オンコリス Research Memo(2):ウイルス製剤を用いた抗がん剤及びがん検査薬の事業化を目的に設立
[20/03/24]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■会社概要
1. 会社沿革
オンコリスバイオファーマ<4588>は、2004年に設立されたバイオベンチャーで、「Virology(ヴィロロジー/ウイルス学)に立脚した創薬」を事業コンセプトとして、医薬品事業及び検査事業を両輪とした研究開発を進めている。
創業のきっかけは、現代表取締役社長の浦田泰生(うらたやすお)氏と岡山大学の消化器腫瘍外科の教授であった田中紀章(たなかのりあき)医師、藤原俊義(ふじわらとしよし)医師との出会いによるものであった。当時、両医師は腫瘍溶解性ウイルスの一種であるアデノウイルスを用いた抗がん剤となるテロメライシンの開発、及び事業化を目的とした企業設立を検討しており、そのための経営者を探していた。当時、大手企業の医薬品事業部に在籍し、同様のアイデアを持って抗がん剤の開発を考えていた浦田氏と出会い、共同で創業することとなった。このため、創業段階ではテロメライシン及びテロメライシンにクラゲが持つ発光遺伝子(以下、GFP)を組み入れたがん検査薬であるテロメスキャンの事業化を目的として同社が設立された。
その後、パイプラインを拡充するため2006年に米Yale大学からHIV感染症治療薬候補となる「OBP-601」、2009年にはアステラス製薬<4503>から新規分子標的抗がん剤「OBP-801」のライセンス導入を行い、研究・開発に着手した。「OBP-601」に関しては、2010年に米国のBristol-Myers Squibb Co.(以下、BMS)にライセンスアウトし、第2b相臨床試験まで進んだが、BMSの事業戦略変更に伴い、2014年4月にライセンス契約が解除されており、現在は新たなライセンス契約先を探索している状況にある。そのほか、2015年には鹿児島大学とB型肝炎治療薬の共同研究を開始している。
テロメライシンに関しては、2008年に台湾のMedigen Biotechnology Corp.(以下、メディジェン)と戦略的提携契約を締結したほか、2016年11月に中国のハンルイ※と中国・マカオ・香港を対象とした開発・製造・販売に関する独占ライセンス契約を締結した。また、2019年4月には中外製薬と日本・台湾における開発・製造・販売に関する再許諾権付き独占的ライセンス契約、及び日本・台湾・中国・香港・マカオを除く全世界における開発・製造・販売に関する独占的オプション契約を締結するとともに、資本提携契約(同社株式を45.66万株保有(出資比率3.21%))を締結した。
※江蘇恒瑞医薬股フン有限公司(ハンルイ)は中国の大手製薬メーカーで、がん治療薬で中国トップ。2018年度の売上高は174億元(約2,700億円)、従業員数は約1.5万人を有している。
一方、がん検査薬となるテロメスキャンに関しては、2012年に国内で研究目的の受託検査サービスを開始し、海外では2015年に米ペンシルベニア大学発のバイオベンチャー、Liquid Biotech USA, Inc.(米国)(以下、リキッド)とライセンス契約を締結し、北米での事業展開に関する業務提携を発表している。なお、2014年にテロメスキャンの改良型であるテロメスキャンF35について、韓国のWONIK CUBE Corp.(以下、WONIK)と韓国内における独占的ライセンス契約を締結していたが、2019年11月にWONIKの経営戦略変更(医療分野からの撤退)によって、契約を解消している。
2. 事業内容
同社の事業セグメントは、医薬品事業と検査事業で構成されている。医薬品事業は、がんや重症感染症などの難病を対象に安全で有効な新薬を創出すること、また、検査事業ではウイルスの遺伝子改変技術を生かした新しいがん検査薬の事業展開を図ることを基本的な事業方針としている。なお、医薬品事業、検査事業ともにアウトソーシングを活用することで、開発期間の短縮化・開発経費の最適化を図っている。
医薬品事業は、大学等の研究機関や企業から新たな医薬品候補を導入し、同社で前臨床試験及び初期臨床試験を実施し、その製品的価値の初期評価であるPOC(Proof of Cocept)※を取得後に大手製薬企業・バイオ企業にライセンスアウトし、契約一時金収入、開発進捗に応じたマイルストーン収入、上市後のロイヤリティ収入を獲得する収益モデルとなっている。医薬品候補の製造に関しては外部に委託している。
※POC:基礎的な研究で予想された薬の効果が、実際に動物またはヒトへの投与試験により証明されること。
一方、検査事業では、同社が開発したウイルス製検査薬を用いた検査システムを検査ユニットとして検査会社・医療機関などに提供し、技術利用料や技術移転料などの収入を獲得するビジネスモデルを構築している。また、現在、開発を進めているCTC自動検出システムが完成すれば、検査会社や医療機関などに同システムを安価に提供し、消耗品となる検査用キットの販売で収益を獲得していくことを目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<ST>
1. 会社沿革
オンコリスバイオファーマ<4588>は、2004年に設立されたバイオベンチャーで、「Virology(ヴィロロジー/ウイルス学)に立脚した創薬」を事業コンセプトとして、医薬品事業及び検査事業を両輪とした研究開発を進めている。
創業のきっかけは、現代表取締役社長の浦田泰生(うらたやすお)氏と岡山大学の消化器腫瘍外科の教授であった田中紀章(たなかのりあき)医師、藤原俊義(ふじわらとしよし)医師との出会いによるものであった。当時、両医師は腫瘍溶解性ウイルスの一種であるアデノウイルスを用いた抗がん剤となるテロメライシンの開発、及び事業化を目的とした企業設立を検討しており、そのための経営者を探していた。当時、大手企業の医薬品事業部に在籍し、同様のアイデアを持って抗がん剤の開発を考えていた浦田氏と出会い、共同で創業することとなった。このため、創業段階ではテロメライシン及びテロメライシンにクラゲが持つ発光遺伝子(以下、GFP)を組み入れたがん検査薬であるテロメスキャンの事業化を目的として同社が設立された。
その後、パイプラインを拡充するため2006年に米Yale大学からHIV感染症治療薬候補となる「OBP-601」、2009年にはアステラス製薬<4503>から新規分子標的抗がん剤「OBP-801」のライセンス導入を行い、研究・開発に着手した。「OBP-601」に関しては、2010年に米国のBristol-Myers Squibb Co.(以下、BMS)にライセンスアウトし、第2b相臨床試験まで進んだが、BMSの事業戦略変更に伴い、2014年4月にライセンス契約が解除されており、現在は新たなライセンス契約先を探索している状況にある。そのほか、2015年には鹿児島大学とB型肝炎治療薬の共同研究を開始している。
テロメライシンに関しては、2008年に台湾のMedigen Biotechnology Corp.(以下、メディジェン)と戦略的提携契約を締結したほか、2016年11月に中国のハンルイ※と中国・マカオ・香港を対象とした開発・製造・販売に関する独占ライセンス契約を締結した。また、2019年4月には中外製薬と日本・台湾における開発・製造・販売に関する再許諾権付き独占的ライセンス契約、及び日本・台湾・中国・香港・マカオを除く全世界における開発・製造・販売に関する独占的オプション契約を締結するとともに、資本提携契約(同社株式を45.66万株保有(出資比率3.21%))を締結した。
※江蘇恒瑞医薬股フン有限公司(ハンルイ)は中国の大手製薬メーカーで、がん治療薬で中国トップ。2018年度の売上高は174億元(約2,700億円)、従業員数は約1.5万人を有している。
一方、がん検査薬となるテロメスキャンに関しては、2012年に国内で研究目的の受託検査サービスを開始し、海外では2015年に米ペンシルベニア大学発のバイオベンチャー、Liquid Biotech USA, Inc.(米国)(以下、リキッド)とライセンス契約を締結し、北米での事業展開に関する業務提携を発表している。なお、2014年にテロメスキャンの改良型であるテロメスキャンF35について、韓国のWONIK CUBE Corp.(以下、WONIK)と韓国内における独占的ライセンス契約を締結していたが、2019年11月にWONIKの経営戦略変更(医療分野からの撤退)によって、契約を解消している。
2. 事業内容
同社の事業セグメントは、医薬品事業と検査事業で構成されている。医薬品事業は、がんや重症感染症などの難病を対象に安全で有効な新薬を創出すること、また、検査事業ではウイルスの遺伝子改変技術を生かした新しいがん検査薬の事業展開を図ることを基本的な事業方針としている。なお、医薬品事業、検査事業ともにアウトソーシングを活用することで、開発期間の短縮化・開発経費の最適化を図っている。
医薬品事業は、大学等の研究機関や企業から新たな医薬品候補を導入し、同社で前臨床試験及び初期臨床試験を実施し、その製品的価値の初期評価であるPOC(Proof of Cocept)※を取得後に大手製薬企業・バイオ企業にライセンスアウトし、契約一時金収入、開発進捗に応じたマイルストーン収入、上市後のロイヤリティ収入を獲得する収益モデルとなっている。医薬品候補の製造に関しては外部に委託している。
※POC:基礎的な研究で予想された薬の効果が、実際に動物またはヒトへの投与試験により証明されること。
一方、検査事業では、同社が開発したウイルス製検査薬を用いた検査システムを検査ユニットとして検査会社・医療機関などに提供し、技術利用料や技術移転料などの収入を獲得するビジネスモデルを構築している。また、現在、開発を進めているCTC自動検出システムが完成すれば、検査会社や医療機関などに同システムを安価に提供し、消耗品となる検査用キットの販売で収益を獲得していくことを目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<ST>