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テラスカイ Research Memo(1):クラウドシフトの流れは変わらず、業績は中期的に高成長が予想される

注目トピックス 日本株
■要約

テラスカイ<3915>は、クラウドシステムの開発・導入支援を行うクラウド・インテグレーターで、Salesforceを中心に導入件数は4,500件を超える。クラウドシステムの開発支援ツールやグループウェアサービス「mitoco」などの自社開発品の販売も行っているほか、子会社の(株)BeeX(ビーエックス)では、Amazon Web Services(以下、AWS)の導入支援、及びSAPシステムのクラウド移行支援などを展開している。

1. 2020年2月期の業績概要
2020年2月期の連結業績は、売上高で前期比41.8%増の9,300百万円、営業利益で同477.7%増の725百万円と大幅増収増益となった。企業のデジタルトランスフォーメーションに対する取り組みが活発化するなか、SalesforceやAWSなどのクラウドサービスを導入する企業が増加していることが背景にある。クラウドシステムの開発・導入支援案件の受注拡大に加えて、Salesforceなどのクラウドサービスと他システムとのデータ連携をスムーズに行える「DataSpider Cloud」の売上げが急増したことが要因だ。積極的な人材採用により人件費が増加したものの増収効果で吸収し、営業利益率も前期の1.9%から7.8%と大きく上昇した。

2. 2021年2月期の業績見通し
2021年2月期の連結業績は、売上高で前期比15.4%増の10,728百万円、営業利益で同28.2%減の520百万円を見込む。同計画には新型コロナウイルスの影響については織り込んでいないものの、今後感染拡大の影響が一段と深刻なものとならない限りは達成可能な水準であり、人員採用が順調に進めば上積みできる可能性もあると弊社では見ている。企業のIT投資が冷え込んだとしても、業務効率向上につながるクラウドシステムへの移行の流れは変わらず、また、同社の顧客ターゲットは大企業が中心で、投資計画が先送りになるリスクも低いと考えられるためだ。子会社のBeeXで手掛けるSAPシステムのクラウド移行支援についても、既存システムのサポートが2027年で終了することから、旺盛な引き合いが続いている。こうしたことから、同社は新型コロナウイルスによるマイナスの影響よりも、これら需要に対応するための人員体制の強化がより重要と捉えている。2021年2月期が減益計画となっているのも、積極的な人員採用による人件費や教育費の増加が要因だが、高成長を実現するための先行投資と位置付けている。なお、同社は4月30日付で親会社株主に帰属する当期純利益について、期初計画の222百万円から2,170百万円(前期実績は880百万円)に上方修正した。保有上場株式についてその一部を売却し、特別利益2,806百万円を計上する見込みとなったことによる。

3. 成長戦略
調査会社によれば、国内のパブリック・クラウドサービス市場は、2024年まで年平均20%弱の高成長が予測されている。こうした市場環境下で、同社グループは高い技術力と豊富な導入実績を強みに、Salesforce及びAWSなど主要クラウドシステムの導入支援と自社開発サービスの拡販により中期的に年率30%の売上成長を目指していく。また、新規事業として、量子コンピュータで使用するアルゴリズムの開発や、クラウド関連のスタートアップ企業を対象とした投資・育成、東南アジア市場におけるクラウドシステム導入支援を2019年に新設した子会社で開始している。当面は投資フェーズとなるが、将来的に収益に貢献するものと期待される。

■Key Points
・デジタルトランスフォーメーションの取り組みが活発化するなか、クラウドサービス市場は年率20%弱の高成長が続く見通し
・2021年2月期は積極的な人材採用など先行投資の継続により増収減益を計画
・クラウドファーストを追い風として、SIと自社サービス拡販により年率30%の売上成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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