TKP Research Memo(6):2020年2月期第3四半期累計業績は、同社本体でも第3四半期過去最高業績を更新
[20/02/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算概要
1. 2020年2月期第3四半期(累計)決算の概要
ティーケーピー<3479>の2020年2月期第3四半期(累計)の連結業績は、売上高が前年同期比48.8%増の396.74億円、営業利益が同42.0%増の49.59億円、経常利益が同2.6%増の33.79億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同17.6%増の12.87億円と大幅な増収及び営業増益となった。重視するEBITDAも同77.3%増の72.76億円と大きく伸長した。
売上高は、上位グレードの貸会議室や付加サービスにより同社本体が順調に伸びたことに加え、第2四半期からの日本リージャス連結化が大幅な上乗せ要因となった。また、第3四半期からは品川配ぜん人紹介所※の連結も開始されている。
※ホテル宴会場への配ぜん人材の派遣や紹介を含む「ホテル宴会場運営支援」を行うことで、ホテル及びホテル宴会場との強固な関係構築が目的である。さらには、取引先ホテルの料理を同社グループの会議室へケータリングする仕組みの構築や同社グループを利用する顧客を既存の取引先ホテル宴会場へ送客する営業支援も視野に入れた総合的な「ホテル宴会場運営支援事業」へ参入する構想のようだ。2020年2月期第3四半期から連結化された品川配ぜん人紹介所による上乗せ分(9月−11月)は、売上高が2.81億円、営業利益が0.19億円であった。
利益面でも、新規出店費用や減価償却費、事業拡大に向けた人員増強に伴う人件費に加えて、日本リージャス連結化に伴うのれん償却費が大きなコスト要因となったものの、増収によりカバーして営業増益を実現した。ただ、営業利益率が12.5%(前年同期は13.1%)と若干低下したのは、一時的な統合費用の発生によるものであり、その影響を除けば、おおむね計画どおりの進捗と言える。また、経常利益率は8.5%(同12.4%)とさらに低下しているが、こちらは日本リージャス買収に伴うM&A費用及びファイナンス費用を営業外費用に計上したことが理由である。
財政状態については、既述のとおり、日本及び台湾リージャスの連結化※や公募増資(及び第三者割当増資)により前期末と比べて大きく変化していることに注意が必要である。特に、総資産は「のれん(無形固定資産)」(前期末比449.85億円増)の増加等により前期末比161.8%増の1,336.91億円の規模に拡大した一方、自己資本も公募増資(及び第三者割当増資)による資金調達(合計約234億円)や内部留保の積み増しにより同234.7%増の358.13億円に大幅増強した。その結果、総資産を拡大しながらも自己資本比率は26.8%(前期末は21.0%)の水準を確保している。
※台湾リージャスの連結化は2019年12月1日からであるが、2019年11月末の貸借対照表にのみ反映されている。
連結業績の主な内訳は以下のとおりである。
(1) 同社本体の第3四半期(累計)業績
連結効果を除いた同社本体の第3四半期(累計)業績は、売上高が前年同期比16.0%増の309.21億円、営業利益が同34.4%増の46.93億円、EBITDAが同38.0%増の56.65億円と順調にオーガニック成長を実現している。2019年2月期と比べて新規出店を抑制していることにより拠点数の伸び※が若干緩やかとなっているものの、上位グレードの貸会議室の伸びや付加サービスによる単価向上、ホテル事業の拡大が増収に寄与した。グレード別の内訳では、上位グレード(GCP)や宿泊・研修施設が大きく拡大した。また、サービス別では、主力の「会議室料」に加えて、「料飲」、「オプション」といった付加サービスの伸びが大きく、その結果、「会議室料」の構成比率(同社本体)は49.0%(前年同期は50.1%)に低下している。したがって、業績の伸びとともに、同社の付加価値戦略(坪当たり売上高の向上)も狙いどおりに進展していることが確認できた。
※2019年2月期の出店実績44拠点(約17,000坪)に対して、2020年2月期の出店見込みは23拠点(約10,500坪)にとどまる見通しである。なお、第3四半期までの出店実績は20拠点、2019年11月末の拠点数は261拠点(前期末比8拠点増)となっている。
利益面でも、増収効果や付加価値の向上により大幅な営業増益を実現した。営業利益は15.2%(前年同期は13.1%)、EBITDAマージンも18.3%(同15.4%)とともに大きく改善している。
(2) 日本リージャスによる連結効果
第2四半期より連結化した日本リージャスによる上乗せ分(6月−11月)は、売上高が84.71億円、のれん償却後営業利益が2.46億円、EBITDAが15.82億円(EBITDAマージン18.7%)であった。営業利益率が2.9%と低水準になっているのは、のれん償却費(約11億円)に加えて、第3四半期(9月−11月)において、大規模拠点(SPACES)を含む積極的な新規出店費用(8拠点※)や一時的な統合費用が発生したことが理由である。したがって、第4四半期以降は、改善に向かうものとみられる。
※2019年8月公表の中期経営計画における日本リージャスの2020年2月期出店計画は約3,700坪であったが、約4,300坪に上振れる見込みである。また四半期ごとに一定のペースでの出店を計画していたが、実際には第3四半期に出店が偏り、当四半期における出店費用が大きく膨らむ結果となった。
2. 四半期業績の推移
四半期業績の推移で見ても、第3四半期会計期間(9月−11月)の連結業績は、売上高が前年同四半期比70.2%増の154.01億円、営業利益が同53.4%増の13.95億円、EBITDAが同110.4%増の24.18億円と大きく伸長している。特に、同社本体については、第3四半期会計期間における過去最高業績を更新した。上位グレードの貸会議室の伸びなどにより、同社本体の営業利益率は14.3%(前年同期は10.0%)、EBITDAマージンは17.5%(同12.7%)と収益性も大きく底上げされている。一方、日本リージャスについては、既述のとおり、統合に伴う一時費用や大規模拠点(SPACES)の出店による先行費用等の特殊要因が発生したため、1.69億円の営業損失を計上した。
3. 第3四半期(累計)業績の総括
以上から、第3四半期までの業績を総括すると、日本リージャスの連結化により、今後のシナジー創出を含め、大幅な事業基盤の拡大を実現したところや、同社本体についても上位グレードの貸会議室や付加サービスにより順調に伸びているところ、さらには公募増資等により財務基盤の強化を図ったところは、大きな成果として評価できる点である。一方、第3四半期における日本リージャスの利益面での落ち込みは想定外であったものの、将来に向けた先行費用や一時的な統合費用によるものであり、懸念材料として捉えてはいない。ただ、今後の改善に向けた動きをフォローする必要はあるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 2020年2月期第3四半期(累計)決算の概要
ティーケーピー<3479>の2020年2月期第3四半期(累計)の連結業績は、売上高が前年同期比48.8%増の396.74億円、営業利益が同42.0%増の49.59億円、経常利益が同2.6%増の33.79億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同17.6%増の12.87億円と大幅な増収及び営業増益となった。重視するEBITDAも同77.3%増の72.76億円と大きく伸長した。
売上高は、上位グレードの貸会議室や付加サービスにより同社本体が順調に伸びたことに加え、第2四半期からの日本リージャス連結化が大幅な上乗せ要因となった。また、第3四半期からは品川配ぜん人紹介所※の連結も開始されている。
※ホテル宴会場への配ぜん人材の派遣や紹介を含む「ホテル宴会場運営支援」を行うことで、ホテル及びホテル宴会場との強固な関係構築が目的である。さらには、取引先ホテルの料理を同社グループの会議室へケータリングする仕組みの構築や同社グループを利用する顧客を既存の取引先ホテル宴会場へ送客する営業支援も視野に入れた総合的な「ホテル宴会場運営支援事業」へ参入する構想のようだ。2020年2月期第3四半期から連結化された品川配ぜん人紹介所による上乗せ分(9月−11月)は、売上高が2.81億円、営業利益が0.19億円であった。
利益面でも、新規出店費用や減価償却費、事業拡大に向けた人員増強に伴う人件費に加えて、日本リージャス連結化に伴うのれん償却費が大きなコスト要因となったものの、増収によりカバーして営業増益を実現した。ただ、営業利益率が12.5%(前年同期は13.1%)と若干低下したのは、一時的な統合費用の発生によるものであり、その影響を除けば、おおむね計画どおりの進捗と言える。また、経常利益率は8.5%(同12.4%)とさらに低下しているが、こちらは日本リージャス買収に伴うM&A費用及びファイナンス費用を営業外費用に計上したことが理由である。
財政状態については、既述のとおり、日本及び台湾リージャスの連結化※や公募増資(及び第三者割当増資)により前期末と比べて大きく変化していることに注意が必要である。特に、総資産は「のれん(無形固定資産)」(前期末比449.85億円増)の増加等により前期末比161.8%増の1,336.91億円の規模に拡大した一方、自己資本も公募増資(及び第三者割当増資)による資金調達(合計約234億円)や内部留保の積み増しにより同234.7%増の358.13億円に大幅増強した。その結果、総資産を拡大しながらも自己資本比率は26.8%(前期末は21.0%)の水準を確保している。
※台湾リージャスの連結化は2019年12月1日からであるが、2019年11月末の貸借対照表にのみ反映されている。
連結業績の主な内訳は以下のとおりである。
(1) 同社本体の第3四半期(累計)業績
連結効果を除いた同社本体の第3四半期(累計)業績は、売上高が前年同期比16.0%増の309.21億円、営業利益が同34.4%増の46.93億円、EBITDAが同38.0%増の56.65億円と順調にオーガニック成長を実現している。2019年2月期と比べて新規出店を抑制していることにより拠点数の伸び※が若干緩やかとなっているものの、上位グレードの貸会議室の伸びや付加サービスによる単価向上、ホテル事業の拡大が増収に寄与した。グレード別の内訳では、上位グレード(GCP)や宿泊・研修施設が大きく拡大した。また、サービス別では、主力の「会議室料」に加えて、「料飲」、「オプション」といった付加サービスの伸びが大きく、その結果、「会議室料」の構成比率(同社本体)は49.0%(前年同期は50.1%)に低下している。したがって、業績の伸びとともに、同社の付加価値戦略(坪当たり売上高の向上)も狙いどおりに進展していることが確認できた。
※2019年2月期の出店実績44拠点(約17,000坪)に対して、2020年2月期の出店見込みは23拠点(約10,500坪)にとどまる見通しである。なお、第3四半期までの出店実績は20拠点、2019年11月末の拠点数は261拠点(前期末比8拠点増)となっている。
利益面でも、増収効果や付加価値の向上により大幅な営業増益を実現した。営業利益は15.2%(前年同期は13.1%)、EBITDAマージンも18.3%(同15.4%)とともに大きく改善している。
(2) 日本リージャスによる連結効果
第2四半期より連結化した日本リージャスによる上乗せ分(6月−11月)は、売上高が84.71億円、のれん償却後営業利益が2.46億円、EBITDAが15.82億円(EBITDAマージン18.7%)であった。営業利益率が2.9%と低水準になっているのは、のれん償却費(約11億円)に加えて、第3四半期(9月−11月)において、大規模拠点(SPACES)を含む積極的な新規出店費用(8拠点※)や一時的な統合費用が発生したことが理由である。したがって、第4四半期以降は、改善に向かうものとみられる。
※2019年8月公表の中期経営計画における日本リージャスの2020年2月期出店計画は約3,700坪であったが、約4,300坪に上振れる見込みである。また四半期ごとに一定のペースでの出店を計画していたが、実際には第3四半期に出店が偏り、当四半期における出店費用が大きく膨らむ結果となった。
2. 四半期業績の推移
四半期業績の推移で見ても、第3四半期会計期間(9月−11月)の連結業績は、売上高が前年同四半期比70.2%増の154.01億円、営業利益が同53.4%増の13.95億円、EBITDAが同110.4%増の24.18億円と大きく伸長している。特に、同社本体については、第3四半期会計期間における過去最高業績を更新した。上位グレードの貸会議室の伸びなどにより、同社本体の営業利益率は14.3%(前年同期は10.0%)、EBITDAマージンは17.5%(同12.7%)と収益性も大きく底上げされている。一方、日本リージャスについては、既述のとおり、統合に伴う一時費用や大規模拠点(SPACES)の出店による先行費用等の特殊要因が発生したため、1.69億円の営業損失を計上した。
3. 第3四半期(累計)業績の総括
以上から、第3四半期までの業績を総括すると、日本リージャスの連結化により、今後のシナジー創出を含め、大幅な事業基盤の拡大を実現したところや、同社本体についても上位グレードの貸会議室や付加サービスにより順調に伸びているところ、さらには公募増資等により財務基盤の強化を図ったところは、大きな成果として評価できる点である。一方、第3四半期における日本リージャスの利益面での落ち込みは想定外であったものの、将来に向けた先行費用や一時的な統合費用によるものであり、懸念材料として捉えてはいない。ただ、今後の改善に向けた動きをフォローする必要はあるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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