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ネクスグループ Research Memo(6):2019年11月期は減収減益で営業損失(2)

注目トピックス 日本株
■ネクスグループ<6634>の業績動向

2. セグメント別動向
(1) IoT関連事業
IoT関連事業全体では、後述のHuawei製品からの切替え需要により、売上高は1,243百万円(前期比30.8%増)、セグメント利益は115百万円(前期比137.6%増)と連結業績に寄与した。

ネクスでは、培ってきた自動車テレマティクスを始めとする様々な分野に対するIoT技術をベースに「IoT×ブロックチェーン技術」、「IoT×AI技術」など、「IoT×新技術」を活用した新たなサービスの提供を目指している。例えば、画像認識分野では、AIコンピューティングの分野で様々なプラットフォームを提供しているNVIDIA Corporation(エヌビディア)が提供するGPU(画像処理やディープラーニングに不可欠な並列演算処理を行う演算装置)を利用した、リアルタイム画像認識技術の開発を行っている。リアルタイム画像認識技術は、顔認証システムや監視カメラの映像分析などのセキュリティ分野での活用や工場ラインでの不良品検出、自動車の自動運転や運転アシストなど様々な分野に活用できる技術であり、将来性が期待される。また、画像認識に関する研究開発は、自社農業ICTでも、非接触でのトマトの糖度を識別したり、収穫期のトマトの検知をしたり、最終的には自動収穫を行うロボットの開発までを予定している。

既存製品については、米国政府機関による中国の華為技術(Huawei)など5社に対する調達禁止措置により、対象となる5社からの部品採用を行っていない同社製品への切り替え需要が増加している。今後の動向については引き続き注視しながら、市場ニーズに対応した製品群の更なる拡充に取り組み、今後普及が見込まれるLPWA※や次世代通信規格5Gなど、モバイルコンピューティングや高付加価値通信デバイスとソフトウェアの融合により自動車テレマティクスソリューションやその他の様々なソリューションの提供を行っていく。

※Low Power Wide Areaの略。消費電力を抑えて遠距離通信を実現する通信方式のことで、IoTの構成要素の1つとして注目されている。


ケア・ダイナミクスでは、介護事業者向けASPシステムの提供を行い、既に400以上の介護施設にシステムの導入実績があるが、介護ロボットの導入支援や介護ICTの提供などのサービスを開始し、「総合介護事業支援企業」へと進化した。介護事業者支援サービスとして様々な介護ロボットの販売代理を行い、マンガを使った法人案内リーフレット、広告作成サービスなどの提供を行っている。また、介護送迎車用のOBDIIソリューション「ドライブケア」の導入先施設での見学会を継続開催し、無料トライアルを行っている。

イーフロンティアは、グラフィックデザイン制作用ソフトウェアを中心にクリエイター向けのソフトウェアを各種販売している。また、クリエイター向けに多くの周辺機器を開発するOWC(Other World Computing, Inc.)と日本国内総代理店契約を締結しており、日本国内向けにThunderbolt3※1製品やeGPU※2などのコンピュータ周辺機器の販売及び付帯サービスを行っている。また、自社開発ゲームのAI麻雀、AI将棋、AI囲碁の販売も行っている。

※1 インテルとアップルが共同開発した高速汎用データ伝送技術で、USB Type-Cを使用するもの。
※2 ノートパソコンなどでも利用できる外付けのGPUユニット(Graphics Processing Unit:画像処理装置)のこと。


農業ICT事業(NCXX FARM)については、農作物の生産、加工、販売を行う「6次産業化事業」と、特許農法による「化学的土壌マネジメント」+ICTシステムによる「デジタル管理」のパッケージ販売を行う「フランチャイズ事業」の事業化を推進している。「6次産業化事業」では、スーパーフードとして人気の高いGOLDEN BERRY(食用ほおずき)や、加工品の「GOLDEN BERRYアイス」の販売を開始した。「フランチャイズ事業」では、野菜の生長に必要な要素と健康管理に必要な要素を複合的に組み合わせて環境管理を自動的に行う「環境管理予測システム NCXX FARM」を導入し、制御の効果について引き続き検証を行っている。

(2) インターネット旅行事業
インターネット旅行事業全体では、売上高は2,632百万円(前期比11.2%増)、セグメント損失は13百万円(前期は38百万円の利益)であった。ゴールデンウィーク10連休の好影響や消費税率引き上げ前の駆け込み需要等により2ケタ増収であった。一方で減益・セグメント損失となったのは、各種新規サービスの開発等で先行投資となる販管費が増加したためと推測される。

イー・旅ネット・ドット・コム及びその子会社では、新たな旅行サービスが乱立するなか、インターネットによるオーダーメイド旅行の見積りサービスに特化し、年々厳しく高度化している消費者ニーズに対応すべく、見積り依頼のチャット対応やAIコンシェルジュ対応などユーザビリティの向上を図るとともに見積り依頼の獲得に向けた業務提携も強化している。

グロリアツアーズにおいては、2020年の東京パラリンピックの開催に向け国内外の大会のサポートの需要が増え、パラスポーツ選手・人材をキャスティングするサービスやパラアスリートによる講演会・体験会など企画運営サービス「Gloria Para-Athlete Casting」を開始した。

ウェブトラベルにおいては、トラベルコンシェルジュ事業を柱に、さらに魅力あるサービスにすべく取り組んだコンシェルジュのレベルアップ、スピードアップ、サポート体制の強化などにより、受注率のアップやリピーター獲得に効果が出ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)




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