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システム ディ Research Memo(7):2020年10月期は中期経営計画の目標である「経常利益6億円」達成へ

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2020年10月期の業績見通し
システムディ<3804>の2020年10月期の連結業績は、売上高で前期比4.4%増の3,722百万円、営業利益で同13.4%増の607百万円、経常利益で同12.7%増の606百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同9.3%増の418百万円と増収増益が続く見通し。既存パッケージソフトの性能・品質向上による高効率ビジネスを展開するとともに、次世代パッケージソフトのリリースにより、更なるシェア拡大と売上向上に取り組んでいくほか、ストック収入を維持・拡大することで、強固な財務基盤を築いていく方針だ。事業部門別売上高では2020年10月期も学園ソリューション、公教育ソリューション、ソフトエンジニアリング事業が引き続きけん引役となる。

次世代パッケージソフトのリリースによりソフトウェア償却費が前期の260百万円から320百万円に増加する見込みだが、クラウドサービスなど利益率の高いビジネスの拡大で吸収し、営業利益率は16.3%と前期からさらに上昇する見通しとなっている。なお、経常利益の606百万円というのは2018年10月期からスタートした3ヶ年中期経営計画の最終年度目標値であるが、2019年10月期の実績がストック収入を中心に計画を上回って推移していることから、市場環境に今後大きな変化がない限りは十分に達成可能な水準であると弊社では見ている。

なお、同社は2020年10月期に取り組む主なテーマとして、以下の6点を挙げている。

(1) 事業部間連携によるソリューションの横展開と深掘り
同社は現在6事業部門で展開しているが、顧客が重なっているケースも多い。事業部間連携を密にしていくことで顧客に対して複数の製品・サービスの提案・販売などを推進し、売上規模の拡大を図っていく。

(2) 次世代パッケージソフト「スマート・ソリューション」の提供開始
同社はシェア拡大施策として、AIやビッグデータを活用した次世代パッケージソフトを各事業部で開発し、順次市場に投入していく予定となっている。第1弾として、学園ソリューション事業における次世代学園総合情報システム「CampusPlan Smart」のうち、総務・人事給与システムを2019年11月に先行リリースした。従来品と比較して、機能性・利便性・操作性を大きく向上させ、誰でも簡単に使えるシステムに進化しているほか、高度なセキュリティ機能にも対応した製品となっている。

また、2020年春にはウェルネスソリューション事業部において次世代クラウド型会員管理・会費回収システム「Smart Hello」をリリースする予定となっている。同製品は1,000施設以上の導入実績により培ってきた長年のノウハウを集約し、高品質・高機能化した製品で、東京オリンピック・パラリンピック後も増加すると見込まれる中・小規模な各種スポーツ施設に、初期投資負担が少なく低価格で導入できるクラウドサービスとして提供し、かつタブレット端末での操作も可能としている点が特徴となっている。

そのほか、公教育ソリューション、公会計ソリューション、ソフトエンジニアリングの各事業でAIを活用した次世代型の「スマート・ソリューション」を2021年10月期以降、順次投入していく計画となっている。なお、これら新製品が売上に本格的に寄与し始めるのは市場投入から2年目以降になると見られる。また、新製品の投入が相次ぐため、ソフトウェア償却費も2022年3月期まで増加傾向が続く可能性が高いが、増収効果で吸収できる範囲になると弊社では見ている。

(3) すべてのソリューションでクラウドサービスを促進・拡張
同社は薬局ソリューションを除くすべてのソリューションでクラウドサービスを展開しており、今後もクラウドサービスでの展開に注力していく方針となっている。ここ数年で、クラウドサービスを安心・快適・低価格で利用できる環境が整ってきたことで、一般企業や金融機関での普及率が高まっており、今後は学校や公共分野でも普及が進むと見られるためだ。同社にとっても、クラウドサービスに注力することで、売上計上時期が平準化されるため、従来のように収益が第2四半期、第4四半期に偏重するといった季節変動性が薄まり、経営面での安定化と収益性向上に寄与するといったメリットがある。

また、クラウドサービスの拡販に加えて、サポート・メンテナンス収入の拡大にも注力していく。前述のように、同社のパッケージソフトは完全なレディメイドではなくイージーオーダーであり、顧客の要望や実情に合わせて熟成させていくというのが基本的な構造となっている。こうしたことを背景としてサポート・保守契約が締結される割合が高いものと弊社ではみている。同社では、クラウドサービスとサポート・保守契約を合わせたストック収入の売上構成比を全体の50%程度まで引き上げていくことを当面の目標としている(2019年10月期は43.4%)。

(4) 新たな公共向けソリューションの展開
同社は公共向けソリューションとして、公教育、公会計分野が大きな柱として育ってきているが、そのほかにも学園ソリューション事業で「CampusPlan」の国公立大学向け、ウェルネスソリューション事業における「Hello EX」「Hello Fun」「Weldy Cloud」、ソフトエンジニアリング事業の「規程管理システム」「契約書作成・管理システム」などの製品・サービスの導入が進んでおり、これらの販売をさらに強化していくだけでなく、新たなソリューションの展開も視野に入れ検討を進めている。

今後の候補領域としては、自治体の財政計画、地場産業育成支援、地域コミュニケーション、地域ポータル、空き家・空き地・荒廃地の対策・管理・活用、健康管理・増進、介護支援などを挙げており、これら候補の中から新サービスの開発を進めていくものと予想される。

(5) 業務効率化の結果としての働き方改革の促進
働き方改革も継続して取り組んでいく。同社は残業時間がIT業界の中でも少なく、また、入社後5年間の離職率も6%と圧倒的に低い実績となっている。連結従業員数は2019年10月期末で231名となっており、2020年春の新卒社員は18名を予定している。新卒社員数は年間15〜20名で今後も採用を進めていく予定にしている。

(6) 海外市場を視野に入れた新規事業への取り組み
将来展開として、海外市場を視野に入れた新規事業の取り組みも進めていく予定となっている。まだ、具体的なものはなく企画・立案段階となるが、アジア市場において競争力を持ち、他社が簡単にはまねのできないような業種・業務特化型のソフトウェアを想定しているようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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