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カイカ Research Memo(1):ブロックチェーン・仮想通貨分野でトップランナーを目指す

注目トピックス 日本株
■要約

1. 会社概要
カイカ<2315>は、金融業界向けのシステム開発を主力とする「情報サービス事業」のほか、「仮想通貨関連事業」、eワラント証券などの買収に伴い2018年10月期よりスタートさせた「金融商品取引事業」を複合的に展開している。また、2019年4月には法人向け学習管理システムや育成型人材紹介事業を手掛けるアイスタディ<東証二部2345>を子会社化したことにより、「HRテクノロジー事業」が新セグメントに追加された。2015年6月にフィスコ<3807>の当時の子会社であったネクスグループ<6634>が資本参加、これを契機に、経営体質の改善が図れたほか、成長性が期待でき、これまでの知見が生かせるブロックチェーン・仮想通貨分野に注力する方向へと舵を切ることになる。現在はネクスグループの持分法適用会社から外れたが、引き続きフィスコグループの一角で協調展開を行っている。長年にわたって蓄積してきた高度な技術やノウハウなどに強みがあり、ブロックチェーン技術者は約500名を誇る。2020年3月を目途に持株会社体制への移行を予定しており、経営資源の最適配分や各事業のシナジー創出等により、早期に成長軌道に乗せていく考えだ。

2. 2019年10月期決算の概要
2019年10月期の連結業績は、売上高が前期比0.5%減の7,600百万円、営業損失が615百万円(前期は395百万円の損失)、経常損失が1,111百万円(同612百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失が1,753百万円(同550百万円の利益)と減収となり営業損失幅も拡大した。売上高は、アイスタディの連結効果がプラス要因となったものの、(株)ネクス・ソリューションズの売却によりわずかに減収となった。特に、売上高が期初計画を大きく下回ったのは、ネクス・ソリューションズの売却等による「情報サービス事業」の下振れのほか、「金融商品取引事業」における投資家心理の冷え込みなど外部環境によるものである。利益面でも、売上高の下振れに加え、仮想通貨交換所システムの開発コストなど将来を見据えた先行費用の高止まりにより営業損失を計上。さらには、持分法投資損失やソフトウェアの減損損失等により大幅な最終損失に落ち込んだ。もっとも、定性面では、FinTech分野向けの自社製品として開発を進めてきた「仮想通貨交換所システム」の外販や「eワラント」の直販体制の確立、アイスタディの連結化による人材確保面での連携など、今後の事業拡大に向けては一定の成果を残したと評価できる。

3. 2020年10月期の業績見通し
2020年10月期の連結業績について同社は、売上高を前期比9.5%増の8,326百万円、営業利益を369百万円(前期は615百万円の損失)、経常利益を242百万円(同1,111百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益を75百万円(同1,753百万円の損失)と大幅な増収及び損益改善(黒字転換)を見込んでいる。売上高は、2019年10月期に引き続き、ネクス・ソリューションズの売却による影響がマイナス要因として残るものの、その要因を除けば、各事業が伸長する計画である。特に、これまで投資フェーズにあった「仮想通貨関連事業」及び「金融商品取引事業」がいよいよ回収フェーズに入ってくるほか、「HRテクノロジー事業」についても、(株)エイム・ソフト及び(株)ネクストエッジの連結効果や「iStudy ACADEMY」の拡販が業績の伸びをけん引する想定となっているようだ。利益面でも、増収による収益の底上げのほか、開発コストの一巡や費用削減等により大幅な損益改善を図り、各事業での利益貢献を見込んでいる。

4. 成長戦略
同社は、これまでのシステム開発業に加え、ブロックチェーンを活用したFinTech関連ビジネスと高度IT技術者の確保につながる事業をコア事業としている。とりわけ仮想通貨ビジネスへの取り組みを加速することにより、FinTech分野でのトップランナーを目指すとともに、中長期的には海外展開や社会インフラ関連ソリューションへの進出も視野に入れているようだ。また、未来像として、金融とITをシームレスに統合したこれまでにない新しいタイプの事業モデルの構築(金融サービスのプラットフォーマー構想)にも取り組む方向性を描いている。弊社でも、他社に先駆けてブロックチェーン技術を活用したFinTech分野に注力し、高い信頼性やセキュリティ機能などが求められる仮想通貨交換所システムで実績を積み上げてきた同社には、仮想通貨ビジネスを展開するうえで大きなアドバンテージがあると見ている。また、新しい事業モデルの構築(金融プラットフォーマー構想)に取り組む方向性についても、現時点では未知数の部分が大きいものの、金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引業であるeワラント証券や仮想通貨交換業者を自社グループ内に抱えるシステム開発会社という、他に例を見ないユニークな事業基盤が活かせるうえ、仮想通貨ビジネスを展開するための差別化要因になることから、収益源の多様化や事業拡大のポテンシャルを高めるものとして期待している。

■Key Points
・2019年10月期決算は外部環境や子会社売却の影響、先行費用の高止まり等により低調に推移
・一方、「仮想通貨交換所システム」の外販や「eワラント」の直販体制の確立、アイスタディの連結化など、今後の事業拡大に向けては一定の成果あり
・2020年10月期は各事業が伸長することにより大幅な増収及び損益改善(黒字転換)を見込む
・FinTech分野でのトップランナーを目指すとともに、将来的には金融とITをシームレスに統合した新しい事業モデルの構築にも取り組む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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