日本化学工業 Research Memo(3):化学品事業と機能品事業が2本柱、電子セラミック材料が成長を牽引
[20/01/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■日本化学工業<4092>の事業概要
1. 化学品事業と機能品事業が2本柱
事業(セグメント)区分は、化学品事業(クロム製品、シリカ製品、リン製品、その他)、機能品事業(電子セラミック材料、ホスフィン誘導体、農薬、電池材料、回路材料、その他)、賃貸事業、空調関連事業、その他としている。
創業以来の化学品事業と機能品事業が収益の2本柱である。需要先は自動車、家電、半導体・液晶、二次電池、塗料、製紙、土木、家庭用品、食品、飼料、医薬・農薬と幅広い。120年以上の歴史の中で培った配合・合成ノウハウをベースとして、新製品開発力、製造技術力、品質力など、多様な市場・顧客ニーズへの対応力の高さを強みとしている。賃貸事業は保有資産を有効活用した安定収益源、空調関連事業は新規事業分野と位置付けている。
セグメント別構成比(売上高、営業利益)の推移、及び各事業の概要は以下のとおりである。化学品事業と機能品事業が収益の2本柱だが、2018年3月期以降の傾向として、化学品事業の構成比が低下し、機能品事業の構成比が上昇している。
2. 化学品事業
化学品事業は、クロム製品、シリカ製品、リン製品、その他の無機化学品の製造販売を展開している。クロム製品では自動車部品(ピストンリング、シリンダなど)のメッキで硬質・耐摩耗化に不可欠な無水クロム酸、金属表面処理(メッキ)に使用される環境対応型の3価クロム塩、緑色顔料や研磨剤に使用される酸化クロム、シリカ製品では古紙の脱インク、土壌硬化剤、食品ろ過材などに使用される珪酸ソーダ、リン製品では半導体エッチング、金属表面処理、食品添加物などに使用されるリン酸、光学用ガラス材料に使用される高純度メタリン酸塩、洗剤や食品添加物に使用されるリン酸塩、医薬・農薬・界面活性剤などの原料となる無水リン酸、その他ではリチウム電池材料の炭酸リチウム、洗剤や染料に使用される芒硝などを主要製品としている。
3. 機能品事業
機能品事業は、ホスフィン誘導体(有機リン化合物)、農薬、電池材料、電子セラミック材料、回路材料、その他の機能性材料の製造販売を展開している。ホスフィン誘導体では各種リン系材料の原料となるアルキルホスフィン、触媒や帯電防止材となるホスホニウム塩、リチウムイオン二次電池電解液用の難燃添加剤となるホスファゼン化合物、農薬では穀物・飼料用の燻蒸剤となるホスフィンガス、電池材料ではリチウムイオン二次電池用正極材のセルシード(コバルト酸リチウム)、電子セラミック材料ではMLCC(積層セラミックコンデンサ)の誘導体層の原料となるパルセラム(チタン酸バリウム)、回路材料では液晶パネルの異方導電性膜・異方導電接着剤用の導電フィラーとなるブライト(金属被覆粉末)、その他では半導体製造のドーピングガスや化合物半導体用の高純度ホスフィンガス、電子材料となる高純度炭酸バリウムなどを主要製品としている。
4. 賃貸事業
賃貸事業は、旧工場跡地の保有資産を有効活用した安定収益源と位置付けて、福島県郡山市ではイオンタウン郡山、大阪市西淀川区では社会医療法人愛仁会及びイズミヤ(株)を中心とする大型商業施設に土地・建物を賃貸している。
5. 空調関連事業
空調関連事業は、1994年4月に設立した子会社の日本ピュアテック(株)が、半導体分野を中心にケミカルフィルタ、空気清浄機等の空調設備機器事業を展開している。さらにM&Aも積極的に推進しており、医薬向けのアイソレーターなどのクリーン機器、集塵機や陽圧防虫システムなどの環境改善機器、量子コンピュータ用の極低温冷却機器などへ事業を拡大している。
2012年10月には日本ピュアテックがクリーンルーム等設計販売のルフトテクノ(株)(2006年11月ジャパンルーワ(株)の全株式を取得、2010年11月ジャパンルーワの社名をルフトテクノに変更)を吸収合併した。また2018年7月には日本ピュアテックが理化学機器輸出入販売のロックゲートを子会社化した。ロックゲートが取り扱う極低温冷却機器は、ビッグデータ解析や新薬開発で実用化が期待される量子コンピュータに使用されている。
6. その他
その他の事業では、子会社のニッカシステムが山口県内3店舗での書籍等販売、子会社の日本化学環境センターが環境測定及び化学分析を展開している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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1. 化学品事業と機能品事業が2本柱
事業(セグメント)区分は、化学品事業(クロム製品、シリカ製品、リン製品、その他)、機能品事業(電子セラミック材料、ホスフィン誘導体、農薬、電池材料、回路材料、その他)、賃貸事業、空調関連事業、その他としている。
創業以来の化学品事業と機能品事業が収益の2本柱である。需要先は自動車、家電、半導体・液晶、二次電池、塗料、製紙、土木、家庭用品、食品、飼料、医薬・農薬と幅広い。120年以上の歴史の中で培った配合・合成ノウハウをベースとして、新製品開発力、製造技術力、品質力など、多様な市場・顧客ニーズへの対応力の高さを強みとしている。賃貸事業は保有資産を有効活用した安定収益源、空調関連事業は新規事業分野と位置付けている。
セグメント別構成比(売上高、営業利益)の推移、及び各事業の概要は以下のとおりである。化学品事業と機能品事業が収益の2本柱だが、2018年3月期以降の傾向として、化学品事業の構成比が低下し、機能品事業の構成比が上昇している。
2. 化学品事業
化学品事業は、クロム製品、シリカ製品、リン製品、その他の無機化学品の製造販売を展開している。クロム製品では自動車部品(ピストンリング、シリンダなど)のメッキで硬質・耐摩耗化に不可欠な無水クロム酸、金属表面処理(メッキ)に使用される環境対応型の3価クロム塩、緑色顔料や研磨剤に使用される酸化クロム、シリカ製品では古紙の脱インク、土壌硬化剤、食品ろ過材などに使用される珪酸ソーダ、リン製品では半導体エッチング、金属表面処理、食品添加物などに使用されるリン酸、光学用ガラス材料に使用される高純度メタリン酸塩、洗剤や食品添加物に使用されるリン酸塩、医薬・農薬・界面活性剤などの原料となる無水リン酸、その他ではリチウム電池材料の炭酸リチウム、洗剤や染料に使用される芒硝などを主要製品としている。
3. 機能品事業
機能品事業は、ホスフィン誘導体(有機リン化合物)、農薬、電池材料、電子セラミック材料、回路材料、その他の機能性材料の製造販売を展開している。ホスフィン誘導体では各種リン系材料の原料となるアルキルホスフィン、触媒や帯電防止材となるホスホニウム塩、リチウムイオン二次電池電解液用の難燃添加剤となるホスファゼン化合物、農薬では穀物・飼料用の燻蒸剤となるホスフィンガス、電池材料ではリチウムイオン二次電池用正極材のセルシード(コバルト酸リチウム)、電子セラミック材料ではMLCC(積層セラミックコンデンサ)の誘導体層の原料となるパルセラム(チタン酸バリウム)、回路材料では液晶パネルの異方導電性膜・異方導電接着剤用の導電フィラーとなるブライト(金属被覆粉末)、その他では半導体製造のドーピングガスや化合物半導体用の高純度ホスフィンガス、電子材料となる高純度炭酸バリウムなどを主要製品としている。
4. 賃貸事業
賃貸事業は、旧工場跡地の保有資産を有効活用した安定収益源と位置付けて、福島県郡山市ではイオンタウン郡山、大阪市西淀川区では社会医療法人愛仁会及びイズミヤ(株)を中心とする大型商業施設に土地・建物を賃貸している。
5. 空調関連事業
空調関連事業は、1994年4月に設立した子会社の日本ピュアテック(株)が、半導体分野を中心にケミカルフィルタ、空気清浄機等の空調設備機器事業を展開している。さらにM&Aも積極的に推進しており、医薬向けのアイソレーターなどのクリーン機器、集塵機や陽圧防虫システムなどの環境改善機器、量子コンピュータ用の極低温冷却機器などへ事業を拡大している。
2012年10月には日本ピュアテックがクリーンルーム等設計販売のルフトテクノ(株)(2006年11月ジャパンルーワ(株)の全株式を取得、2010年11月ジャパンルーワの社名をルフトテクノに変更)を吸収合併した。また2018年7月には日本ピュアテックが理化学機器輸出入販売のロックゲートを子会社化した。ロックゲートが取り扱う極低温冷却機器は、ビッグデータ解析や新薬開発で実用化が期待される量子コンピュータに使用されている。
6. その他
その他の事業では、子会社のニッカシステムが山口県内3店舗での書籍等販売、子会社の日本化学環境センターが環境測定及び化学分析を展開している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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