1stコーポ Research Memo(1):足元の収益は悪化も再開発事業で巻き返しへ
[20/02/20]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■要約
ファーストコーポレーション<1430>は、マンション建設に特化した建設会社。創業は2011年6月と歴史が浅いが、2015年3月に東証マザーズに上場したのに続き、2016年12月には東証1部市場に指定替えと、創業からわずか5年半で1部上場企業になるスピード上場を果たし、文字どおりの急成長を遂げた。
社是は「より良質な住宅を供給し、人々の豊かな住環境に貢献する」で、偽装などマンションに対する信頼性が揺らぐなかで、「安全・安心・堅実」をモットーに事業を展開している。事業エリアをマーケットの将来性が高い、東京圏(1都3県)としており、そこで分譲マンション建設に特化し、工事請負を主として事業を推進してきた。最近では、福岡支店を開設し、九州及び広島、沖縄など周辺地域を新たな事業エリアとして開拓しようとしている。
成長の背景にあるのは「造注方式」と呼ぶ事業モデル。これは開発部隊がマンション用地を仕入れ、企画、設計を行い事業主に提案、特命で工事を受注して施工し引き渡す方式だ。これによって、主体的に企画提案を行うことができるため、競争入札で建設工事を受注する場合と比較して契約条件が良くなることから、事業運営の効率化や安定した利益確保が可能となる。
ゼネコンとして、土地開発の専任部隊を有し、これが強みとなっているほか、スピーディーな決裁プロセスによって、競合に対し優位に立つ。同社が主戦場としている東京圏においては、なお、市場開拓余地は大きく、この「造注方式」を活用することによって、中長期的には成長が見込まれる。
物件に関して、今後は超高層マンションにも力を注いでいく考え。これによって、1件当たりの工事単価の上昇が見込め、収益率のアップが期待できるようになる。一方、アクティブシニア向けのマンションの建設にも注力しており、この分野を新たにカテゴライズし、事業として育てていく方針だ。さらに、再開発事業にもビジネスを広げる構えで、参画中の案件が具現化すれば、収益回復の原動力になるものと思われる。今はその収益化を待っている状況。このところの伸び悩みは成長過程の踊り場と言えそうだ。
2020年5月期上半期(2019年6月−11月)決算は、売上高が前年同期比24.3%減の6,774百万円、営業利益が同76.3%減の224百万円、経常利益は同76.3%減の222百万円、当期純利益は同77.5%減の145百万円と大幅減益を余儀なくされた。これは上期に売却を見込んでいた不動産の案件が下期にずれ込むのが大きな要因。そのため、通期の見通しは想定どおりの着地が見込まれる。
2020年5月期の通期見通しは、売上高が前期比5.2%増の20,005百万円、営業利益が同31.7%減の1,282百万円、経常利益が同32.6%減の1,264百万円、当期純利益は同31.2%減の877百万円と期初の予想を変えていない。
■Key Points
・2020年5月期決算まで辛抱の時期
・再開発事業の開花で立ち直りに弾みも
・1都3県の市場開拓余地はまだまだ大きい
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
<ST>
ファーストコーポレーション<1430>は、マンション建設に特化した建設会社。創業は2011年6月と歴史が浅いが、2015年3月に東証マザーズに上場したのに続き、2016年12月には東証1部市場に指定替えと、創業からわずか5年半で1部上場企業になるスピード上場を果たし、文字どおりの急成長を遂げた。
社是は「より良質な住宅を供給し、人々の豊かな住環境に貢献する」で、偽装などマンションに対する信頼性が揺らぐなかで、「安全・安心・堅実」をモットーに事業を展開している。事業エリアをマーケットの将来性が高い、東京圏(1都3県)としており、そこで分譲マンション建設に特化し、工事請負を主として事業を推進してきた。最近では、福岡支店を開設し、九州及び広島、沖縄など周辺地域を新たな事業エリアとして開拓しようとしている。
成長の背景にあるのは「造注方式」と呼ぶ事業モデル。これは開発部隊がマンション用地を仕入れ、企画、設計を行い事業主に提案、特命で工事を受注して施工し引き渡す方式だ。これによって、主体的に企画提案を行うことができるため、競争入札で建設工事を受注する場合と比較して契約条件が良くなることから、事業運営の効率化や安定した利益確保が可能となる。
ゼネコンとして、土地開発の専任部隊を有し、これが強みとなっているほか、スピーディーな決裁プロセスによって、競合に対し優位に立つ。同社が主戦場としている東京圏においては、なお、市場開拓余地は大きく、この「造注方式」を活用することによって、中長期的には成長が見込まれる。
物件に関して、今後は超高層マンションにも力を注いでいく考え。これによって、1件当たりの工事単価の上昇が見込め、収益率のアップが期待できるようになる。一方、アクティブシニア向けのマンションの建設にも注力しており、この分野を新たにカテゴライズし、事業として育てていく方針だ。さらに、再開発事業にもビジネスを広げる構えで、参画中の案件が具現化すれば、収益回復の原動力になるものと思われる。今はその収益化を待っている状況。このところの伸び悩みは成長過程の踊り場と言えそうだ。
2020年5月期上半期(2019年6月−11月)決算は、売上高が前年同期比24.3%減の6,774百万円、営業利益が同76.3%減の224百万円、経常利益は同76.3%減の222百万円、当期純利益は同77.5%減の145百万円と大幅減益を余儀なくされた。これは上期に売却を見込んでいた不動産の案件が下期にずれ込むのが大きな要因。そのため、通期の見通しは想定どおりの着地が見込まれる。
2020年5月期の通期見通しは、売上高が前期比5.2%増の20,005百万円、営業利益が同31.7%減の1,282百万円、経常利益が同32.6%減の1,264百万円、当期純利益は同31.2%減の877百万円と期初の予想を変えていない。
■Key Points
・2020年5月期決算まで辛抱の時期
・再開発事業の開花で立ち直りに弾みも
・1都3県の市場開拓余地はまだまだ大きい
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
<ST>