窪田製薬HD Research Memo(9):2020年12月期は研究開発費の大幅削減により損失額が縮小する見通し
[20/03/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2019年12月期の業績概要
窪田製薬ホールディングス<4596>の2019年12月期の連結業績は、事業収益の計上がなく、研究開発費や一般管理費の計上により営業損失が3,321百万円(前期は3,273百万円の損失)、税引前当期損失が3,138百万円(同3,046百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失が3,098百万円(同3,046百万円の損失)と前期並みの損失となり、おおむね会社計画どおりに着地した。
費用の内訳を見ると、研究開発費は前期比290百万円増加の2,770百万円となった。人件費及び諸経費が減少したものの、スターガルト病を対象とするエミクススタトの臨床試験費用や「PBOS」の開発費用増が主な増加要因となった。一方、一般管理費は同242百万円減少の551百万円となった。人員や諸経費の削減など経営合理化を進めたことによる。
期末従業員数は12名で前期末比8名減となった。うち、開発人員は3名(同7名減)となっている。2016年末は従業員数で44名、うち開発人員で23名だったので、3年間で大幅に絞り込んだことになる。絞りすぎたこともあり2020年は若干人員を増やす予定にしている。2020年1月には研究開発部門の責任者を1名採用した。開発体制についてはプロジェクトごとに外部コンサルタントと契約して進めている。
2. 2020年12月期の業績見通し
2020年12月期の連結業績は、事業収益で40百万円、営業損失で2,500百万円、税引前当期損失、親会社の所有者に帰属する当期損失でそれぞれ2,400百万円と前期から損失額が縮小する見通しとなっている。事業収益に関してはNASAからの開発受託収入を計上する予定だ。費用面では、一般管理費が人員増によって増加するものの、研究開発費を前期から10億円程度削減する予定となっている。「PBOS」の開発戦略を見直し、510(k)申請を保留して現金の支出を抑制する方針としたこと、また、前臨床段階の研究プロジェクトについても再評価を行い、研究活動の更なる効率化を進めることが減少要因となる。なお、医療デバイスについては「PBOS」以外の新規プロジェクトの探索活動を継続していく予定だ。
手元資金は85億円となり、3年分の事業活動資金は確保
3. 財務状況について
2019年12月期末の総資産は前期末比2,549百万円減少の8,740百万円となった。主な変動要因は、流動資産は現金及び現金同等物、その他の金融資産で、合計2,968百万円の減少である。一方、非流動資産はその他の金融資産が487百万円増加したが、これは2019年よりIFRSの会計基準変更に伴い、リース対象資産をバランスシートに反映させることになったもので、その中身はリース債権(主にオフィス資産)となっている。
負債合計は前期末比50百万円減少の696百万円となった。流動負債でリース負債141百万円を計上した一方で、未払債務が136百万円、未払報酬が164百万円それぞれ減少した。また、非流動負債では長期繰延賃借料及びリース・インセンティブ、その他が67百万円減少した一方で、リース負債140百万円を計上した。
資本合計は前期末比2,499百万円減少の8,043百万円となった。新株予約権の行使に伴い、資本金及び資本剰余金が653百万円増加した一方で、親会社の所有者に帰属する当期損失3,098百万円の計上により繰越損失が拡大したことによる。また、2019年12月期末の手元資金は8,458百万円と減少傾向が続いているものの、今後3年程度の事業活動資金は賄える水準となっている。とはいえ、まだ安定した収入を期待できる体制ではないことから、財務戦略上、資金調達の必要性がいずれ出てくるものと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
1. 2019年12月期の業績概要
窪田製薬ホールディングス<4596>の2019年12月期の連結業績は、事業収益の計上がなく、研究開発費や一般管理費の計上により営業損失が3,321百万円(前期は3,273百万円の損失)、税引前当期損失が3,138百万円(同3,046百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失が3,098百万円(同3,046百万円の損失)と前期並みの損失となり、おおむね会社計画どおりに着地した。
費用の内訳を見ると、研究開発費は前期比290百万円増加の2,770百万円となった。人件費及び諸経費が減少したものの、スターガルト病を対象とするエミクススタトの臨床試験費用や「PBOS」の開発費用増が主な増加要因となった。一方、一般管理費は同242百万円減少の551百万円となった。人員や諸経費の削減など経営合理化を進めたことによる。
期末従業員数は12名で前期末比8名減となった。うち、開発人員は3名(同7名減)となっている。2016年末は従業員数で44名、うち開発人員で23名だったので、3年間で大幅に絞り込んだことになる。絞りすぎたこともあり2020年は若干人員を増やす予定にしている。2020年1月には研究開発部門の責任者を1名採用した。開発体制についてはプロジェクトごとに外部コンサルタントと契約して進めている。
2. 2020年12月期の業績見通し
2020年12月期の連結業績は、事業収益で40百万円、営業損失で2,500百万円、税引前当期損失、親会社の所有者に帰属する当期損失でそれぞれ2,400百万円と前期から損失額が縮小する見通しとなっている。事業収益に関してはNASAからの開発受託収入を計上する予定だ。費用面では、一般管理費が人員増によって増加するものの、研究開発費を前期から10億円程度削減する予定となっている。「PBOS」の開発戦略を見直し、510(k)申請を保留して現金の支出を抑制する方針としたこと、また、前臨床段階の研究プロジェクトについても再評価を行い、研究活動の更なる効率化を進めることが減少要因となる。なお、医療デバイスについては「PBOS」以外の新規プロジェクトの探索活動を継続していく予定だ。
手元資金は85億円となり、3年分の事業活動資金は確保
3. 財務状況について
2019年12月期末の総資産は前期末比2,549百万円減少の8,740百万円となった。主な変動要因は、流動資産は現金及び現金同等物、その他の金融資産で、合計2,968百万円の減少である。一方、非流動資産はその他の金融資産が487百万円増加したが、これは2019年よりIFRSの会計基準変更に伴い、リース対象資産をバランスシートに反映させることになったもので、その中身はリース債権(主にオフィス資産)となっている。
負債合計は前期末比50百万円減少の696百万円となった。流動負債でリース負債141百万円を計上した一方で、未払債務が136百万円、未払報酬が164百万円それぞれ減少した。また、非流動負債では長期繰延賃借料及びリース・インセンティブ、その他が67百万円減少した一方で、リース負債140百万円を計上した。
資本合計は前期末比2,499百万円減少の8,043百万円となった。新株予約権の行使に伴い、資本金及び資本剰余金が653百万円増加した一方で、親会社の所有者に帰属する当期損失3,098百万円の計上により繰越損失が拡大したことによる。また、2019年12月期末の手元資金は8,458百万円と減少傾向が続いているものの、今後3年程度の事業活動資金は賄える水準となっている。とはいえ、まだ安定した収入を期待できる体制ではないことから、財務戦略上、資金調達の必要性がいずれ出てくるものと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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