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Eギャランティ Research Memo(8):ニーズの強い中小企業へのサービス提供に2021年3月期は注力する方針

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

2. 重点施策
イー・ギャランティ<8771>は2021年3月期の重点施策として、以下の3つの施策に取り組んでいく方針だ。

(1) リスクヘッジニーズの高まりに応えるための営業体制強化
新型コロナウイルス感染拡大によって、売上債権の貸倒れリスクをヘッジするニーズが急速に高まっていることを背景に、同社では今まで接触機会のなかった顧客へのアプローチと、過去接触を持った顧客への再アプローチを推進していくほか、新聞などへの広告出稿によりサービス認知度を高めていくことで、売掛債権保証サービスの利用企業の裾野を広げていく考えだ。とりわけ、中小企業においてニーズが高まっているとみており、顧客獲得を進めていく。

逆に、大企業向けのサービスとして前期まで保証残高の積み上げに寄与してきた、「与信管理業務を売掛債権保証サービスで代替するサービス」の受注活動は現在、積極的に行っていない。同社は現在の市場環境は、日本経済の屋台骨を支える中小企業にとって危機的な状況にあるとの認識であり、中小企業を支えることが最も重要であると考えている。

ニーズのあるサービスについてもタイムリーに開発し、提供していく方針だ。2020年3月にリリースした販売債権買取サービスもその一例となる。3月以降、同社にサービスの問い合わせや相談などが多く寄せられているが、同社のスタンスとして、まずは政府や自治体が発表している公的な助成金制度、無利子の融資制度などの活用を提案しており、その次に取引先との支払い期日の延長協議、それでも資金繰りが厳しい場合に販売債権買取サービスを提供している。同社にとって、販売債権買取サービスは収益拡大施策ではなく、既存顧客の経営をサポートする支援サービスの位置づけとなっている。

そのほか、2020年3月期より既存顧客向けにオンライン上で、企業の審査・申し込み・請求書発行まで完結できるサービスを開始しているが、これはテレワーク体制下においても有効なサービスであり、同サービスの提案を推進していくことで、売掛債権保証サービスの利用率向上を図っていく。新規顧客向けに関しては、初回契約の際に確認が必要となる書類が多いことからオンライン完結型のサービスは提供しておらず、今後の課題となっている。

(2) 引き受け企業のリスク評価見直し
新型コロナウイルス感染症がもたらす今後の景気への影響を考慮し、各保証先のリスク評価を見直し、保証枠の再設定を行うほか、顧客に提示する保証料率に関してもリスク評価の見直しを反映する予定にしている。また、既存顧客に対しては、上記の見直しを反映した保証料率を設定しながら、保証限度額は顧客の希望金額に応えられるようリスク状況に応じて提案を行い、更改率の向上を目指していく。こうした企業のリスク評価を充実させるため、企業調査にかける人員を増強し、審査時により詳細な情報を取得する取り組みも進めていく方針だ。

(3) 情報収集の拡大及び情報を活用した新サービスの基盤づくり
現在、月間で約2.5万社の企業調査、取引情報や支払情報など各種の情報登録に関して、1日当たり約50万項目を登録しているが、顧客数の拡大によりこの情報量を一気に拡大していく。加えて、より多くの情報が集まる仕組みづくりを導入し、情報収集体制の強化を図る。例えば、営業スタッフの評価項目として、販売契約件数だけでなく新たに情報収集量も追加した。また、将来はこれらの情報を活用した新たなサービスの提供を視野に入れており、その基盤づくりを進めていく予定となっている。新サービスについてはまだ具体的には決まっていないものの、EC分野における仕入・販売に関連したサービスなどが想定される。


中期経営目標となる連結経常利益50億円は通過点で、長期的な成長ポテンシャルは大きい
3. 中期見通し
同社は中期の経営数値目標として、連結経常利益50億円をターゲットとしている。これを達成するためには、保証残高で現在の2倍弱の規模となる7,000〜8,000億円が目安となる。今期は20%台の伸びが期待されるものの、仮に昨年度までの水準である10%台前半のペースで成長が続けば、2024年3月期には射程圏に入ってくると見られる。

保証残高を拡大していくに当たって、2021年3月期は前述したとおり、景気悪化によりニーズが高まっている中小企業へのサービス提供に注力していく方針で、既存顧客における保証額の増額についてもオンラインサービスの提供も含めて推進していく。保証残高の積み上げは可能と見られ、引き続き業務提携による販売チャネルの拡大にも取り組んでいく。

今回の新型コロナウイルス感染拡大によって、改めて事業継続リスクや財務リスクが見直されることとなり、信用リスク保証サービスの注目度も今まで以上に高まるものと予想される。一方で、まだ競合する企業は少ないのが現状であり、また、前述したように企業のリスク評価を適正に行うための情報収集力が競争力の源泉となるサービスだけに、先行して膨大な信用情報を蓄積、評価するシステムを構築した同社の先行者メリットは大きく、経常利益50億円の目標も通過点であり、長期的に安定成長を続けていくものと弊社では予想している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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