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ネットイヤ Research Memo(2):デジタルマーケティング支援事業を展開、2019年にNTTデータグループ入り

注目トピックス 日本株
■事業概要

1. 会社概要
ネットイヤーグループ<3622>は、「ビジネスの未来をデジタルで創る、ビジネスの未来をユーザーと創る。ユーザーエクスペリエンスからすべてが始まる。」をグループビジョンとして、企業や地域に対しデジタル時代に求められる変革を支援する事業を展開している。具体的には、デジタルマーケティング施策の立案、理想のCXを実現するためのオウンドメディアの開発や各種マーケティングツールの販売・導入支援、運用等を行っている。

会社設立は1999年で、2008年に東証マザーズ市場に株式上場した。2019年2月にNTTデータと資本業務提携を発表し、株式の公開買い付けを経て同年3月にNTTデータが同社株式の48.5%を保有する筆頭株主となっている。また、グループ子会社に、ソーシャルメディアを活用したマーケティング支援、分析・コンサルティングを行うトライバルメディアハウス(2009年に子会社化、出資比率92.5%)がある。


理想のCX(顧客体験)を実現するデザイン設計力に強みを持つ
2. 事業内容
同社が事業領域とするデジタルマーケティングとは、企業活動においてオウンドメディア(自社Webサイト)を中心に、既存メディアや営業、コールセンター、店舗などと連携させるマーケティング手法を指す。企業や自治体などのクライアントに対して、新たなデジタルマーケティング戦略を提案・実践していくことで、クライアントが目標とするブランド価値の向上や売上成長、業務変革の推進などの成果を導き出すサービスとなる。

デジタルマーケティング領域は、広告手法と顧客が接触するメディアによって4つに分類されている。ネット広告を掲載する「ペイドメディア(Paid Media)」、インフルエンサーマーケティング等を行う「アーンドメディア(Earned Media)」、消費者が口コミ投稿を行う「シェアードメディア(Shared Media)」、自社Webサイト上で各種広告施策を行う「オウンドメディア(Owned Media)」で、同社はこのうち「オウンドメディア」を使ったデジタルマーケティング施策の立案・開発・運用などを行っている。また、子会社のトライバルメディアハウスは「シェアードメディア」領域で主にtwitterを活用したプロモーション支援を展開している。

同社の強みは、創業から約20年にわたり、CXデザインという考え方をもとにプロジェクトに取り組んできたことで、理想のCXを実現するための引き出しを多く持っていることにある(=高いコンサルティング力)。CXとは直訳すると顧客体験のことだが、ここでは「オウンドメディア上に訪問した利用者がサイト上で体験すること、また体験して興味・関心を持ってもらうこと」を指し、CXを高めることで、商品の購入につなげる、あるいはその企業のファンになってもらうことが最終的な目標となる。

PCやスマートフォンの普及により、必要な情報を場所や時間を選ばずインターネットを通じて容易に入手できるようになったことで、消費者がデジタルメディアに接触する時間の割合は2008年の24.1%から2018年には50.4%と全メディアの過半数を占めるまでに成長しており、顧客接点となる自社WebサイトのCXを高めていくことが、企業がマーケティング戦略やブランド戦略を進めるうえで、今まで以上に重要となっている。

CXを効果的に高めていく方法は、クライアントの事業内容によって異なるため、案件ごとに要件定義を設定するカスタムプロジェクトとなる。一般的に開発期間は3ヶ月程度、長いもので1年程度となる。システム開発部分に関しては大半を外注で賄っている。また、受注単価も案件によって様々だが、最近では「データ分析」を取り入れたマーケティング手法の活用、あるいは顧客企業の別の部門(営業部門や情報システム部門等)とのシステム連携などが求められるなど、プロジェクトが複雑化かつ大型化する傾向にある。また、デジタル情報があふれるなかで、企業のメッセージが消費者に届きにくくなっていることから、理想のCXを実現するためのデザインの重要性が従前よりも増しており、同社の強みが発揮できる環境になっていると言える。一方、同社の課題であったシステム開発力についても、NTTデータと協業することによって解消されつつあり、成長に向けての基盤が整ったと言える。

カスタムプロジェクトの導入支援以外では、自社及び他社開発プロダクトの販売にも注力している。トライバルメディアハウスのソーシャルメディア統合管理ツール「Engage Manager」のほか、第三者の製品ラインアップとしてSalesforce.comのMA(Marketing Automation)ツールや、Google、Adobeのアクセス解析ツールなどの販売・導入支援も行っている。最近ではカスタムプロジェクトで開発したシステムとMAツール等の他社製品を組み合わせて導入するといったニーズも増えている。

また、新規サービスとして、2019年 7月にビジネス視点・UX視点・データ視点からアプローチするデジタル施策における「KPI設計支援サービス」※の提供を開始したほか、同年9月には企業内の異なる事業・組織を横断したイノベーション活動を支援する「イノベーション・デザインサービス」の提供を開始するなど、カスタマーサクセス実現のためのサービスを強化し、顧客企業の成長が同社の売上増につながる取り組みを推進している。

※ビジネス視点からWebサイト自体の存在意義を問い直し、そこから落とし込まれたKGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)と、その達成要素となるKSF(Key Success Factor/重要成功要因)をUX視点から定義した上で、データ視点で抽出可能なデータからKPI(Key Performance Indicator/主要業績指標)を洗い出すことが大きな特長となっている。


なお、クライアントの業種は、小売業や製造業、金融業、情報通信サービス業など幅広い業界にわたっていることに加え、顧客規模も日本を代表する大企業が多く、2020年3月期の取引社数は単独ベースで約110社となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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