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日本モーゲジS Research Memo(2):住宅業界に特化した金融サービスや各種保険・保証サービスを提供

注目トピックス 日本株
■会社概要

1. 事業概要
日本モーゲージサービス<7192>は、フラット35などの「住宅ローン」を取り扱う金融会社であり、連結子会社のハウスジーメン、住宅アカデメイア、住宅技術協議会の4社からなる企業グループ(MSJグループ)である。このグループ4社が一体となって、約18,800社に上る住宅関連事業者(ハウスメーカー/工務店、不動産事業者、生損保代理店等)の事業支援を目的に、住宅に関する金融や保険等の商品を、キャプティブ・ファイナンスの方式で提供している。最終的なユーザーは住宅購入者だが、住宅関連事業者が同社の直接の顧客であり、住宅金融に特化したBtoB(to C)企業となる。

2. 強み
同社の強みとして、「他にないオンリーワンの業態」「幅広いラインナップによる総合力」「チャネルシナジーによる収益力の高いビジネスモデル」の3つが挙げられる。

(1) 他にないオンリーワンの業態
同社の住宅業界における「課題」を解決することをビジネスチャンスと捉え、時代に先駆けて新規市場に積極的に参入し、事業領域を拡大してきた。具体的には、1996年に住宅事業者向けコンサルティング業務からスタートし、2000年に住宅性能評価業務、2005年に住宅ローン貸付・媒介業務、2008年に住宅瑕疵担保責任保険業務、住宅地盤保証業務、2013年にICTシステム業務、2015年に住宅保証プログラム業務等を、グループ会社を設立しながら開始している。このように住宅関連の金融ソリューションサービスを複合的に提供している企業はほかになく、差別化要因となっている。

(2) 幅広いラインナップによる総合力
同社は新築住宅の販売からアフター・メンテナンス、再販・中古住宅流通に至るまで住宅に関わるすべてのプロセスにおいて金融サービスを提供している。新築時には、住宅ローンだけでなく地盤保証や住宅瑕疵保険の提供、住宅購入後のメンテナンスにおいては住宅設備延長修理保証や住宅メンテナンス保証、再販時には住宅ローンやインスペクションサービス等をグループ各社で提供可能となっており、顧客に対して一体・総合的なファイナンス・事業支援を行い、価値創造を図っている。1棟の住宅で複数のサービスが提供可能なため、LTV(ライフタイムバリュー)の最大化を実現できることが強みとなる。

(3) チャネルシナジーによる収益力の高いビジネスモデル
約18,800社に上る住宅関連事業者が提携・取引先となり、これら幅広い販売チャネルを通じて、グループ4社分の商品を「ONEマーケティング」で提供することにより、高い収益性を実現するビジネスモデルを構築していることが強みとなる。

3. 事業セグメント
同社の事業セグメントは、住宅金融事業、住宅瑕疵保険等事業、住宅アカデメイア事業の3つに区分されている。

(1) 住宅金融事業
日本モーゲージサービスで展開している事業で、住宅販売にはなくてはならない住宅ローン(MSJフラット35、MJSプロパーつなぎ融資など)の貸付及び媒介、住宅金融支援機構の住宅ローンに関する業務の代行関連業務などを提供している。住宅ローンを取り扱う他のモーゲージバンクサービス事業者と一線を画すのは、「住宅関連企業の経営課題を解決する」というスタンスであること。そのためアライアンスパートナー制度により、住宅ローンにとどまらない総合的なソリューションを提供している。

主力商品である「MSJフラット35」の事業の流れについては、同社が銀行から借入れを行い、住宅購入者に対して貸付を実行する。貸付債権は即座に住宅金融機構に売却し、オフバランス化し、融資実行から1週間以内には銀行に借入額を返済する格好となる。融資額に対する手数料が同社の営業収益となり、手数料率は各ローン商品やキャンペーンの有無などによって変動する。フラット35を提供する金融機関は多数あり、そのうち同社のシェア※は2019年3月期で3〜4%、2020年3月期第1四半期は5%程度と年々上昇傾向にある。また、営業収益の大半はMSJフラット35によるが、そのほかにも独自開発したローン商品や銀行代理ローン商品などもラインナップされている。

※住宅金融支援機構の新規貸出額に対するシェア


(2) 住宅瑕疵保険等事業
ハウスジーメンが展開する事業で、住宅の品質を確保するための保険・保証・審査・検査商品を取り扱っている。具体的には、住宅瑕疵保険(法定義務保険)やリフォーム瑕疵保険、地盤保証、住宅性能表示、長期優良住宅にかかる技術的審査、フラット35住宅適合証明検査、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)評価等である。なお、住宅地盤保証業務はグループ会社の住宅技術協議会が行っている。

住宅産業は、市場を担うプレイヤーのうち圧倒的多数を中小の事業者が占めており、住宅瑕疵保険はその中小事業者の大半が加入するため、ハウスジーメンは多数の取引先・提携先(チャネル・ネットワーク)を有しているのが特徴となっている。住宅瑕疵保険を提供する住宅瑕疵担保責任保険法人は国交省指定による5社しかなく、同社のほかに (株)日本住宅保証検査機構(LIXILグループ<5938>)、住宅保証機構(株)、(株)住宅あんしん保証、ハウスプラス住宅保証(株)(東京電力グループ)などがある。ハウスジーメンの2019年3月期取り扱いシェアは13〜14%となっている。なお、住宅瑕疵保険については自社リスク保有部分を除いて再保険をかけており、リスク分散を行っている。

(3) 住宅アカデメイア事業
同社グループにおいて、住宅産業における経営課題の解決と、新たなビジネスモデル構築を担う。営業収益の6〜7割程度は住宅設備延長修理保証や住宅メンテナンス保証、住宅リペア保証、緊急駆け付け保証など、住宅完成引渡後(ストック住宅)の住生活に関する保証サービスで占めている。これらサービスは、損害保険会社と保険契約を締結することで保証制度を提供・運営するモデルとなっており、主な営業収益は保険付保や請求に関する手数料となる。

残りについては、住宅関連企業全般を対象とした事業サポートのほか、アフター事業支援などのコンサルティングなどで占められる。主には、モジュール型規格住宅に関する設計、図面作成、構造計算、設計部材等の積算、資材発注管理、現場管理、メンテナンス等の住宅建築に関するサポート業務の一定部分をクラウドサービスとして提供し、工務店等の経営効率化に資する支援サービスを提供している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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