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クロスマーケ Research Memo(1):デジタルトランスフォーメーションで新たな成長へ

注目トピックス 日本株
■要約

1. 後発ながらマーケティングリサーチ業界大手の一角
クロス・マーケティンググループ<3675>は、リサーチ事業、ITソリューション事業、その他の事業と3つの事業を展開している。祖業のリサーチ事業では、ネットリサーチを核に様々なリサーチに対してワンストップサービスを提供、海外展開も行っている。ITソリューション事業では、モバイル向けシステムの企画・開発・運用やエンジニアの派遣などを行っている。その他の事業では、マーケティング支援に関わるプロモーション事業を行っている。設立はマーケティングリサーチ業界でも最後発だったが、今や業界大手の一角を占めるようになった。現在、各事業の機能をクロスオーバーし、多様化する顧客ニーズへの対応力を強める一方、急速なデジタル化への対応も進めている。

2. リサーチをコアコンピタンスにソリューションを拡張
同社リサーチ事業の特徴は、パネル(登録モニター)の質と量にある。量については、アクティブパネル数が同社に227万人、提携先も合わせると473万人おり、十分な量を確保できている。質については、パネルの基本属性を常に最新に保ち、利用しやすいよう事前にカテゴライズしている。また、悪質な不正回答者を登録抹消するなど、パネルの品質管理を徹底している。セールスやリサーチャー、ディレクターなどすべての担当者が一丸となって顧客に接し、課題解決に当たるサポート体制も好評である。さらに、課題に対し適切に提案・設計するリサーチャーの経験や、ITソリューション事業などグループ内外の機能を利用したトータルなマーケティングソリューションの提案など、質の高さが差別化につながっているようだ。

3. デジタルトランスフォーメーションでチャンス拡大
2015年−2019年までの直近5年間は、持続的な成長を実現するため、成長領域における積極的な事業拡大、収益力強化に向けた投資などを行うとともに、更なるグループシナジーを追求するなど、様々な取り組みを進めてきた。この結果、同社はネットリサーチ企業からマーケティングソリューション企業へと進化した。2020年、データがあふれる時代に入ってきたことから、マーケティングソリューションとデジタルトランスフォーメーションの2軸によって、顧客のマーケティングを支援していく考えである。一方、デジタルトランスフォーメーションによって同社自身も次なる成長と自動化による原価低減をなどの恩恵を受けられるチャンスがある。さらに、ITソリューション事業やプロモーション事業とのシナジーが強まることも期待される。

4. 2019年12月期は海外では構造改革、国内の好調は継続
2019年12月期の業績は、売上高18,580百万円(前期比6.2%増)、営業利益1,267百万円(同32.7%増)親会社株主に帰属する当期純損失477百万円(前年同期は507百万円の利益)となった。期初の会社計画に比べて、売上高で1,420百万円の未達、営業利益で17百万円の過達、親会社株主に帰属する当期純利益で1,047百万円の未達となった。売上高の未達はKadenceグループで予定していた大型案件の売上計上が期ずれを起こしたこと、親会社株主に帰属する当期純利益の未達はKadenceグループの各社において減損損失を計上したことが要因である。国内事業は極めて順調で、営業利益の過達につながった。特にITソリューション事業とプロモーション事業は売上が大きく伸び、成長期入りしつつあると言えるだろう。

5. 2020年12月期は最高益更新予想、つれて連続増配へ
同社は2020年12月期業績見通しについて、売上高19,570百万円(前期比5.3%増)、営業利益1,360百万円(同7.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益820百万円(同1,297百万円の増益)と最高益更新を見込んでいる。ただし、2019年12月期までの構造改革で海外リサーチ事業の収益性改善が期待できること、国内の事業に関しては好調継続が予想されることから、同社の見通しはやや保守的と思われる。中期的に同社は、マーケティングソリューションとデジタルトランスフォーメーションの2軸によって、売上成長と収益性改善が同時進行すると考えられる。なお、2020年12月期の配当は、連結配当性向15%の目安に従い、1株当たり年間配当金6.2円と増配を予定している。

■Key Points
・グループシナジーを生かしたマーケティングソリューションに特徴
・デジタルトランスフォーメーションにより売上成長と収益性改善の両立へ
・2020年12月期は最高益更新見込みで、配当も増配を予定

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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