Eギャランティ Research Memo(5):信用保証残高の積み上げが順調に進み、業績は上場来の増収増益を継続
[20/06/08]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2020年3月期の業績概要
イー・ギャランティ<8771>の2020年3月期の連結業績は、売上高が前期比6.9%増の5,956百万円、営業利益が同8.2%増の2,718百万円、経常利益が同7.8%増の2,751百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同39.3%増の2,301百万円と連続増収増益を達成した。信用保証残高についても前期末比で13.0%増の4,391億円に積み上がっている。
保証残高の積み上げ施策として、新規顧客の増加を図るべく提携先金融機関等の販売チャネルとの取り組みを強化するとともに、企業が行っている与信管理や債権回収などの業務効率化を提案するなどコンサルティング営業を展開したこと、FinTech関連企業との提携等により給与立替払いサービスを提供する企業など新たな分野の顧客が広がったこと、また、既存顧客向けに関しては10数名の専門チームを組織化して更改率の向上に取り組んだほか、オンラインでの追加申し込みを可能にするなど利便性の向上を図ったことなどが奏功した。さらには、3月に入ってからの新型コロナウイルス感染拡大を契機に、売掛債権の貸倒れリスクを懸念した既存顧客からの保証先の追加や保証枠の増額などの依頼が増えたことも保証残高の増加につながった。
会社計画比で見ると、売上高は平均保証料率が想定よりも若干低下したため、3.9%未達となったが、販管費比率を抑制できたことで、各利益に関しては計画を達成し、営業利益率も前期の45.1%から45.6%に上昇した。販管費の前期比での増加要因は、人件費及び地代家賃の増加となっている。なお、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比で大幅増益となっているのは、従業員持株会支援信託ESOP(以下、ESOP)の分配(損金算入)によって、法人税の負担が軽減されたことが要因となっている。
なお、2020年3月期におけるトピックスとしては、販売チャネル拡大の一環として、2019年6月にエイチ・アイ・エス<9603>の金融子会社であるH.I.F(株)と資本業務提携を締結し(出資比率は10%弱)、H.I.Fが展開する決済代行サービス等のFinTech関連サービスに対する信用リスクの受託を開始している。給与立て替え払いや工事業者の仕入代金立て替え払いサービスなどの信用リスクを受託している。同社はFinTech市場の普及拡大を見込み、同市場での信用リスク受託サービスに注力していく方針であったが、リスク度合いが高まっていることから現在は、慎重なスタンスで取り組んでいる。
また、2019年12月には大和ハウス工業(株)及びそのグループ会社となる(株)アッカ・インターナショナル(以下、アッカ)との業務提携を発表し、物流施設の入居者の在庫データを活用した新たな融資保証サービスを開始している。具体的には、大和ハウス工業の物流施設及びアッカの「ALIS」(ECデータ一元管理システム)を利用している企業の審査を行い、当該企業の委託に基づき融資保証をし、倒産等による焦げ付きが発生した際に、設定した支払限度額を上限に保証金を金融機関に支払うサービスとなる。物流施設の入居者の日々の在庫情報等からリスク度合いを判別し、債務不履行の保証を行う仕組みで、従来の金融システムとは異なるアプローチにより、物流施設の入居者向けに与信を供与することで、新たな融資ニーズに応え、顧客層の拡大につなげていく取り組みとなる。業績への影響は軽微なものの、顧客獲得に向けた販売チャネル拡大の一例となる。
2020年3月には新たに販売債権買取サービスも開始した。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、資金繰りが厳しくなると予想される既存顧客に対するオプションサービスで、支払期日が未到来の販売債権を同社の子会社または提携金融機関が買い取り、一時的な資金を供給するサービスである。ファクタリングサービスと仕組みはほぼ同じだが、買取手数料率が0.18%※とファクタリングサービスと比べて大幅に下回る水準で設定しているのが特徴となっている。また、同社の保証サービスを利用していない企業からの問い合わせも多いため、こうした企業にも対応する新商品「eG決済サービス」として提供していく。「eG決済サービス」の場合、手数料率は0.3〜3.5%(審査結果によって変動)となる。
※月末締め翌月末支払いの場合の手数料率で、支払い条件によって手数料率は異なる。一般的なファクタリングサービスの手数料率は最低でも1%台と言われている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2020年3月期の業績概要
イー・ギャランティ<8771>の2020年3月期の連結業績は、売上高が前期比6.9%増の5,956百万円、営業利益が同8.2%増の2,718百万円、経常利益が同7.8%増の2,751百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同39.3%増の2,301百万円と連続増収増益を達成した。信用保証残高についても前期末比で13.0%増の4,391億円に積み上がっている。
保証残高の積み上げ施策として、新規顧客の増加を図るべく提携先金融機関等の販売チャネルとの取り組みを強化するとともに、企業が行っている与信管理や債権回収などの業務効率化を提案するなどコンサルティング営業を展開したこと、FinTech関連企業との提携等により給与立替払いサービスを提供する企業など新たな分野の顧客が広がったこと、また、既存顧客向けに関しては10数名の専門チームを組織化して更改率の向上に取り組んだほか、オンラインでの追加申し込みを可能にするなど利便性の向上を図ったことなどが奏功した。さらには、3月に入ってからの新型コロナウイルス感染拡大を契機に、売掛債権の貸倒れリスクを懸念した既存顧客からの保証先の追加や保証枠の増額などの依頼が増えたことも保証残高の増加につながった。
会社計画比で見ると、売上高は平均保証料率が想定よりも若干低下したため、3.9%未達となったが、販管費比率を抑制できたことで、各利益に関しては計画を達成し、営業利益率も前期の45.1%から45.6%に上昇した。販管費の前期比での増加要因は、人件費及び地代家賃の増加となっている。なお、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比で大幅増益となっているのは、従業員持株会支援信託ESOP(以下、ESOP)の分配(損金算入)によって、法人税の負担が軽減されたことが要因となっている。
なお、2020年3月期におけるトピックスとしては、販売チャネル拡大の一環として、2019年6月にエイチ・アイ・エス<9603>の金融子会社であるH.I.F(株)と資本業務提携を締結し(出資比率は10%弱)、H.I.Fが展開する決済代行サービス等のFinTech関連サービスに対する信用リスクの受託を開始している。給与立て替え払いや工事業者の仕入代金立て替え払いサービスなどの信用リスクを受託している。同社はFinTech市場の普及拡大を見込み、同市場での信用リスク受託サービスに注力していく方針であったが、リスク度合いが高まっていることから現在は、慎重なスタンスで取り組んでいる。
また、2019年12月には大和ハウス工業(株)及びそのグループ会社となる(株)アッカ・インターナショナル(以下、アッカ)との業務提携を発表し、物流施設の入居者の在庫データを活用した新たな融資保証サービスを開始している。具体的には、大和ハウス工業の物流施設及びアッカの「ALIS」(ECデータ一元管理システム)を利用している企業の審査を行い、当該企業の委託に基づき融資保証をし、倒産等による焦げ付きが発生した際に、設定した支払限度額を上限に保証金を金融機関に支払うサービスとなる。物流施設の入居者の日々の在庫情報等からリスク度合いを判別し、債務不履行の保証を行う仕組みで、従来の金融システムとは異なるアプローチにより、物流施設の入居者向けに与信を供与することで、新たな融資ニーズに応え、顧客層の拡大につなげていく取り組みとなる。業績への影響は軽微なものの、顧客獲得に向けた販売チャネル拡大の一例となる。
2020年3月には新たに販売債権買取サービスも開始した。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、資金繰りが厳しくなると予想される既存顧客に対するオプションサービスで、支払期日が未到来の販売債権を同社の子会社または提携金融機関が買い取り、一時的な資金を供給するサービスである。ファクタリングサービスと仕組みはほぼ同じだが、買取手数料率が0.18%※とファクタリングサービスと比べて大幅に下回る水準で設定しているのが特徴となっている。また、同社の保証サービスを利用していない企業からの問い合わせも多いため、こうした企業にも対応する新商品「eG決済サービス」として提供していく。「eG決済サービス」の場合、手数料率は0.3〜3.5%(審査結果によって変動)となる。
※月末締め翌月末支払いの場合の手数料率で、支払い条件によって手数料率は異なる。一般的なファクタリングサービスの手数料率は最低でも1%台と言われている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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