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神戸物産 Research Memo(6):生産及び物流体制の強化により、業務スーパー事業の更なる成長を目指す

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2020年10月期の業績見通し
神戸物産<3038>の2020年10月期の連結業績予想は、売上高が前期比4.1%増の311,800百万円、営業利益が同5.5%増の20,300百万円、経常利益が同4.5%増の20,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同10.3%増の13,300百万円と増収増益基調が続き、過去最高業績を更新する見通しだ。業務スーパー事業についてはグループ会社の設備投資増に伴い、利益率は横ばい水準で見ているものの、その他事業セグメントの利益率が向上する。また、特別損失が前期から減少する見込みとなっていることから、親会社株主に帰属する当期純利益に関しては2ケタ増益となる。事業セグメント別の見通しは以下のとおり。

(1) 業務スーパー事業
業務スーパーの新規出店に関しては通期で前期末比30店舗増の875店舗を計画している。2020年10月期は、2019年12月21日時点までで8店舗(北海道、福岡、京都、和歌山、群馬、熊本、静岡、千葉各1店舗)を既にオープンしており、滑り出しは順調だ。2020年10月期もFCオーナーの投資意欲が旺盛な関東・九州エリアを中心に店舗数の拡大が続く見通しだ。

既存店向け商品出荷額については前期比2〜3%の増加を目指している。2月以降のハードルが高くなるが、売れ筋商品を中心に前期は販売機会ロスもあり、2020年10月期はグループ会社の生産能力を拡大することでこうした販売機会ロスを防いでいく。また、新商品の開発やテレビ番組での露出を継続する予定で、既存店向けの成長を継続していく方針だ。

2020年10月期の重点施策としては、グループ生産工場の能力増強と関東・東北エリアでの物流機能の強化に取り組んでいく方針となっている。設備投資に関しては、グループ工場の大半が今後2〜3年で生産能力の上限に達することが予見されており、人手不足にも対応した自動化ラインの導入など、能力増強投資を順次進めていく計画となっている。設備投資額はここ数年、20〜30億円程度で推移してきたが、今後2〜3年は50〜100億円の水準が続く見通しで、減価償却費の増加が見込まれていることもあり、同事業の利益率は前期比横ばい水準が続くものと予想される。

2020年10月期の主な設備投資については、主要グループ会社である秦食品(株)で約30億円をかけ、新規自動化ラインを導入、2020年春に稼働を開始する予定となっている。主力商品である冷凍品(讃岐うどん)の生産能力が約2倍になるほか、チルド食品(ポテトサラダ、マカロニサラダ等)やペットボトル製品(ドレッシング、焼肉のたれ等)も1.5倍程度となる見込み。また、食パンの製造工場も既存工場(2拠点)の生産能力が上限に達したことから、新たに岐阜県に約30億円をかけて新工場を建設している。2020年7月に完工予定となっており、2020年10月期第4四半期の稼働開始を見込んでいる。

物流機能強化の取り組みとしては、関東エリアにおける輸入品のピッキング機能を担っていた大黒埠頭の拠点が台風19号の影響で機能低下を強いられ物流コストの増加要因となった反省から、3PLセンターを新たに増設し、機能分散を図る。そうすることでチャンスロスを防ぐとともに、物流コストの削減にも取り組んでいく。

(2) 神戸クック事業
神戸クック事業は、2ケタ増収増益を見込んでいる。出店計画については、「神戸クック・ワールドビュッフェ」が前期末比4店舗増の26店舗を計画している。2019年12月21日時点で2店舗の新規出店と1店舗の閉店が決まっているが、FCオーナーの出店意欲が旺盛なことから、計画どおりに店舗数が拡大していくものと予想される。

一方、惣菜事業については人材確保が困難ななかでも、スピード感のある出店と収益化が可能な「馳走菜」の出店を積極的に拡大していく方針となっており、「Green's K」から「馳走菜」への業態変更、並びに業務スーパーとの同時出店を進め、前期末比で10店舗増の20店舗を計画している。2019年12月21日時点で3店舗をオープンしており、こちらも順調な増加が見込まれる。

(3) クックイノベンチャー事業
クックイノベンチャー事業に関しては、ジー・テイストが2018年6月に発表した中期経営計画の業績目標値を基本的に反映させているが、2018年6月以降にジー・テイストが実施したM&Aの効果※は同計画には織り込まれておらず、売上高に関しては現状を反映して計画に織り込んでいるものと思われる。全体的には不採算事業の整理に一定の目途が付いたこと、低迷が続く居酒屋業態から焼肉事業を中心とした好調業態へシフトを進めていくこと等により増収増益となる見通しだ。また、ジー・テイストでは人材不足の解消施策の1つとして、優秀な海外人材の確保や、海外出店への取り組みを強化するため、新たに「海外事業準備室」を設立し、外国人労働者の積極的な採用に取り組んでいる。

※2018年6月以降、ファーストフードやイタリアン、フードコート、海鮮居酒屋等を運営する外食企業4社、1事業を取得。これら企業の子会社化前の売上実績は合計で8,027百万円、営業損失で60百万円となっている。また、のれん償却費として142百万円(10年償却)を計上する。


(4) エコ再生エネルギー事業
エコ再生エネルギー事業では、2020年10月期に新たな発電所の開設計画がなく、期末ベースの発電能力は前期末比で横ばいの28.25MWとなる。2019年3月以降、太陽光発電所で4MW分の能力が増加しているため、天候状況が同じであれば売上高は若干の増収となり、営業利益は減価償却費の減少により増益が見込まれる。

また、今後の太陽光発電プロジェクトとしては、2020年後半に岬町プロジェクト(大阪府、10MW)の稼働が予定されているほか、2021年に西白河プロジェクト(福島県、17MW)、2022〜2023年に東松山プロジェクト(宮城県、30MW)の建設が予定されている。当初の設備投資計画では3プロジェクト合計で約170億円、売電収入額として年間20億円程度を見込んでいたが、設備投資額に関しては太陽光パネルの価格が下落していることもあり、当初より下回る可能性が高い。また、東北エリアにおいては再生エネルギー施設の稼働が相次ぐなかで、送電網の不足が問題となってきており、状況によっては計画が延伸されることも考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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