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サムティ Research Memo(1):2019年11月期も7期連続増収増益。ホテルリート進出や海外展開にも進展あり

注目トピックス 日本株
■要約

1. 会社概要
サムティ<3244>は、関西圏及び首都圏を中心として全国に展開している総合不動産会社である。不動産事業(不動産ファンド向け大型賃貸マンションやホテルの開発及び販売等)と不動産賃貸事業(賃貸マンションの保有等)を両輪とし、ホテル事業などにも注力している。不動産賃貸事業による安定収入と不動産事業による成長加速のバランスにより事業環境の変化に柔軟に対応できるところに特長があり、大きな金融危機を乗り越えながら持続的な成長を実現してきた。また、両事業の組み合わせによる一気通貫型のビジネスモデルにも優位性があり、ここ数年高い成長を続けている。営業エリアの拡大とともに、2015年6月にはJ-REIT事業にも進出※、更なる事業拡大に向けてビジネスモデルの基礎固めが完了した。

※2015年3月に設立したサムティ・レジデンシャル投資法人<3459>(以下、SRR)を東証J-REITに上場。


2019年11月期からは新たな経営体制のもと、新中期経営計画「サムティ強靭化計画」(3ヶ年)を推進。また、2019年5月には大和証券グループ本社<8601>(以下、大和証券グループ)と資本業務提携を締結。大和証券グループの信用力や情報力などを取り込むところに狙いがある。既にホテル開発ファンドの組成や海外展開などに共同で取り組んでおり、2020年秋にはホテルリートの上場も目指している。

2. 2019年11月期の業績
2019年11月期の業績は、売上高が前期比1.5%増の85,552百万円、営業利益が同9.7%増の15,395百万円と増収増益(7期連続)を達成した。増額修正予想に対しても、特殊要因(詳細は後述)を除けば、おおむね計画どおりの着地と言える。売上高は、引き続き不動産市況が活況を呈するなかで、「不動産事業」が高い水準を確保。特に、SRR向けを中心に「S-RESIDENCE」シリーズの売却が順調に進んだほか、注力しているホテルなど、自社開発物件の販売が好調であった。また、ホテルの新規開業等に伴う収入増により、「その他の事業」も大きく拡大した。とりわけ注目すべきは、SRR向けのAM(アセットマネジメント)報酬(期中)やホテルの安定稼働などにより、安定収益が順調に伸びている点である。利益面では、ホテルなど利益率の高い開発物件の売却などにより大幅な営業増益を実現し、営業利益率も大きく改善した。また、今後の成長につながる仕入れ(及び開発パイプライン)についても、順調に進捗している。

3. 2020年11月期の業績予想
2020年11月期の業績予想について同社は、売上高を前期比16.9%増の100,000百万円、営業利益を同13.7%増の17,500百万円と、引き続き大幅な増収増益を見込んでいる。「不動産事業」「不動産賃貸事業」「その他の事業(ホテル運営)」の3つの事業がそれぞれ伸長する見通しである。特に、「S-RESIDENCE」シリーズやホテルなど自社開発物件の販売が、業績の伸びをけん引する想定となっている。利益面でも、ホテル開発ファンドの組成やホテルリートの上場に向けた費用等が見込まれるものの、増収により増益を確保。営業利益率も高い水準を維持する見通しである。

4. 成長戦略
同社は、2019年11月期から2021年11月期までの中期経営計画(3ヶ年)を推進している。2018年11月期に2年前倒しで達成した前中期経営計画「Challenge40」の重点戦略や財務戦略を継承しつつ、さらに強化を図る方向性である。すなわち、1)SRRを中心としたビジネスモデルの展開(フィー収入ビジネスの強化)、2)地方大都市圏における戦略的投資(営業エリアの拡大)、3)ホテル開発・オフィス開発事業の展開(新たな成長エンジンの育成)に取り組む。また、将来的な調整局面に備えるため、バランスシート重視の経営をより強く打ち出しており、自己資本比率30%以上を維持しながら、営業利益200億円水準、ROE15.0%水準、ROA7.0%水準を目指していく。今回の大和証券グループとの資本業務提携がどのような成果を生み出していくのかに注目したい。

■Key Points
・2019年11月期も増収増益(7期連続)を達成するとともに、投資計画も順調に進捗
・2019年5月には大和証券グループとの資本業務提携を締結。既にホテル開発ファンドの組成や海外展開などに共同で取り組んでおり、2020年秋にはホテルリートの上場も目指している
・2020年11月期の業績予想についても引き続き大幅な増収増益を見込んでいる
・2019年11月期より新中期経営計画がスタート。バランスシートを重視しながら、生産性や資本効率性の向上により持続的な利益成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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