についても、パチンコ遊技機向け表示ユニットの販売が苦戦したものの、制御ユニット及び部品販売が好調に推移したことから計画を上回る増収を確保した。
利益面でも、「情報システム事業」の伸びが増益に大きく寄与した。一方、「制御システム事業」については、表示ユニットの落ち込みや研究開発費の増加等により減益(セグメント損失の計上)となったが、「情報システム事業」の利益の伸びで十分にカバーすることができた。営業利益率も7.0%(前年同期は6.1%)に改善している。
財務面では、現金及び預金が増加したものの、総資産全体では前期末比0.4%増の43,888百万円と微増にとどまった。一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同1.6%増の30,366百万円と増加したことから、自己資本比率は69.2%(前期末は68.4%)と若干改善した。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1)情報システム事業
売上高は前年同期比34.6%増の14,908百万円、セグメント利益は同65.0%増の2,309百万円と大幅な増収増益となった。計画に対しても、売上高、利益ともに上回る進捗となっている。パチスロ主力機種の認定切れによる撤去期限を年末に控え、設備投資への意欲が低下する厳しい市場環境が継続するなか、引き続き、セキュリティ機能の高さが評価されているCRユニット「VEGASIA III」※1が好調に推移した。加えて、パチスロ6号機(新規則機)のヒット機種に対応する専用コンテンツを搭載したファン向け情報端末「BiGMO PREMIUM II」や、「REVOLA」などが大きく伸びたほか、2019年6月に市場投入したAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」への入れ替え(システムアップ)も順調に進んでいるようだ。利益面でも、収益性の高いサービス売上の伸び※2や付加価値の高い提案営業などにより大幅な増益を実現し、セグメント利益率も15.5%(前年同期は12.6%)と高い水準に戻ってきた。
※1 顔認証カメラが標準装備され、ファン動向が把握できるところに最大の特徴がある。特に、データ分析による最適な機種構成の実現のほか、セキュリティ機能の強化が高い評価を受けている。
※2 サービス売上は前年同期比6.8%増の5,598百万円(そのうち、MGサービスは同4.7%増の2,309百万円)と順調に伸びている。特に、MGサービスについては、周辺エリアの集客状況を表示する商圏分析サービス「Market-SIS」の普及に注力している。
(2)制御システム事業
売上高は前年同期比18.2%増の3,750百万円、セグメント損失は66百万円(前年同期は335百万円の利益)と増収ながらセグメント損失に陥った。計画に対しても、売上高が上回った一方、利益面では下回る進捗となっている。パチンコ遊技機向け表示ユニットの販売が前年同期比で減少したものの、大型タイトルで採用された制御ユニット及び部品販売が好調に推移したことで増収を確保した。利益面では、表示ユニットの落ち込みや研究開発費の増加等により大幅な減益となり、セグメント損失に陥った。
以上から、上期実績を振り返れば、厳しい市場環境が継続するなかで、計画を大きく上回る業績を実現したことは高く評価できる。特に、「情報システム事業」において、今後の成長戦略の切り札となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」をリリースし、順調に立ち上がってきたことや、付加価値の高い新製品群が市場から高い評価を受けるなど、同社の実力をしっかりと実証できたところは、将来に向けても力強い材料と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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