タナベ経営 Research Memo(6):M&Aを実施、2020年3月期も10期連続の増収増益を目指す
[20/02/06]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2020年3月期の業績見通し
2020年3月期は売上高で前期比2.8%増の9,300百万円、営業利益で同3.1%増の1,000百万円、経常利益で同1.6%増の1,020百万円、当期純利益で同0.8%増の700百万円と10期連続の増収増益となる見通しだ。企業収益の悪化などによる景気の先行き不透明感は増しているものの、引き続き人材育成や事業再生、M&A、中期経営計画(ビジョン)策定・推進、ブランディング・プロモーションなどのコンサルティングニーズは強く、タナベ経営<9644>の業績も堅調に推移することが予想される。
同社は、持続的成長に向けた組織機能の強化と拡充、並びに多様化・専門化するコンサルティングニーズに応えられる体制を構築し、「C&C(コンサルティング&コングロマリット)戦略」(コンサルティング領域の多角化)及びプラットフォーム戦略を推進していくことで、安定成長を目指していく。特に、企業が経営課題の重要テーマとして挙げている領域に関しては、「チームコンサルティングブランド(TCB)」として定義し、今まで培ってきたチームコンサルティングメソッドのノウハウを標準化することで、若手コンサルタントでも高品質・高単価で提供できるようにし、チームコンサルティングの契約数、売上高を伸ばしていく戦略だ。2020年3月期の期中平均契約社数は前期比19社増の610社、売上高で同4.0%増の4,150百万円を計画している。増収効果に加えて第2四半期までに積極採用した人材が戦力化し始めること、また、TCB推進による付加価値率向上により、営業利益率は前期比0.1ポイント上昇の10.8%を見込んでいる。
また、同社は2019年10月にBtoB企業向けのデジタルマーケティン支援サービスを展開する(株)リーディング・ソリューション(以下、リーディング社)の株式の60%を取得するとともに、資本業務提携を締結したことを発表している。同社としては62年の歴史で初めてのM&Aとなる。リーディング社は、デジタルマーケティングの戦略策定から施策の企画・実施・PDCAまでを一括代行するKPO(Knowledge Process Outsourcing)業務でノウハウを持ち、大手企業・上場企業から中堅企業を中心に顧客からも高い評価を得ている。
子会社化の背景と目的は、BtoBビジネスにおけるデジタルマーケティング支援サービスの市場拡大が見込まれること、企業のデジタルトランスフォーメーションに関わるコンサルティングニーズが増加するなかで、デジタルマーケティング支援サービスもメニューに含まれることなどから、グループ化することで相互の強みを融合し、さらなるコンサルティングサービスの付加価値向上と競争力の強化を図ることにある。具体的な取り組みとしては、両社のサービスを組み合わせて新たなサービスの開発を進めるほか、既存顧客に対する共同コンサルティングや人材交流を通じて、双方の顧客へ提供するサービスの価値を高めていく。また、同社からリーディング社にマネジメント人材を派遣し、経営体制の強化や営業活動、管理業務等の支援を行っていくほか、人材採用・育成における相互協力体制を構築し、双方のデジタルマーケティング分野における事業基盤を強化していく。
リーディング社の直近の業績を見ると、2019年3月期の売上高で403百万円、営業利益で45百万円となっており、営業利益率で10%を超えている。社員数は17名(2019年10月時点)で、直近の受注状況も好調のようだ。2020年3月期第3四半期より連結業績を開示することになるが、2020年3月期通期業績への影響についてはその際に見直す予定である。同社は今後も「C&C戦略」に合致し、シナジー効果が期待できる企業に関しては、M&Aや資本業務提携など前向きに検討していく方針を示しており、従来の単独による堅実な成長戦略から一歩踏み出した点は注目される。
経営コンサルティング事業、SPコンサルティング事業ともに増収増益を目指す
2.事業セグメント別見通し
(1)経営コンサルティング事業
2020年3月期の売上高は前期比2.5%増の5,300百万円、セグメント利益は同1.7%増の1,380百万円を見込む。TCBの推進により、コンサルティング契約社数増加と増収に取り組むほか、FCCセミナーについても経営戦略セミナー等の参加者数増加により増収を目指す。利益面では、売上動向とコンサルタント人材の採用とのバランスを図り、また、ミドルオフィス部門の充実により、コンサルタントがコンサルティング業務に注力できるような体制を強化していくことで生産性の向上を図り増益を目指していく。2020年3月期末のコンサルタント人員は、経営コンサルタントと人材開発コンサルタント合わせて、前期末比25名増の201名を計画している。
(2) SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業
2020年3月期の売上高は前期比3.2%増の4,000百万円、セグメント利益は同6.5%増の200百万円となる見通し。TCBの推進による月次契約型のセールスプロモーションコンサルティングの契約数増加と増収、並びにデザイン性が高く付加価値も高いプロモーションツールであるSPデザインの受注を強化し、増収に取り組んでいく。利益面では、増収と商品・サービスの高付加価値化(売上総利益率の向上)を実現していくほか、業務効率の向上も進めながら増益を目指していく。2020年3月期末のSPコンサルタント人員は前期末比13名増の70名を計画していたが、第2四半期末で71名と計画を超過しており、今後はバランスを取りながら優秀な人材を採用していくものと思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SF>
1. 2020年3月期の業績見通し
2020年3月期は売上高で前期比2.8%増の9,300百万円、営業利益で同3.1%増の1,000百万円、経常利益で同1.6%増の1,020百万円、当期純利益で同0.8%増の700百万円と10期連続の増収増益となる見通しだ。企業収益の悪化などによる景気の先行き不透明感は増しているものの、引き続き人材育成や事業再生、M&A、中期経営計画(ビジョン)策定・推進、ブランディング・プロモーションなどのコンサルティングニーズは強く、タナベ経営<9644>の業績も堅調に推移することが予想される。
同社は、持続的成長に向けた組織機能の強化と拡充、並びに多様化・専門化するコンサルティングニーズに応えられる体制を構築し、「C&C(コンサルティング&コングロマリット)戦略」(コンサルティング領域の多角化)及びプラットフォーム戦略を推進していくことで、安定成長を目指していく。特に、企業が経営課題の重要テーマとして挙げている領域に関しては、「チームコンサルティングブランド(TCB)」として定義し、今まで培ってきたチームコンサルティングメソッドのノウハウを標準化することで、若手コンサルタントでも高品質・高単価で提供できるようにし、チームコンサルティングの契約数、売上高を伸ばしていく戦略だ。2020年3月期の期中平均契約社数は前期比19社増の610社、売上高で同4.0%増の4,150百万円を計画している。増収効果に加えて第2四半期までに積極採用した人材が戦力化し始めること、また、TCB推進による付加価値率向上により、営業利益率は前期比0.1ポイント上昇の10.8%を見込んでいる。
また、同社は2019年10月にBtoB企業向けのデジタルマーケティン支援サービスを展開する(株)リーディング・ソリューション(以下、リーディング社)の株式の60%を取得するとともに、資本業務提携を締結したことを発表している。同社としては62年の歴史で初めてのM&Aとなる。リーディング社は、デジタルマーケティングの戦略策定から施策の企画・実施・PDCAまでを一括代行するKPO(Knowledge Process Outsourcing)業務でノウハウを持ち、大手企業・上場企業から中堅企業を中心に顧客からも高い評価を得ている。
子会社化の背景と目的は、BtoBビジネスにおけるデジタルマーケティング支援サービスの市場拡大が見込まれること、企業のデジタルトランスフォーメーションに関わるコンサルティングニーズが増加するなかで、デジタルマーケティング支援サービスもメニューに含まれることなどから、グループ化することで相互の強みを融合し、さらなるコンサルティングサービスの付加価値向上と競争力の強化を図ることにある。具体的な取り組みとしては、両社のサービスを組み合わせて新たなサービスの開発を進めるほか、既存顧客に対する共同コンサルティングや人材交流を通じて、双方の顧客へ提供するサービスの価値を高めていく。また、同社からリーディング社にマネジメント人材を派遣し、経営体制の強化や営業活動、管理業務等の支援を行っていくほか、人材採用・育成における相互協力体制を構築し、双方のデジタルマーケティング分野における事業基盤を強化していく。
リーディング社の直近の業績を見ると、2019年3月期の売上高で403百万円、営業利益で45百万円となっており、営業利益率で10%を超えている。社員数は17名(2019年10月時点)で、直近の受注状況も好調のようだ。2020年3月期第3四半期より連結業績を開示することになるが、2020年3月期通期業績への影響についてはその際に見直す予定である。同社は今後も「C&C戦略」に合致し、シナジー効果が期待できる企業に関しては、M&Aや資本業務提携など前向きに検討していく方針を示しており、従来の単独による堅実な成長戦略から一歩踏み出した点は注目される。
経営コンサルティング事業、SPコンサルティング事業ともに増収増益を目指す
2.事業セグメント別見通し
(1)経営コンサルティング事業
2020年3月期の売上高は前期比2.5%増の5,300百万円、セグメント利益は同1.7%増の1,380百万円を見込む。TCBの推進により、コンサルティング契約社数増加と増収に取り組むほか、FCCセミナーについても経営戦略セミナー等の参加者数増加により増収を目指す。利益面では、売上動向とコンサルタント人材の採用とのバランスを図り、また、ミドルオフィス部門の充実により、コンサルタントがコンサルティング業務に注力できるような体制を強化していくことで生産性の向上を図り増益を目指していく。2020年3月期末のコンサルタント人員は、経営コンサルタントと人材開発コンサルタント合わせて、前期末比25名増の201名を計画している。
(2) SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業
2020年3月期の売上高は前期比3.2%増の4,000百万円、セグメント利益は同6.5%増の200百万円となる見通し。TCBの推進による月次契約型のセールスプロモーションコンサルティングの契約数増加と増収、並びにデザイン性が高く付加価値も高いプロモーションツールであるSPデザインの受注を強化し、増収に取り組んでいく。利益面では、増収と商品・サービスの高付加価値化(売上総利益率の向上)を実現していくほか、業務効率の向上も進めながら増益を目指していく。2020年3月期末のSPコンサルタント人員は前期末比13名増の70名を計画していたが、第2四半期末で71名と計画を超過しており、今後はバランスを取りながら優秀な人材を採用していくものと思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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