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学研HD Research Memo(4):医療福祉サービス事業では、高齢者福祉事業と子育て支援事業を展開

注目トピックス 日本株
■学研ホールディングス<9470>の事業概要

4. 教育ソリューション事業
教育ソリューション事業は売上高の14%、営業利益の8%を占めており、サブセグメントとして、幼児教育事業と学校教育事業(企業向け研修事業含む)の2つに分けられている。

(1) 幼児教育事業
幼児教育事業としては、(株)学研教育みらいで幼稚園・保育園向けの出版物(絵本など)や保育用品、備品、園服などの物販事業のほか、幼児教室事業を手掛けている。幼児教室とは幼稚園内において知育や科学、英語などのお稽古教室の運営を同社で所定の研修を終えた指導員が行うもので、言わば学校内塾の幼児版となる。

(2) 学校教育事業
学校教育事業としては、学研教育みらいで小・中学校向けの教科書(保健体育、道徳)や教員向け指導書、特別支援教材などを発行しているほか、高校向けには小論文、模試など、大学向けには就職模擬テスト・教材などの製作販売を行っている。また、企業向けにも各種採用支援サービスを提供している。そのほか、2018年2月に子会社化した(株)ジェイテックスマネジメントセンター(以下、JMC)で企業内研修向けの講師派遣サービスなども展開している。

学校教育事業の収益は、小・中学校向けの教科書及び教員向け指導書の依存度が高くなっているのが特徴となっている。教科書は4年サイクルで文部科学省による検定が実施され、公立学校の場合は各自治体の教育委員会が検定に合格した教科書のなかから採択するしくみであるため、その動向によって販売シェアが変動することになる。直近では、2020年9月期、2021年9月期は2教科ずつ新規発行されるため、収益は良好に推移するが、その後2年間は教員向け指導書の販売がないため、収益も落ち込むことが予想される。


サービス付き高齢者向け住宅やグループホーム等の高齢者福祉事業と子育て支援事業を展開

5. 医療福祉サービス事業
医療福祉サービス事業は売上高の41%、営業利益の66%を占める主力事業に成長している。2018年9月にMCSを子会社化したことが大きく寄与している。なお、2019年9月期までは高齢者福祉事業、子育て支援事業、医学看護出版事業の3つのサブセグメントで構成していたが、既述のとおり、2020年9月期から医学看護出版事業(eラーニング事業含む)については教育コンテンツ事業に移管している。

(1) 高齢者福祉事業
高齢者福祉事業では、子会社の(株)学研ココファンが「ココファン」ブランドでサ高住を全国展開してきたほか、有料老人ホームやデイサービスをはじめ各種介護サービスの企画・開発・運営も行っている。主力のサ高住については、2019年9月末で全国136棟(総戸数6,457戸)を運営している。地域的には首都圏で全体の7割強(戸数ベース)を占め、残りを中部・西日本エリア(静岡、愛知、石川、京都、大阪、岡山、愛媛、熊本)に展開している。

サ高住については、主にサブリース型のスキームを活用しており、同社自身は土地建物を保有せず、ほぼ施設の運営に特化している。この事業モデルにより、バランスシートのスリム化と迅速な拠点展開を実現し、事業を拡大してきた。

一方、MCSは認知症ケアの居住型介護施設であるグループホームの運営を主力事業としており、2019年9月末で全国に269棟(居室数5,156室)を運営し、居室数では業界トップとなっている。また、介護付有料老人ホーム9棟、小規模多機能型居宅介護施設12ヶ所、その他介護施設13ヶ所を国内で展開しているほか、中国にも4つの事業所を展開している。そのほか、子会社でこれら運営施設向けの給食事業や清掃事業、福祉用具の販売・レンタル事業なども行っている。

MCSを子会社化した目的は、0歳から100歳を超えても安心して暮らし続けることができるように、子ども・子育て世代・高齢者と世代を超えてつながる「学研版地域包括ケアシステム」を実現していくうえでのシナジー効果が高いと判断したためだ。具体的には、1)サ高住の入居者で認知症が重度化した場合の退去時の受け入れ先の確保及び入居率の向上、2)エリアの共通性を基軸とした施設開発展開力の向上、3)採用活動の協働化による人材確保上のメリットと定着率の向上、などが期待される。

なお、高齢者福祉事業の収益変動要因は、入居率と運営スタッフの人件費となる。新規拠点数が短期間で増加すれば入居率が一時的に低下するほか、運営スタッフの採用費、人件費など先行投資がかさむことになる。また、人材不足で派遣スタッフの比率が上昇した場合もコスト高要因となる。

(2) 子育て支援事業
子育て支援事業とは保育園や学童施設の運営事業のことで、(株)学研ココファン・ナーサリーで展開している。2019年9月末の子育て支援施設は64拠点(3,896名)で、すべて首都圏となっている。保育園の事業モデルについてはサ高住と同様、サブリース方式を主に展開しており、学童保育については公設民営型の運営受託が基本となっている。保育園の事業については保育士をいかに確保できるかが重要となる。保育士の正社員比率が低いとコスト高になるだけでなく、自治体からの補助金がカットされるケースもあるためだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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