ブイキューブ Research Memo(6):「テレキューブ」を中心にアプライアンス事業が大幅増収増益に
[20/04/14]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ブイキューブ<3681>の業績動向
2. 事業セグメント別業績
(1) ビジュアルコミュニケーション事業
ビジュアルコミュニケーション事業の売上高は前期比1.5%減の4,068百万円、セグメント利益は同52.8%減の274百万円となった。主力の「V-CUBE」各サービスが堅調に推移したことに加え、製薬業界向けを中心とした「V-CUBEセミナー」やオンプレミス案件も好調に推移した。クラウド型サービスの売上高は年額サブスクリプションサービスが好調に推移し、前期比4.7%増の3,212百万円と計画比で若干未達となったものの増収基調が続いている。
会計方針の変更により従来方法と比較して売上高及びセグメント利益で88百万円の減収減益要因となったほか、ロイヤルティの一括計上(238百万円)が減益要因となったが、これら一時的な要因を除けば実質増益となっている。会社計画比では中国における売上見込み約2億円を計上できなかったことや、ロイヤルティ費用を下期に追加で96百万円計上したことが下振れ要因となっている。
(2) ラーニングマネジメントシステム事業
ラーニングマネジメントシステム事業は、2019年12月期第2四半期以降アイスタディが連結から外れたことにより、売上高で前期比40.8%減の1,051百万円、セグメント損失で13百万円(前期は99百万円の利益)となった。アイスタディを除いたベースでも減収減益となっている。これはシンガポールにおいて主力サービスであった学校向けLMSが、政府による内製化方針の影響により前期比21.1%減の5,124千SGDと大きく落ち込んだことが主因となっている。同サービスの限界利益率は約90%と高く、売上減がそのまま利益減につながった。ただ、一方で企業向けLMSは、導入企業に対して政府から補助金が出ている背景もあり、前期比10.9%増の4,053千SGDと増加しており、今後は企業向けが業績をけん引していく格好になると同社では見ている。
(3) アプライアンス事業
アプライアンス事業の売上高は前期比39.1%減の1,250百万円、セグメント利益は同98.5%増の131百万円となった。2018年12月期末で電子黒板サービス事業(2018年12月期の売上高1,558百万円、営業利益77百万円)を売却したことに加えて、会計方針の変更により従来の方法に比べて売上高で69百万円、セグメント利益で33百万円の減収減益要因となっている。これらの要因を除いて試算すると売上高は前期比826百万円の増収、セグメント利益は同175百万円の増益となっている。
「テレキューブ」関連の売上高が496百万円と急拡大したほか、「V-CUBE Box」も大口案件の売上計上により好調に推移したことが主因だ。「テレキューブ」は一般企業向けの販売が順調に増加したほか、公共空間向けでもオフィスビルのエントランス部分や電鉄会社の駅構内などへの設置が進んだ。また、JR東日本向けの販売が2019年8月よりスタートしたことも寄与した。2019年12月期末時点の累積設置台数は前期末比311台増の384台に急拡大している(うち公共空間向けは65台)。2019年12月には認知度向上を図るため、257百万円を投下してテレビCMやタクシー広告、トレインチャネルなどマス広告を大々的に展開した。マス広告の効果として、Webサイトへの訪問回数が前期比119%増、Webからの見込み客獲得数が同41%増、「テレキューブ」の商談件数がテレビCM開始前(2019年11月末)と2020年1月末の比較で237%増とそれぞれ大きく増加しており、商談スピードも加速するなどの効果が出ていると言う。
事業の選択と集中により資産のスリム化と財務体質の改善が進む
3. 財務状況
2019年12月期末の総資産は前期末比3,582百万円減少の7,002百万円となった。アイスタディの連結除外が主な要因となっており、流動資産では現金及び預金が前期末比で1,942百万円減少したほか、売上債権が367百万円、前渡金が328百万円減少した。固定資産は有形固定資産が130百万円増加した一方で、ソフトウェアが482百万円、のれんが231百万円減少した。ソフトウェアについては、中国自動車メーカー向けソフトウェアの減損処理、のれんについてはアイスタディ売却が減少要因となっている。
負債合計は前期末比2,101百万円減少の3,953百万円となった。アイスタディの連結除外により買掛金が499百万円減少したほか、事業売却や子会社売却を進めたことにより有利子負債が1,609百万円減少した。なお、将来の売上につながる前受金に関してはサブスクリプションサービスの拡大により、前期末比252百万円増加の813百万円となっている。
純資産は前期末比1,481百万円減少の3,049百万円となった。収益認識基準変更の影響により期首利益剰余金が減少したほか、アイスタディの連結除外に伴う利益剰余金の減少が主因となっている。なお、資本金を3,451百万円から38百万円に減資し、欠損填補による財務基盤の安定化を図るとともに、一連の事業売却を踏まえた株主還元策として、自己株式の取得(100百万円)を実施した。
経営指標を見ると、事業の選択と集中を進めたことで自己資本比率が前期末の35.0%から43.2%に上昇、有利子負債比率は逆に103.1%から73.0%に低下するなど財務体質の改善が進んだことがうかがえる。今後は収益性についても向上することが見込まれており、財務体質の改善が続くものと予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別業績
(1) ビジュアルコミュニケーション事業
ビジュアルコミュニケーション事業の売上高は前期比1.5%減の4,068百万円、セグメント利益は同52.8%減の274百万円となった。主力の「V-CUBE」各サービスが堅調に推移したことに加え、製薬業界向けを中心とした「V-CUBEセミナー」やオンプレミス案件も好調に推移した。クラウド型サービスの売上高は年額サブスクリプションサービスが好調に推移し、前期比4.7%増の3,212百万円と計画比で若干未達となったものの増収基調が続いている。
会計方針の変更により従来方法と比較して売上高及びセグメント利益で88百万円の減収減益要因となったほか、ロイヤルティの一括計上(238百万円)が減益要因となったが、これら一時的な要因を除けば実質増益となっている。会社計画比では中国における売上見込み約2億円を計上できなかったことや、ロイヤルティ費用を下期に追加で96百万円計上したことが下振れ要因となっている。
(2) ラーニングマネジメントシステム事業
ラーニングマネジメントシステム事業は、2019年12月期第2四半期以降アイスタディが連結から外れたことにより、売上高で前期比40.8%減の1,051百万円、セグメント損失で13百万円(前期は99百万円の利益)となった。アイスタディを除いたベースでも減収減益となっている。これはシンガポールにおいて主力サービスであった学校向けLMSが、政府による内製化方針の影響により前期比21.1%減の5,124千SGDと大きく落ち込んだことが主因となっている。同サービスの限界利益率は約90%と高く、売上減がそのまま利益減につながった。ただ、一方で企業向けLMSは、導入企業に対して政府から補助金が出ている背景もあり、前期比10.9%増の4,053千SGDと増加しており、今後は企業向けが業績をけん引していく格好になると同社では見ている。
(3) アプライアンス事業
アプライアンス事業の売上高は前期比39.1%減の1,250百万円、セグメント利益は同98.5%増の131百万円となった。2018年12月期末で電子黒板サービス事業(2018年12月期の売上高1,558百万円、営業利益77百万円)を売却したことに加えて、会計方針の変更により従来の方法に比べて売上高で69百万円、セグメント利益で33百万円の減収減益要因となっている。これらの要因を除いて試算すると売上高は前期比826百万円の増収、セグメント利益は同175百万円の増益となっている。
「テレキューブ」関連の売上高が496百万円と急拡大したほか、「V-CUBE Box」も大口案件の売上計上により好調に推移したことが主因だ。「テレキューブ」は一般企業向けの販売が順調に増加したほか、公共空間向けでもオフィスビルのエントランス部分や電鉄会社の駅構内などへの設置が進んだ。また、JR東日本向けの販売が2019年8月よりスタートしたことも寄与した。2019年12月期末時点の累積設置台数は前期末比311台増の384台に急拡大している(うち公共空間向けは65台)。2019年12月には認知度向上を図るため、257百万円を投下してテレビCMやタクシー広告、トレインチャネルなどマス広告を大々的に展開した。マス広告の効果として、Webサイトへの訪問回数が前期比119%増、Webからの見込み客獲得数が同41%増、「テレキューブ」の商談件数がテレビCM開始前(2019年11月末)と2020年1月末の比較で237%増とそれぞれ大きく増加しており、商談スピードも加速するなどの効果が出ていると言う。
事業の選択と集中により資産のスリム化と財務体質の改善が進む
3. 財務状況
2019年12月期末の総資産は前期末比3,582百万円減少の7,002百万円となった。アイスタディの連結除外が主な要因となっており、流動資産では現金及び預金が前期末比で1,942百万円減少したほか、売上債権が367百万円、前渡金が328百万円減少した。固定資産は有形固定資産が130百万円増加した一方で、ソフトウェアが482百万円、のれんが231百万円減少した。ソフトウェアについては、中国自動車メーカー向けソフトウェアの減損処理、のれんについてはアイスタディ売却が減少要因となっている。
負債合計は前期末比2,101百万円減少の3,953百万円となった。アイスタディの連結除外により買掛金が499百万円減少したほか、事業売却や子会社売却を進めたことにより有利子負債が1,609百万円減少した。なお、将来の売上につながる前受金に関してはサブスクリプションサービスの拡大により、前期末比252百万円増加の813百万円となっている。
純資産は前期末比1,481百万円減少の3,049百万円となった。収益認識基準変更の影響により期首利益剰余金が減少したほか、アイスタディの連結除外に伴う利益剰余金の減少が主因となっている。なお、資本金を3,451百万円から38百万円に減資し、欠損填補による財務基盤の安定化を図るとともに、一連の事業売却を踏まえた株主還元策として、自己株式の取得(100百万円)を実施した。
経営指標を見ると、事業の選択と集中を進めたことで自己資本比率が前期末の35.0%から43.2%に上昇、有利子負債比率は逆に103.1%から73.0%に低下するなど財務体質の改善が進んだことがうかがえる。今後は収益性についても向上することが見込まれており、財務体質の改善が続くものと予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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