Jトラスト Research Memo(4):日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業を中心に業績は回復基調(2)
[20/03/13]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(1) 日本金融事業
日本金融事業には、信用保証業務を中心に事業展開する(株)日本保証、クレジット・信販業務のJトラストカード(株)、サービサー業務のパルティール債権回収(株)などがある。国内の消費者金融市場が縮小するなか、2015年9月には実質的に無担保ローン事業から撤退し、不動産関連の保証業務及び債権買取回収業務に注力する体制を整備した。日本金融事業は、Jトラスト<8508>グループの強みが生かせる分野を中心に緩やかに成長し安定的な利益を確保することで、同社グループ全体の利益を下支えする役割を担っている。
2019年12月期の日本金融事業は、保証商品の多角化と、優良な保証アセットからの安定的な収入により、営業収益は7,676百万円、営業利益は3,085百万円となり、期初予想に比べて営業収益は10.0%、営業利益は3.6%上回った。韓国及びモンゴル金融事業に次いで高い利益を確保し、営業利益率も高水準で安定している。
日本金融事業では、アパートローン保証を安定的な利益基盤とする一方で、海外不動産担保ローンやクラウドファンディング商品保証など、新たな保証商品への多角化を図っている。2019年12月期末の債務保証残高の合計は2,108億円となり、2018年12月期末の2,005億円から緩やかに増加している。
不動産関連保証業務における同社グループの強みは、市場ニーズに合わせたオーダーメイド型商品の開発力と、独自の不動産ローン審査力である。同社グループが不動産の評価、審査と信用保証を担い、銀行が融資を行う。地域銀行数行と提携して、賃貸住宅ローン(アパートローン)保証業務を中心に保証残高は右肩上がりで増加を続けてきた。しかし、大手銀行の不正融資問題をきっかけに、アパートローン保証は以前のような勢いはない状況だ。ただ、ローンの期間は20年〜30年と長期のため、その間は保証料収入が安定的に入ってくる。
また、同社が保証する物件は、東名阪福の各地域の都市部、徒歩10分程度の駅近物件に集中しており、債務保証を行っている賃貸住宅の入居率は95%以上を維持している。保証料が高いその他の保証(個人事業主への融資保証等)は、近年、競争が激化していることから取扱いを抑え、保証料が低いものの貸倒リスクが小さいアパートローンへの有担保保証を増やし、ボリュームでカバーすることで利益を確保してきた。
ただ、上記のように、現在は金融機関の審査基準が厳格化していることなどから、当面はアパートローンの保証残高は増加を期待しにくい環境にある。こうした環境下、最近の動きとしては、新たな保証商品としてクラウドファンディング商品の保証を開始した。日本保証の保証付きクラウドファンディング商品を3本リリースしたところ好評で、いずれも1時間以内に目標額達成となった。さらに、海外不動産担保ローンも徐々に保証提携先銀行が増え、保証残高は増加傾向にある。こうした提携先の拡大や商品の多様化により、今後も保証残高を積み上げる計画だ。
サービサー事業では、日本保証が(株)武富士より承継した簿外債権(請求可能債権)の精査を実施した結果、2019年12月の請求債権残高は約1,300億円に減少した。ただ、債権買取は順調であり、パルティール債権回収が取り扱う請求可能債権残高は、7,928億円に増加している。業界全体では金融機関等の貸付債権が6割近くを占めるのに対し、同社ではリース・クレジット債権が過半数を占めているという。全体として、サービサー事業における債権残高は引き続き9,000億円超を保有している。
債権買取回収業務における同社グループの強みは、多様な債権回収事業会社出身者のノウハウを結集した国内トップクラスの回収力にある。回収力の強さは、金融機関やカード会社などから債権を買い取る際の入札競争においても優位性となり、その結果、事業拡大という好循環につながる。今後もこの強みを生かした事業拡大を進めていく方針だ。また、こうした国内事業での債権回収力の強さは、韓国やインドネシアでも生かされていると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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(1) 日本金融事業
日本金融事業には、信用保証業務を中心に事業展開する(株)日本保証、クレジット・信販業務のJトラストカード(株)、サービサー業務のパルティール債権回収(株)などがある。国内の消費者金融市場が縮小するなか、2015年9月には実質的に無担保ローン事業から撤退し、不動産関連の保証業務及び債権買取回収業務に注力する体制を整備した。日本金融事業は、Jトラスト<8508>グループの強みが生かせる分野を中心に緩やかに成長し安定的な利益を確保することで、同社グループ全体の利益を下支えする役割を担っている。
2019年12月期の日本金融事業は、保証商品の多角化と、優良な保証アセットからの安定的な収入により、営業収益は7,676百万円、営業利益は3,085百万円となり、期初予想に比べて営業収益は10.0%、営業利益は3.6%上回った。韓国及びモンゴル金融事業に次いで高い利益を確保し、営業利益率も高水準で安定している。
日本金融事業では、アパートローン保証を安定的な利益基盤とする一方で、海外不動産担保ローンやクラウドファンディング商品保証など、新たな保証商品への多角化を図っている。2019年12月期末の債務保証残高の合計は2,108億円となり、2018年12月期末の2,005億円から緩やかに増加している。
不動産関連保証業務における同社グループの強みは、市場ニーズに合わせたオーダーメイド型商品の開発力と、独自の不動産ローン審査力である。同社グループが不動産の評価、審査と信用保証を担い、銀行が融資を行う。地域銀行数行と提携して、賃貸住宅ローン(アパートローン)保証業務を中心に保証残高は右肩上がりで増加を続けてきた。しかし、大手銀行の不正融資問題をきっかけに、アパートローン保証は以前のような勢いはない状況だ。ただ、ローンの期間は20年〜30年と長期のため、その間は保証料収入が安定的に入ってくる。
また、同社が保証する物件は、東名阪福の各地域の都市部、徒歩10分程度の駅近物件に集中しており、債務保証を行っている賃貸住宅の入居率は95%以上を維持している。保証料が高いその他の保証(個人事業主への融資保証等)は、近年、競争が激化していることから取扱いを抑え、保証料が低いものの貸倒リスクが小さいアパートローンへの有担保保証を増やし、ボリュームでカバーすることで利益を確保してきた。
ただ、上記のように、現在は金融機関の審査基準が厳格化していることなどから、当面はアパートローンの保証残高は増加を期待しにくい環境にある。こうした環境下、最近の動きとしては、新たな保証商品としてクラウドファンディング商品の保証を開始した。日本保証の保証付きクラウドファンディング商品を3本リリースしたところ好評で、いずれも1時間以内に目標額達成となった。さらに、海外不動産担保ローンも徐々に保証提携先銀行が増え、保証残高は増加傾向にある。こうした提携先の拡大や商品の多様化により、今後も保証残高を積み上げる計画だ。
サービサー事業では、日本保証が(株)武富士より承継した簿外債権(請求可能債権)の精査を実施した結果、2019年12月の請求債権残高は約1,300億円に減少した。ただ、債権買取は順調であり、パルティール債権回収が取り扱う請求可能債権残高は、7,928億円に増加している。業界全体では金融機関等の貸付債権が6割近くを占めるのに対し、同社ではリース・クレジット債権が過半数を占めているという。全体として、サービサー事業における債権残高は引き続き9,000億円超を保有している。
債権買取回収業務における同社グループの強みは、多様な債権回収事業会社出身者のノウハウを結集した国内トップクラスの回収力にある。回収力の強さは、金融機関やカード会社などから債権を買い取る際の入札競争においても優位性となり、その結果、事業拡大という好循環につながる。今後もこの強みを生かした事業拡大を進めていく方針だ。また、こうした国内事業での債権回収力の強さは、韓国やインドネシアでも生かされていると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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