ハウスドゥ Research Memo(4):健全な業界発展を目指し「日本リースバック保証協会」が設立
[20/03/12]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ハウスドゥ<3457>の事業概要
a) ハウス・リースバック事業
自宅を売却後も賃貸借契約を締結することでそのまま住み続けられる「リースバック」サービスが、近年急速に普及し始めている。老後の生活資金確保や相続問題回避などの手段として、持ち家比率の高い高齢者を中心に注目が高まっており、多くのメディアに取り上げられるようになった。一方で、新規事業として参入する企業が増加しており、サービス品質の低下や悪質な事業者の出現が懸念される。このため、リースバックサービスの健全な発展と社会及び日本経済の発展に寄与することを目的に、2020年1月に一般社団法人「日本リースバック保証協会」が設立された。同協会は、リースバックサービスにおいて、消費者にとって不利益となるサービスを提供する事業者の濫立を防止し、事業者の優位的契約を防ぐために、国家資格を持った士業の立会い業務並びに契約内容の審査・標準化を目指す。健全な業界へと成長すべく、リースバックサービスを提供する多くの企業が一丸となって、協会として様々な課題に取り組むことを企図している。代表理事に同社取締役の冨永正英(とみながまさひで)氏が、理事には司法書士法人ミナト法務事務所の東京事務所代表及び大阪事務所代表の2名が就任している。
「ハウス・リースバック」は、同社が住宅を買い取り、売主とリース(賃貸)契約を結ぶスキームである。持ち主は自宅を売却して資金を得た後も、愛着のある住居や地域で住み続けられる。資金の使途、年齢、収入、対象者、対象物件に制限がないうえ、住居の賃貸契約に保証人も不要である。同社は地域密着型の店舗網を展開することから、不動産の査定や不動産売買、金融サービスのノウハウを有し、ハウス・リースバックに必要な機能をすべて自社の経営リソースでカバーできるのが強みとなる。
ハウス・リースバック事業は、買取時の事務手数料、毎月の家賃収入、売却時のキャピタルゲインと3種類の収益機会がある。物件は顧客から直接取得し、仕入額の約3%が買取時の事務手数料となる。取得翌月からは毎月家賃としてインカムゲインが発生し、年間で仕入額の約8%程度がリターンとして入る。売却時には、諸費用及び手数料別途で仕入額の15%程度のキャピタルゲインが発生する。
ハウス・リースバック事業は、ストック収益型ビジネスであるため先行投資負担が重く、資金が固定化される。投資資金を借入金に依存すると、事業の急成長の持続と財務の安全性維持がトレードオフの関係になってしまう。このため、ストック型という性格は薄れるものの、財務体質の安全性を維持しながら事業規模も追うことを可能にするため、2018年6月期からハウス・リースバック保有資産の本格的なオフバランス化を始めた。売却件数は、再売買、処分売買、買取会社、ファンドへの売却を含めると、2018年6月期に単独ベースで238件(うちファンド向けが85件)、売却売上高が4,235百万円となり、2019年6月期に751件(同453件)、12,622百万円に拡大した。保有資産額は増加の一途をたどっていたが、2019年6月期第2四半期に9,487百万円でピークを付け、2020年6月期第2四半期に5,757百万円へ低下した。今後は、事業体制をさらに強化することで仕入・売却の循環規模を拡大し、フランチャイズ事業との二本柱を継続する。
b) 不動産担保ローン
不動産担保ローンのスキームは、融資の金利及び事務手数料などで同業他社と大差がない。同社のメインビジネスが不動産売買の仲介業であり、不動産価格の査定に関しては質量ともに他社を凌駕する。査定のスピードも速い。不動産担保ローン潜在需要は大きく、不動産担保融資残高は2017年6月期末に2,865百万円、2018年6月期末に5,587百万円、2019年6月末に8,163百万円と急速に拡大し、2020年6月期第2四半期末は9,973百万円となった。今後は、財務体質の安全性維持のためオフバランス化を検討する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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a) ハウス・リースバック事業
自宅を売却後も賃貸借契約を締結することでそのまま住み続けられる「リースバック」サービスが、近年急速に普及し始めている。老後の生活資金確保や相続問題回避などの手段として、持ち家比率の高い高齢者を中心に注目が高まっており、多くのメディアに取り上げられるようになった。一方で、新規事業として参入する企業が増加しており、サービス品質の低下や悪質な事業者の出現が懸念される。このため、リースバックサービスの健全な発展と社会及び日本経済の発展に寄与することを目的に、2020年1月に一般社団法人「日本リースバック保証協会」が設立された。同協会は、リースバックサービスにおいて、消費者にとって不利益となるサービスを提供する事業者の濫立を防止し、事業者の優位的契約を防ぐために、国家資格を持った士業の立会い業務並びに契約内容の審査・標準化を目指す。健全な業界へと成長すべく、リースバックサービスを提供する多くの企業が一丸となって、協会として様々な課題に取り組むことを企図している。代表理事に同社取締役の冨永正英(とみながまさひで)氏が、理事には司法書士法人ミナト法務事務所の東京事務所代表及び大阪事務所代表の2名が就任している。
「ハウス・リースバック」は、同社が住宅を買い取り、売主とリース(賃貸)契約を結ぶスキームである。持ち主は自宅を売却して資金を得た後も、愛着のある住居や地域で住み続けられる。資金の使途、年齢、収入、対象者、対象物件に制限がないうえ、住居の賃貸契約に保証人も不要である。同社は地域密着型の店舗網を展開することから、不動産の査定や不動産売買、金融サービスのノウハウを有し、ハウス・リースバックに必要な機能をすべて自社の経営リソースでカバーできるのが強みとなる。
ハウス・リースバック事業は、買取時の事務手数料、毎月の家賃収入、売却時のキャピタルゲインと3種類の収益機会がある。物件は顧客から直接取得し、仕入額の約3%が買取時の事務手数料となる。取得翌月からは毎月家賃としてインカムゲインが発生し、年間で仕入額の約8%程度がリターンとして入る。売却時には、諸費用及び手数料別途で仕入額の15%程度のキャピタルゲインが発生する。
ハウス・リースバック事業は、ストック収益型ビジネスであるため先行投資負担が重く、資金が固定化される。投資資金を借入金に依存すると、事業の急成長の持続と財務の安全性維持がトレードオフの関係になってしまう。このため、ストック型という性格は薄れるものの、財務体質の安全性を維持しながら事業規模も追うことを可能にするため、2018年6月期からハウス・リースバック保有資産の本格的なオフバランス化を始めた。売却件数は、再売買、処分売買、買取会社、ファンドへの売却を含めると、2018年6月期に単独ベースで238件(うちファンド向けが85件)、売却売上高が4,235百万円となり、2019年6月期に751件(同453件)、12,622百万円に拡大した。保有資産額は増加の一途をたどっていたが、2019年6月期第2四半期に9,487百万円でピークを付け、2020年6月期第2四半期に5,757百万円へ低下した。今後は、事業体制をさらに強化することで仕入・売却の循環規模を拡大し、フランチャイズ事業との二本柱を継続する。
b) 不動産担保ローン
不動産担保ローンのスキームは、融資の金利及び事務手数料などで同業他社と大差がない。同社のメインビジネスが不動産売買の仲介業であり、不動産価格の査定に関しては質量ともに他社を凌駕する。査定のスピードも速い。不動産担保ローン潜在需要は大きく、不動産担保融資残高は2017年6月期末に2,865百万円、2018年6月期末に5,587百万円、2019年6月末に8,163百万円と急速に拡大し、2020年6月期第2四半期末は9,973百万円となった。今後は、財務体質の安全性維持のためオフバランス化を検討する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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