キャリアリンク Research Memo(6):2021年2月期は先行投資の実行により増収減益を見込む
[20/06/15]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2021年2月期の業績見通し
キャリアリンク<6070>の2021年2月期の連結業績は、売上高で前期比9.6%増の23,132百万円、営業利益で同15.5%減の585百万円、経常利益で同15.4%減の583百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同23.6%減の402百万円と増収減益を見込んでいる。新型コロナウイルスの感染拡大の影響等により先行きの見通しが不透明な状況ではあるものの、事務系人材サービス事業及び食品加工業者向け派遣需要の拡大により、売上高は増収基調が続く見通しだ。
一方、利益面では増収に伴う売上総利益の増加が見込めるものの、大型請負案件を中心に受注拡大を推進していくため、営業中核人材及びシステム開発要員の拡充を進めていくほか、受注案件の運用のための優秀スタッフの募集強化並びにシステム投資を積極的に実施する計画となっており、これら先行投資費用の増加が減益要因となる。営業中核人材やシステム開発要員については数十人規模で増員する予定となっており、販管費率が前期の15.6%から16.5%に上昇するのも、これら先行投資費用の増加によるものとなっている。なお、こうした大型請負案件については契約期間が1年のものが大半のため、売上計上時期も2022年3月期に入ってからとなる。
事務系人材サービスと製造系人材サービスで2ケタ増収を見込む
2. 事業別売上見通しと営業戦略
(1) 事務系人材サービス事業
事務系人材サービス事業の売上高は前期比11.6%増の17,498百万円を見込む。消費税増税に関連したスポット案件はなくなるものの、マイナンバーカード関連業務や自治体の窓口業務などの拡大が見込まれる。
マイナンバー制度については行政の効率化や国民の利便性向上などを目的に2015年度より導入されたが、マイナンバーカードの普及率は2020年1月時点で約15%、交付枚数で約1,900万枚にとどまっている。普及拡大に向けた施策として、マイナンバーカード所有者に対して、キャッシュレス決済により買い物をした場合にポイントを付与する「マイナポイント」事業を2020年9月から開始したほか、2021年3月からは健康保険証として利用できるようにするなどの施策を打ち出している。総務省ではこれらの取り組みによって、2021年3月までにマイナンバーカードの普及率が約50%、交付枚数で6,000万〜7,000万枚に拡大すると想定し、カード申請・交付業務の増大に対応するための予算(臨時職員の人件費等)を、2020年度に610億円と前年度の約10倍に増額した。同社はマイナンバーカード関連業務について、2016年2月期以降、複数のクライアントより受注を獲得した実績がある。
また、証券会社などの金融業界向けについても前期に引き続き拡大が見込まれる。新型コロナウイルスの感染拡大で3月に株式市場が大幅調整したことで新規口座開設者が増加しており、業務量が拡大していると見られるためだ。
内部的な取り組みとしては、大型請負案件の受注拡大を目指して、受注ノウハウや品質管理の高度化を中心に競合他社との明確な優位性を確立すべく、人材投資を積極的に推進していく。また、従業員のキャリアアップとスキル向上に取り組むことで、従業員の満足度向上と自律的・継続的な成長が期待できる組織作りを構築していくほか、就業スタッフに対して適性に合わせた就業先を提案するための、キャリアカウンセリング(スタッフ面談)能力の向上を図っていく。例えば、証券外務員の資格取得をすすめることで、高単価の案件が紹介可能となる。また、子会社のJBSに関しては、金融分野における強みを生かして成長に向けた事業基盤の確立を目指していく。
(2) 製造系人材サービス事業
製造系人材サービス事業の売上高は前期比10.6%増の3,532百万円を見込む。輸送用機器や電子機器など製造加工業向けは若干の減少となるものの、需要が旺盛な食品加工業向けの拡大でカバーしていく方針だ。外国人労働者を主体としてメインビジネスを拡大するため、外国人労働者チーム派遣の品質向上に取り組むほか、営業エリアの拡大を進めていく。また、スタッフ情報の蓄積・分析を強化して、人材開発力の強化も図っていく。
キャリアリンクファクトリーでは、就業スタッフ(1,500〜1,600人)のうち外国人スタッフ(留学生や定住者)の比率が2020年2月期末で前期末より10%以上上昇している。2021年2月期は新型コロナウイルス感染拡大の影響で留学生が減少する可能性があるものの、定住者の採用増でカバーしていく方針だ。
(3) 営業系人材サービス事業
営業系人材サービス事業の売上高は前期比8.1%減の1,789百万円となる見通し。キャッシュレス決済関連受託業務において、人手不足による業務量の減少を見込んでいる。一方で、持続的な収益基盤を確立するために、キャッシュレス決済以外の新規分野の開拓を進めていく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2021年2月期の業績見通し
キャリアリンク<6070>の2021年2月期の連結業績は、売上高で前期比9.6%増の23,132百万円、営業利益で同15.5%減の585百万円、経常利益で同15.4%減の583百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同23.6%減の402百万円と増収減益を見込んでいる。新型コロナウイルスの感染拡大の影響等により先行きの見通しが不透明な状況ではあるものの、事務系人材サービス事業及び食品加工業者向け派遣需要の拡大により、売上高は増収基調が続く見通しだ。
一方、利益面では増収に伴う売上総利益の増加が見込めるものの、大型請負案件を中心に受注拡大を推進していくため、営業中核人材及びシステム開発要員の拡充を進めていくほか、受注案件の運用のための優秀スタッフの募集強化並びにシステム投資を積極的に実施する計画となっており、これら先行投資費用の増加が減益要因となる。営業中核人材やシステム開発要員については数十人規模で増員する予定となっており、販管費率が前期の15.6%から16.5%に上昇するのも、これら先行投資費用の増加によるものとなっている。なお、こうした大型請負案件については契約期間が1年のものが大半のため、売上計上時期も2022年3月期に入ってからとなる。
事務系人材サービスと製造系人材サービスで2ケタ増収を見込む
2. 事業別売上見通しと営業戦略
(1) 事務系人材サービス事業
事務系人材サービス事業の売上高は前期比11.6%増の17,498百万円を見込む。消費税増税に関連したスポット案件はなくなるものの、マイナンバーカード関連業務や自治体の窓口業務などの拡大が見込まれる。
マイナンバー制度については行政の効率化や国民の利便性向上などを目的に2015年度より導入されたが、マイナンバーカードの普及率は2020年1月時点で約15%、交付枚数で約1,900万枚にとどまっている。普及拡大に向けた施策として、マイナンバーカード所有者に対して、キャッシュレス決済により買い物をした場合にポイントを付与する「マイナポイント」事業を2020年9月から開始したほか、2021年3月からは健康保険証として利用できるようにするなどの施策を打ち出している。総務省ではこれらの取り組みによって、2021年3月までにマイナンバーカードの普及率が約50%、交付枚数で6,000万〜7,000万枚に拡大すると想定し、カード申請・交付業務の増大に対応するための予算(臨時職員の人件費等)を、2020年度に610億円と前年度の約10倍に増額した。同社はマイナンバーカード関連業務について、2016年2月期以降、複数のクライアントより受注を獲得した実績がある。
また、証券会社などの金融業界向けについても前期に引き続き拡大が見込まれる。新型コロナウイルスの感染拡大で3月に株式市場が大幅調整したことで新規口座開設者が増加しており、業務量が拡大していると見られるためだ。
内部的な取り組みとしては、大型請負案件の受注拡大を目指して、受注ノウハウや品質管理の高度化を中心に競合他社との明確な優位性を確立すべく、人材投資を積極的に推進していく。また、従業員のキャリアアップとスキル向上に取り組むことで、従業員の満足度向上と自律的・継続的な成長が期待できる組織作りを構築していくほか、就業スタッフに対して適性に合わせた就業先を提案するための、キャリアカウンセリング(スタッフ面談)能力の向上を図っていく。例えば、証券外務員の資格取得をすすめることで、高単価の案件が紹介可能となる。また、子会社のJBSに関しては、金融分野における強みを生かして成長に向けた事業基盤の確立を目指していく。
(2) 製造系人材サービス事業
製造系人材サービス事業の売上高は前期比10.6%増の3,532百万円を見込む。輸送用機器や電子機器など製造加工業向けは若干の減少となるものの、需要が旺盛な食品加工業向けの拡大でカバーしていく方針だ。外国人労働者を主体としてメインビジネスを拡大するため、外国人労働者チーム派遣の品質向上に取り組むほか、営業エリアの拡大を進めていく。また、スタッフ情報の蓄積・分析を強化して、人材開発力の強化も図っていく。
キャリアリンクファクトリーでは、就業スタッフ(1,500〜1,600人)のうち外国人スタッフ(留学生や定住者)の比率が2020年2月期末で前期末より10%以上上昇している。2021年2月期は新型コロナウイルス感染拡大の影響で留学生が減少する可能性があるものの、定住者の採用増でカバーしていく方針だ。
(3) 営業系人材サービス事業
営業系人材サービス事業の売上高は前期比8.1%減の1,789百万円となる見通し。キャッシュレス決済関連受託業務において、人手不足による業務量の減少を見込んでいる。一方で、持続的な収益基盤を確立するために、キャッシュレス決済以外の新規分野の開拓を進めていく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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