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Eストアー Research Memo(6):今後人材強化への先行費用が発生する可能性も、第3四半期で通期見通しを超過

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2020年3月期第3四半期の業績
Eストアー<4304>の2020年3月期第3四半期の業績は、売上高3,622百万円(前年同期比2.3%減)、営業利益378百万円(同3.8%減)、経常利益448百万円(同3.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益321百万円(同3.3%減)と減収減益であった。

2020年3月期第3四半期も、同社は引き続き、コモディティ化による競争激化状態にあるカート事業(販売システム事業)への依存度を下げ、逆にマーケットが拡大している販促サービス事業の構成比を高める構造改革を進めた。特に大型案件と販促サービスの強化に注力したが、受注単価の上昇はあったものの、販促サービス事業への投資の遅れから構造改革が若干遅れ、売上高の進捗率は前年同期に対してややビハインドした状況となった。

営業利益面では、カート事業への依存度の引き下げ(ストック売上減)と販促サービスの売上増により前年同期比減益となった。しかし、積極的に行う予定だったコンサルタント採用などの人材投資が想定ほど進まなかったこと、営業向け広告を抑制したことなどにより、営業利益の進捗率は通期見通しに対して100%を超えて推移しており、順調な業績と言えるだろう。

販促サービス事業ではコンサルティングなどを強化しており、「ショップサーブ」利用顧客へのアップセルは順調に推移している。しかし、新規大型案件獲得に向けた営業活動は、受注獲得までのリードタイムが計画よりも延びていること、受注から納品までの時間も要していることから、苦戦していると言えるだろう。

販促システム事業において、販促のためのシステムである「Eストアーコンペア」(ABテストツール)と「Eストアークエリー」(メールマーケティングツール)を、専門営業部隊を解散して通常営業の商品の1つとして組み込み直した。このため、販促システムを成長マーケットと捉えながらも、現状、自然体の営業となっている。

販売システム事業では、カート事業の「ショップサーブ」の構造転換を進めている。意図的に量を求めず、自社ECに適した良店の獲得を進めたことで、累計利用店舗数が減ってストック収益は減少したが、1店舗当たりの商流額が第3四半期累計で10%増加した。また、消費増税に伴う施策として「キャッシュレス・消費者還元事業」に参画したことで、カード取扱額とカード決済比率は上昇したが、原価に関わる部分の事業者負担ルールによりフロウ収益が減少した。この結果、ストック売上高が1,256百万円(前年同期比3.7%減)、フロウ売上高が1,459百万円(同4.1%減)となった。

電子認証事業は、ブラウザによる危険サイト表示を防止し、店舗の売上げや利益の低下を保全することを目的に、前期(2018年8月)に買収した。しかし、目的が一巡したことから無理のない運営を継続しており、売上高はおおむね横ばいとなった。


2020年3月期は営業利益が通期予想を超過する可能性。2021年3月期の飛躍に向けて弾みとなるだろう
2. 2020年3月期の業績見通し
2020年3月期について同社は、売上高5,047百万円(前期比2.3%増)、営業利益347百万円(同32.7%減)、経常利益384百万円(同34.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益298百万円(同27.2%減)と増収減益を予想している。

今期減益予想の要因として、注力分野である販促サービス事業のコンサルタント人材の獲得・教育にかかる先行投資を、期初に同社は挙げていた。同社はここ数年、同様な予算を組んできたが、想定どおりに人材獲得が進まず、結果的に利益が予想を上回って着地するというパターンが続いた。今期も同様のパターンである可能性はある。しかし、第3四半期における営業利益の進捗率が、消費増税時の懸念材料を飲み込んだ上で109.0%と既に通期見通しを上回っている。今後、販促サービス事業でコンサルティング人材の確保など先行費用が発生したとしても、通期の着地は同社の見通しを上回って着地する可能性が高くなったと思われる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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