エーバランス Research Memo(7):2020年6月期第2四半期累計業績は計画通りに進捗
[20/04/14]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2020年6月期第2四半期累計業績の概要
Abalance<3856>の2020年6月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比8.4%減の3,060百万円、営業利益で同43.4%減の212百万円、経常利益で同68.1%減の121百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同79.0%減の55百万円となった。
太陽光発電を主体とするグリーンエネルギー事業が売上及び営業利益ともに連結業績を牽引。現在は、発電所を継続して保有し、安定した売電収入を確保するストック型モデルへと事業構造を転換、まさに過渡期にある。こうした構造転換のタイミングでは、先行投資や発生費用の影響を受けるため、前年同期比では減収となったが、通期計画に対しては売上高・営業利益共に、当初計画通りに推移している。
海外事業展開については、ベトナムにおける太陽光パネル製造販売事業であるVSUN(Vietnam SunergyJoint Stock Company)について持分法適用の当期中の実行をすべく、現地監査法人ERNST&YOUNG(EY)に現地監査を依頼するなど準備を進めている。また、環境省がカンボジアにおいて実施する2019年度「二国間クレジット制度((Joint Crediting Mechanism : JCM))資金支援事業のうち設備補助事業」の案件公募に代表事業者として応募し、採択されたことを受け、WWBは本事業を推進する。
建機販売事業では国内建機販売のほか、海外事業としては、バングラデシュでのODA対象の道路等、SDGs推進に関連するインフラ整備への建機販売及びレンタル事業を推進、IT事業は2019年10月における会社分割によるAbit株式会社の新規設立のため初期費用が先行しているものの、下期からの業績寄与を見込んでいる。
通期計画に対する進捗率は、売上高で42.5%、営業利益で49.5%の水準と概ね計画どおりの進捗となっている。経常利益の進捗率は29.7%とやや低いものの、当期中のVSUN持分化が決まれば営業外損益で持分法化にともなう収益計上が可能となる見込みのため、経常利益に関しても会社計画の達成は可能と弊社では見ている。
各セグメントの状況は、以下の通りである。
(1) グリーンエネルギー事業
グリーンエネルギー事業の売上高は前年同期比4.3%減の2,904百万円、セグメント利益は同12.7%減の464百万円となった。ただ、利益率は16.0%と業界平均(約10%)を上回る水準を確保しており、引き続き安定した収益を稼いでいる。
太陽光発電所の販売については継続しつつも当初分譲計画に基づいた物件についても可能な限り自社保有にすべく低圧発電所も自社保有を進めるなど継続しつつ、発電所の自社保有に基づく売電収入を継続的に収受するストック型ビジネスへの構造転換を引き続き推進、すでに系統連系が完了し売電を開始した高梁第一太陽光発電所、勝間太陽光発電所等から売電収入を収受している。
福島大波太陽光発電所の整備を目的として、取引先金融機関から総額14億円の融資枠が組成されたことを受け、2021年6月の売電開始を目標に2020年3月から工事に着手する予定(初年度売電収入見込:約218百万円)。その他、建設中の大型発電所として宮城県角田市太陽光発電所があり、2021年3月の売電開始を目標に合同会社角田電燃開発への匿名組合出資を実施している(初年度売電収入見込:約750百万円)。
今後、メガソーラー発電所の稼働が相次ぐ見通しのため、連結売上高に占める売電収入の割合が上昇し利益貢献してくると見られる。また、O&M収入は連結売上高に占める割合は高くないが、セキュリティ対策やRPAシステムを通じた異常探知等の仕組みが評価されており、売電収入と合わせ同社の安定収益源として機能している。
海外事業においては、ベトナム、台湾、カンボジア等、東南アジア諸国の旺盛な電力需要に対してグリーンエネルギーを供給している。現地企業との合弁等により事業参画し、ホーチミン近辺に所在する工業団地内の工場屋根へのソーラーパネル設置、EGE (ECOBA RENEWABLE ENERGY SOLUTION JOINT STOCK COMPANY) の工場屋根へのソーラーパネルの設置事業等、グリーンエネルギー海外事業の先行投資として引き続き推進している。
(2) 建機販売事業
建機販売事業の売上高は前年同期比69.0%減の70百万円、セグメント損失は41百万円(前年同期は11百万円の損失)となった。第2四半期まではセグメント損失となっているが、下期からはODA向けの受注も企図しており業績の巻き直しが期待される。なお、東日本大震災の福島第一原発事故の発生時において、無償供与したSANY製大型ポンプ車(通称:大キリン)の交換部品を寄付している。事故発生当時に使われたポンプ車は複数台あるが、今でも現役で頑張っているのは大キリンのみということで、SANY製の品質・耐久性の高さが実証されている。
(3) IT事業
IT事業の売上高は前年同期比59.7%減の32百万円、セグメント損失は34百万円(前年同期は43百万円の利益)。これは、2019年10月に会社分割によりAbitを設立した際に要した初期費用や広告宣伝費などが増加した影響によるものである。2020年6月期は受注案件が下期に偏重していることから上期は低調な推移となったが、SDGsを志向する企業や自治体等からグリーンエネルギーやRE100への関心が高まっているため、グリーンエネルギー関連の受注も企図している。また、業務効率向上ツールの「Knowledge Market」やRPAツールの「Robowiser Framework」等も働き方改革に向けたソリューションとして受注獲得に取り組み、AI・IoT関連の受注により業績回復が期待される。
(4) その他の事業
2019年1月にWWBの子会社となった日本光触媒センターでは、売上高52百万円、セグメント損失1百万円を計上。2019年6月期下期の売上高は38百万円、セグメント損失が20百万円だったため、半期ベースでは収益の改善が進んでいる。直近では、新型コロナウイルスの感染症拡大により中国や日本などで同子会社のスプレー型光触媒抗菌・抗ウイルス液「ブロッキン」に関する問い合わせが急増している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
1. 2020年6月期第2四半期累計業績の概要
Abalance<3856>の2020年6月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比8.4%減の3,060百万円、営業利益で同43.4%減の212百万円、経常利益で同68.1%減の121百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同79.0%減の55百万円となった。
太陽光発電を主体とするグリーンエネルギー事業が売上及び営業利益ともに連結業績を牽引。現在は、発電所を継続して保有し、安定した売電収入を確保するストック型モデルへと事業構造を転換、まさに過渡期にある。こうした構造転換のタイミングでは、先行投資や発生費用の影響を受けるため、前年同期比では減収となったが、通期計画に対しては売上高・営業利益共に、当初計画通りに推移している。
海外事業展開については、ベトナムにおける太陽光パネル製造販売事業であるVSUN(Vietnam SunergyJoint Stock Company)について持分法適用の当期中の実行をすべく、現地監査法人ERNST&YOUNG(EY)に現地監査を依頼するなど準備を進めている。また、環境省がカンボジアにおいて実施する2019年度「二国間クレジット制度((Joint Crediting Mechanism : JCM))資金支援事業のうち設備補助事業」の案件公募に代表事業者として応募し、採択されたことを受け、WWBは本事業を推進する。
建機販売事業では国内建機販売のほか、海外事業としては、バングラデシュでのODA対象の道路等、SDGs推進に関連するインフラ整備への建機販売及びレンタル事業を推進、IT事業は2019年10月における会社分割によるAbit株式会社の新規設立のため初期費用が先行しているものの、下期からの業績寄与を見込んでいる。
通期計画に対する進捗率は、売上高で42.5%、営業利益で49.5%の水準と概ね計画どおりの進捗となっている。経常利益の進捗率は29.7%とやや低いものの、当期中のVSUN持分化が決まれば営業外損益で持分法化にともなう収益計上が可能となる見込みのため、経常利益に関しても会社計画の達成は可能と弊社では見ている。
各セグメントの状況は、以下の通りである。
(1) グリーンエネルギー事業
グリーンエネルギー事業の売上高は前年同期比4.3%減の2,904百万円、セグメント利益は同12.7%減の464百万円となった。ただ、利益率は16.0%と業界平均(約10%)を上回る水準を確保しており、引き続き安定した収益を稼いでいる。
太陽光発電所の販売については継続しつつも当初分譲計画に基づいた物件についても可能な限り自社保有にすべく低圧発電所も自社保有を進めるなど継続しつつ、発電所の自社保有に基づく売電収入を継続的に収受するストック型ビジネスへの構造転換を引き続き推進、すでに系統連系が完了し売電を開始した高梁第一太陽光発電所、勝間太陽光発電所等から売電収入を収受している。
福島大波太陽光発電所の整備を目的として、取引先金融機関から総額14億円の融資枠が組成されたことを受け、2021年6月の売電開始を目標に2020年3月から工事に着手する予定(初年度売電収入見込:約218百万円)。その他、建設中の大型発電所として宮城県角田市太陽光発電所があり、2021年3月の売電開始を目標に合同会社角田電燃開発への匿名組合出資を実施している(初年度売電収入見込:約750百万円)。
今後、メガソーラー発電所の稼働が相次ぐ見通しのため、連結売上高に占める売電収入の割合が上昇し利益貢献してくると見られる。また、O&M収入は連結売上高に占める割合は高くないが、セキュリティ対策やRPAシステムを通じた異常探知等の仕組みが評価されており、売電収入と合わせ同社の安定収益源として機能している。
海外事業においては、ベトナム、台湾、カンボジア等、東南アジア諸国の旺盛な電力需要に対してグリーンエネルギーを供給している。現地企業との合弁等により事業参画し、ホーチミン近辺に所在する工業団地内の工場屋根へのソーラーパネル設置、EGE (ECOBA RENEWABLE ENERGY SOLUTION JOINT STOCK COMPANY) の工場屋根へのソーラーパネルの設置事業等、グリーンエネルギー海外事業の先行投資として引き続き推進している。
(2) 建機販売事業
建機販売事業の売上高は前年同期比69.0%減の70百万円、セグメント損失は41百万円(前年同期は11百万円の損失)となった。第2四半期まではセグメント損失となっているが、下期からはODA向けの受注も企図しており業績の巻き直しが期待される。なお、東日本大震災の福島第一原発事故の発生時において、無償供与したSANY製大型ポンプ車(通称:大キリン)の交換部品を寄付している。事故発生当時に使われたポンプ車は複数台あるが、今でも現役で頑張っているのは大キリンのみということで、SANY製の品質・耐久性の高さが実証されている。
(3) IT事業
IT事業の売上高は前年同期比59.7%減の32百万円、セグメント損失は34百万円(前年同期は43百万円の利益)。これは、2019年10月に会社分割によりAbitを設立した際に要した初期費用や広告宣伝費などが増加した影響によるものである。2020年6月期は受注案件が下期に偏重していることから上期は低調な推移となったが、SDGsを志向する企業や自治体等からグリーンエネルギーやRE100への関心が高まっているため、グリーンエネルギー関連の受注も企図している。また、業務効率向上ツールの「Knowledge Market」やRPAツールの「Robowiser Framework」等も働き方改革に向けたソリューションとして受注獲得に取り組み、AI・IoT関連の受注により業績回復が期待される。
(4) その他の事業
2019年1月にWWBの子会社となった日本光触媒センターでは、売上高52百万円、セグメント損失1百万円を計上。2019年6月期下期の売上高は38百万円、セグメント損失が20百万円だったため、半期ベースでは収益の改善が進んでいる。直近では、新型コロナウイルスの感染症拡大により中国や日本などで同子会社のスプレー型光触媒抗菌・抗ウイルス液「ブロッキン」に関する問い合わせが急増している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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