フォーバル Research Memo(4):主力のフォーバルビジネスグループでは、アイコンサービスを起点に展開
[20/01/06]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■フォーバル<8275>の事業概要
1. フォーバルビジネスグループ
フォーバルビジネスグループでは、中小企業向けに、IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などの情報通信コンサルティングのほか、総合コンサルティング、海外進出支援、人材・教育、環境などの経営コンサルティングサービス、OA・ネットワーク機器の販売、サービスの取次ぎなどを手掛ける。主力事業は、コンサルティングサービスであるアイコンサービスのほか、創業以来手掛けているビジネスフォンの販売を始めとする情報通信機器やOA機器の販売であり、最近では、サーバーやセキュリティ関連の販売が好調だ。情報機器や通信サービスでの接点からアイコンサービス・よろず経営相談へ導き、さらに次世代経営コンサルティングでより深い解決策を提案するという一連の流れで、中小企業の多様なニーズに対応する体制が整備されている。直近では、中小企業にとっても働き方改革が待ったなしとなるなか、同社の一連のソリューション(コンサルティング、システム、空間作りなど)が中小企業の生産性向上に寄与している。
同社の最も注目すべき事業は、2008年に導入されたアイコンサービスである。アイコンのアイは、information(情報)、imagination(想像力)、idea(アイデア)、identity(独自性)、intelligence(知力)、innovation(革新)を起源とするコンサルティングサービスである。定期訪問と遠隔サポート・状態監視を組み合わせた効率的な支援が特徴である。
アイコンサービスの基本構成は、経営のよろず相談サービス、定期訪問や通信技術を使った遠隔サポート、パソコン・ネットワーク状態監視サービス、各種アプリケーションの問い合わせサービス、顧客専用サイトとなっている。メニューとして、経営コンサルティング系、個人情報管理系、パソコン・ネットワーク系、スマートフォン・パッド系、ホームページ系、電話系、コピー系の幅広いサービスを提供する。現在のアイコンサービスの平均客単価は、月額10,000円程度であり、他のサービスへの入り口と位置付けているため、設定金額は低めである。アイコンサービスの全顧客数は33,080件(2019年9月末時点)であり、前年同期比で9.3%増加した。同サービスは、自社の“企業ドクター”が行うのが基本であったが、近年はOEM展開(パートナーの販売会社によるサービス)が大きく伸びており、全顧客数に占めるOEM経由の顧客の比率は45.6%に達する。アイコンサービスはそれ自体が粗利率の高いサービスであるが、端末(パソコン、タブレット、携帯電話、プリンター、コピー機など)やネットワークの状態監視から得られたビッグデータから様々な改善提案を行うことにより関連商材が拡販できるという副次的効果が大きい。結果として、アイコンサービスの売上高とフォーバルビジネスグループ及び同社全体の営業利益には高い相関性がある。
2020年3月期上期の「よろず経営相談の目的」の傾向は、「業務効率改善」が前年同期比17.3ポイント増の48.3%に上り、人材不足の中で働き方改革を進めなければならないなか、生産性の向上が急務である状況が反映していると考えられる。また「よろず経営相談の領域・分野」では「人材・教育」関連が同11.5ポイント増の19.0%と増え、顧客の同社への期待が多様化していることがわかる。
フォーバルビジネスグループの2020年3月期第2四半期の業績は堅調である。売上高は10,968百万円(前年同期比1,350百万円増)、セグメント利益が879百万円(同14百万円増)と右肩上がりを続けている。
2. フォーバルテレコムビジネスグループ
フォーバルテレコム<9445>を中心にVoIP(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)・FMC(サービス名「ツーウェイスマート」)などのオリジナルな通信サービス、インターネット関連サービス、普通印刷及び保険サービスなどを提供する。また、一括請求する「ワンビリングサービス」を通じて企業のコスト削減や事業効率向上を支援している。近年注力してきた光回線サービスやISPが順調に拡大、2020年3月期第2四半期も増収増益を続け、好調である。
3. 総合環境コンサルティングビジネスグループ
(株)アップルツリー(2013年12月に子会社化)がスマートグリッド設備機器の商社事業(太陽光システム、オール電化、蓄電池、HEMS)と太陽光発電システム(住宅用、産業用)の設計、施工、販売事業を主に行ってきた。太陽光発電システムに関しては、再生可能エネルギー特別措置法(FIT法)改正の影響を受け、販売は停滞傾向にある。それを補うべくLED照明や蓄電池の拡販を積極化し、事業構造の転換を図っている。LED事業については、国内生産で高品質なLEDを提供している。LEDは部屋を明るくするだけでなく、節電効果で経費削減にもつながる上に10年保証も付くことから、導入のメリットは大きく、今後の拡大が期待される。2019年2月に同社は、(株)エレバム(東京都大田区)からランプ及びLEDの製造販売事業を譲受し、LED事業は製販一体経営となっている。
4. その他の事業グループ(人材・教育分野)
人材・教育分野の強化のため、通信教育事業、書籍の出版・販売事業を手掛ける(株)アイテック(2013年10月に子会社化)と、IT分野のエンジニア及び管理者の育成、東南アジアにおける現地幹部候補・留学生の人材紹介・派遣などの事業を行う(株)クリエーティブソリューションズが合併し、新会社として(株)アイテックが2018年4月に発足している。旧アイテックは情報処理技術者や個人情報保護士の養成を得意とし、eラーニングでのサービス提供ができる強みがあり、クリエーティブソリューションズは大手通信会社などを顧客に持ち、安定した需要が特長であったことから、それぞれのシナジーを最大化して、さらなる事業の拡大・発展を図っていく方針である。最近はセミナー関連が好調に推移している。
5. 海外事業
インドネシア、カンボジア、ベトナム、ミャンマーに拠点を置き、グローバルアイコンサービス、レンタル工場などを運営する。グローバルアイコンサービスでは、進出前の情報提供、海外進出FS支援、現地法人設立支援から、進出後の人材支援、バックオフィス業務支援、OA・ネットワークITサポートまで全方位のサポートサービスを提供しており、ASEAN4ヶ国に海外従業員175名が従事している(2019年9月末現在)。
同社は、全国で数多くの金融機関及び税理士法人等とアライアンスを組み、海外進出のポテンシャルのある顧客企業を開拓している。自治体・官公庁、国際協力機構との連携にも力を入れており、2020年3月期にはビジネスマッチングや調査など17のプロジェクトを受託し、その数は増えている。ベトナムのレンタル工場は第8工場までが賃貸可能となり、72.9%が賃貸契約されており、好調に稼働している。
海外での人材採用・教育については、同社創設者であり現代表取締役会長の大久保氏が理事長を務めている非営利で民間の教育支援団体である公益財団法人CIESF(シーセフ)との連携により、日系企業の社員研修の受託では延べ10,000人以上の教育実績がある。長年の功績が認められ、2019年6月には現会長の大久保氏はカンボジア王国友好勲章(大勲位)を受章した。カンボジアではセキュリティ事業も好調であり、カンボジア内務省国家警察本部と警察無線を共同利用する契約を結ぶまで信頼を得ている。海外売上高は年々増加し、2019年3月期は過去最高の売上高793百万円を達成し、すでに海外事業として黒字化を果たしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. フォーバルビジネスグループ
フォーバルビジネスグループでは、中小企業向けに、IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などの情報通信コンサルティングのほか、総合コンサルティング、海外進出支援、人材・教育、環境などの経営コンサルティングサービス、OA・ネットワーク機器の販売、サービスの取次ぎなどを手掛ける。主力事業は、コンサルティングサービスであるアイコンサービスのほか、創業以来手掛けているビジネスフォンの販売を始めとする情報通信機器やOA機器の販売であり、最近では、サーバーやセキュリティ関連の販売が好調だ。情報機器や通信サービスでの接点からアイコンサービス・よろず経営相談へ導き、さらに次世代経営コンサルティングでより深い解決策を提案するという一連の流れで、中小企業の多様なニーズに対応する体制が整備されている。直近では、中小企業にとっても働き方改革が待ったなしとなるなか、同社の一連のソリューション(コンサルティング、システム、空間作りなど)が中小企業の生産性向上に寄与している。
同社の最も注目すべき事業は、2008年に導入されたアイコンサービスである。アイコンのアイは、information(情報)、imagination(想像力)、idea(アイデア)、identity(独自性)、intelligence(知力)、innovation(革新)を起源とするコンサルティングサービスである。定期訪問と遠隔サポート・状態監視を組み合わせた効率的な支援が特徴である。
アイコンサービスの基本構成は、経営のよろず相談サービス、定期訪問や通信技術を使った遠隔サポート、パソコン・ネットワーク状態監視サービス、各種アプリケーションの問い合わせサービス、顧客専用サイトとなっている。メニューとして、経営コンサルティング系、個人情報管理系、パソコン・ネットワーク系、スマートフォン・パッド系、ホームページ系、電話系、コピー系の幅広いサービスを提供する。現在のアイコンサービスの平均客単価は、月額10,000円程度であり、他のサービスへの入り口と位置付けているため、設定金額は低めである。アイコンサービスの全顧客数は33,080件(2019年9月末時点)であり、前年同期比で9.3%増加した。同サービスは、自社の“企業ドクター”が行うのが基本であったが、近年はOEM展開(パートナーの販売会社によるサービス)が大きく伸びており、全顧客数に占めるOEM経由の顧客の比率は45.6%に達する。アイコンサービスはそれ自体が粗利率の高いサービスであるが、端末(パソコン、タブレット、携帯電話、プリンター、コピー機など)やネットワークの状態監視から得られたビッグデータから様々な改善提案を行うことにより関連商材が拡販できるという副次的効果が大きい。結果として、アイコンサービスの売上高とフォーバルビジネスグループ及び同社全体の営業利益には高い相関性がある。
2020年3月期上期の「よろず経営相談の目的」の傾向は、「業務効率改善」が前年同期比17.3ポイント増の48.3%に上り、人材不足の中で働き方改革を進めなければならないなか、生産性の向上が急務である状況が反映していると考えられる。また「よろず経営相談の領域・分野」では「人材・教育」関連が同11.5ポイント増の19.0%と増え、顧客の同社への期待が多様化していることがわかる。
フォーバルビジネスグループの2020年3月期第2四半期の業績は堅調である。売上高は10,968百万円(前年同期比1,350百万円増)、セグメント利益が879百万円(同14百万円増)と右肩上がりを続けている。
2. フォーバルテレコムビジネスグループ
フォーバルテレコム<9445>を中心にVoIP(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)・FMC(サービス名「ツーウェイスマート」)などのオリジナルな通信サービス、インターネット関連サービス、普通印刷及び保険サービスなどを提供する。また、一括請求する「ワンビリングサービス」を通じて企業のコスト削減や事業効率向上を支援している。近年注力してきた光回線サービスやISPが順調に拡大、2020年3月期第2四半期も増収増益を続け、好調である。
3. 総合環境コンサルティングビジネスグループ
(株)アップルツリー(2013年12月に子会社化)がスマートグリッド設備機器の商社事業(太陽光システム、オール電化、蓄電池、HEMS)と太陽光発電システム(住宅用、産業用)の設計、施工、販売事業を主に行ってきた。太陽光発電システムに関しては、再生可能エネルギー特別措置法(FIT法)改正の影響を受け、販売は停滞傾向にある。それを補うべくLED照明や蓄電池の拡販を積極化し、事業構造の転換を図っている。LED事業については、国内生産で高品質なLEDを提供している。LEDは部屋を明るくするだけでなく、節電効果で経費削減にもつながる上に10年保証も付くことから、導入のメリットは大きく、今後の拡大が期待される。2019年2月に同社は、(株)エレバム(東京都大田区)からランプ及びLEDの製造販売事業を譲受し、LED事業は製販一体経営となっている。
4. その他の事業グループ(人材・教育分野)
人材・教育分野の強化のため、通信教育事業、書籍の出版・販売事業を手掛ける(株)アイテック(2013年10月に子会社化)と、IT分野のエンジニア及び管理者の育成、東南アジアにおける現地幹部候補・留学生の人材紹介・派遣などの事業を行う(株)クリエーティブソリューションズが合併し、新会社として(株)アイテックが2018年4月に発足している。旧アイテックは情報処理技術者や個人情報保護士の養成を得意とし、eラーニングでのサービス提供ができる強みがあり、クリエーティブソリューションズは大手通信会社などを顧客に持ち、安定した需要が特長であったことから、それぞれのシナジーを最大化して、さらなる事業の拡大・発展を図っていく方針である。最近はセミナー関連が好調に推移している。
5. 海外事業
インドネシア、カンボジア、ベトナム、ミャンマーに拠点を置き、グローバルアイコンサービス、レンタル工場などを運営する。グローバルアイコンサービスでは、進出前の情報提供、海外進出FS支援、現地法人設立支援から、進出後の人材支援、バックオフィス業務支援、OA・ネットワークITサポートまで全方位のサポートサービスを提供しており、ASEAN4ヶ国に海外従業員175名が従事している(2019年9月末現在)。
同社は、全国で数多くの金融機関及び税理士法人等とアライアンスを組み、海外進出のポテンシャルのある顧客企業を開拓している。自治体・官公庁、国際協力機構との連携にも力を入れており、2020年3月期にはビジネスマッチングや調査など17のプロジェクトを受託し、その数は増えている。ベトナムのレンタル工場は第8工場までが賃貸可能となり、72.9%が賃貸契約されており、好調に稼働している。
海外での人材採用・教育については、同社創設者であり現代表取締役会長の大久保氏が理事長を務めている非営利で民間の教育支援団体である公益財団法人CIESF(シーセフ)との連携により、日系企業の社員研修の受託では延べ10,000人以上の教育実績がある。長年の功績が認められ、2019年6月には現会長の大久保氏はカンボジア王国友好勲章(大勲位)を受章した。カンボジアではセキュリティ事業も好調であり、カンボジア内務省国家警察本部と警察無線を共同利用する契約を結ぶまで信頼を得ている。海外売上高は年々増加し、2019年3月期は過去最高の売上高793百万円を達成し、すでに海外事業として黒字化を果たしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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