アドクリ Research Memo(3):国内最大級の保険選びサイト「保険市場」を運営する独立系保険代理店の大手(2)
[20/06/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■アドバンスクリエイト<8798>の事業概要
(3) メディア事業
メディア事業は、保険選びサイト「保険市場」を広告媒体とした広告枠の販売が主な収入源となっている。保険選びサイトという特性上、保険への関心が高い顧客層に直接アプローチできるため、広告主も保険会社や保険代理店が大半で広告単価も上昇傾向にある。また、2〜3年前より自社で蓄積してきた広告運用業務のノウハウを用いて、保険会社向けにSEO対策を中心とした広告運用を受託するメディアレップ事業にも注力している。保険会社からは費用対効果の面で高い評価を受けており、2020年4月にはヤフー(株)が運営するYahoo!マーケティングソリューション パートナープログラム※において保険専業広告代理店として初の「Yahoo!マーケティングソリューション ★★パートナー」にも選ばれており、顧客数、取引額ともに年々増加傾向にある。
※Yahoo!マーケティングソリューション パートナープログラムとは、Yahoo!マーケティングソリューション パートナーの中で、Yahoo! JAPANの広告商品・サービスを総合的に活用し、優れた実績のあるパートナーに対して、星ごとにパートナー認定し、実績に応じて★6段階で認定している。
(4) 再保険事業
再保険事業は、同社が保険代理店として獲得した保険契約の一部について、元受保険会社と同社の子会社であるAdvance Create Reinsurance Inc.との間で再保険契約を結ぶスキームとなっている。主に生命保険の再保険を中心に引き受けており、2020年3月末時点の契約先企業は11社(生命保険8社、損害保険2社、少額短期保険1社)となっている。ストック型のビジネスモデルであるため、期初段階でほぼ年間の収入見通しが把握可能であることが特徴で、大規模自然災害や環境の変化によって保険会社の保険金支払い額が大きく増えない限りは、営業利益率で15%前後の高収益性と安定性が期待できる事業となる。
2. 同社の強み
同社の最大の強みは保険選びサイト「保険市場」が、保険契約の見込み顧客獲得ツールとして圧倒的な集客力を誇っていることにある。Webサイトへのアクセス件数が多いほど、資料の請求件数や問い合わせが増えることになり、結果的に保険商品の契約数増加につながるためだ。
「保険市場」の月間ユニークユーザー数は100万件を超えている。高いアクセス数を誇る背景としては、取扱商品数が多いことは言うまでもなく、日々進化するIT技術に対応して利便性の高いサイトづくりに継続的に取り組んでいることが挙げられる。また、単なる保険比較サイトではなく、著名人のコラムや業界ニュースなど多彩なコンテンツを取りそろえ、情報メディアサイトとしての位置付けを確立したことで、金融リテラシーの高いアッパーミドル層からのアクセス率が高いことも特長となっている。集客力の高いWebサイトを維持していくために、同社は社内にシステムエンジニアを100名ほど抱えている。「保険市場」サイトの日々の更新やリニューアル、顧客管理システム等の開発も含めて、すべて自社で完結できる体制を整えていることも強みと言えるだろう。
また、同サイトを通じて寄せられる様々な問い合わせや資料請求などに対して、迅速に対応するデジタルコミュニケーション開発部やロジスティック部門を社内で抱えていることも同社の特長であり強みとなる。デジタルコミュニケーション開発部は従来、コールセンターと呼んでいたが、SNSやSMS、チャットボットなどデジタルコミュニケーションツールを業界に先駆して導入し、積極的に活用していることからデジタルコミュニケーション開発部に改称している。最近の傾向として電話をかけても受話率が低く、コンタクトを取るのが難しくなっているが、同社はSNSやSMSを上手く活用することでこうした課題を解消しており、コンタクトセンターのIT化で先行していることも強みと言える。
保険業界の中ではコンタクトセンターについて外注を使う企業が多いが、同社はインバウンド対応など重要業務については自社の社員で対応している。問い合わせ件数の増加により、2017年以降は派遣社員の受入れを開始したが、すべての社員が保険販売に関する研修を1ヶ月間受け、資格を取ったうえで現場に配属されるため、保険商品に対する知識も豊富で顧客からの高い評価につながっている。また、同社は契約社員制度を導入しており、派遣社員のうち1年以上の勤務経験があり、かつ能力の高い社員については契約社員として改めて採用するケースもある。2020年3月末時点のデジタルコミュニケーション開発部の人員は110名程度で、うち正社員(契約社員含む)比率は約4割となっている。
ロジスティック部門についても、各種資料の配送だけでなく、送られて来た申込用紙の不備チェックや返送作業などを、迅速かつ高い品質で処理している。特に、申込用紙の記入不備補完率は95%以上と業界の中でも極めて高い数字となっており、保険会社からの高い評価につながっている。なお、デジタルコミュニケーション開発部やロジスティック部門については、提携代理店側から見れば同社にアウトソーシング(BPOサービス)する格好となっており、顧客情報のデータ連携システムの提供も含めて、提携代理店から一定の対価を得ている。ここで言う顧客情報のデータ連携システムとは、ASP事業で提供している「御用聞き」とは異なり基本的な顧客情報のみの連携システムとなる。
このように、Webサイトによる集客からデジタルコミュニケーション開発部での顧客対応、ロジスティック部門に至るまで、すべての工程を自社のリソースで手掛けている企業はほかになく、各工程で品質の高いサービスを提供していることが同社の強みとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(3) メディア事業
メディア事業は、保険選びサイト「保険市場」を広告媒体とした広告枠の販売が主な収入源となっている。保険選びサイトという特性上、保険への関心が高い顧客層に直接アプローチできるため、広告主も保険会社や保険代理店が大半で広告単価も上昇傾向にある。また、2〜3年前より自社で蓄積してきた広告運用業務のノウハウを用いて、保険会社向けにSEO対策を中心とした広告運用を受託するメディアレップ事業にも注力している。保険会社からは費用対効果の面で高い評価を受けており、2020年4月にはヤフー(株)が運営するYahoo!マーケティングソリューション パートナープログラム※において保険専業広告代理店として初の「Yahoo!マーケティングソリューション ★★パートナー」にも選ばれており、顧客数、取引額ともに年々増加傾向にある。
※Yahoo!マーケティングソリューション パートナープログラムとは、Yahoo!マーケティングソリューション パートナーの中で、Yahoo! JAPANの広告商品・サービスを総合的に活用し、優れた実績のあるパートナーに対して、星ごとにパートナー認定し、実績に応じて★6段階で認定している。
(4) 再保険事業
再保険事業は、同社が保険代理店として獲得した保険契約の一部について、元受保険会社と同社の子会社であるAdvance Create Reinsurance Inc.との間で再保険契約を結ぶスキームとなっている。主に生命保険の再保険を中心に引き受けており、2020年3月末時点の契約先企業は11社(生命保険8社、損害保険2社、少額短期保険1社)となっている。ストック型のビジネスモデルであるため、期初段階でほぼ年間の収入見通しが把握可能であることが特徴で、大規模自然災害や環境の変化によって保険会社の保険金支払い額が大きく増えない限りは、営業利益率で15%前後の高収益性と安定性が期待できる事業となる。
2. 同社の強み
同社の最大の強みは保険選びサイト「保険市場」が、保険契約の見込み顧客獲得ツールとして圧倒的な集客力を誇っていることにある。Webサイトへのアクセス件数が多いほど、資料の請求件数や問い合わせが増えることになり、結果的に保険商品の契約数増加につながるためだ。
「保険市場」の月間ユニークユーザー数は100万件を超えている。高いアクセス数を誇る背景としては、取扱商品数が多いことは言うまでもなく、日々進化するIT技術に対応して利便性の高いサイトづくりに継続的に取り組んでいることが挙げられる。また、単なる保険比較サイトではなく、著名人のコラムや業界ニュースなど多彩なコンテンツを取りそろえ、情報メディアサイトとしての位置付けを確立したことで、金融リテラシーの高いアッパーミドル層からのアクセス率が高いことも特長となっている。集客力の高いWebサイトを維持していくために、同社は社内にシステムエンジニアを100名ほど抱えている。「保険市場」サイトの日々の更新やリニューアル、顧客管理システム等の開発も含めて、すべて自社で完結できる体制を整えていることも強みと言えるだろう。
また、同サイトを通じて寄せられる様々な問い合わせや資料請求などに対して、迅速に対応するデジタルコミュニケーション開発部やロジスティック部門を社内で抱えていることも同社の特長であり強みとなる。デジタルコミュニケーション開発部は従来、コールセンターと呼んでいたが、SNSやSMS、チャットボットなどデジタルコミュニケーションツールを業界に先駆して導入し、積極的に活用していることからデジタルコミュニケーション開発部に改称している。最近の傾向として電話をかけても受話率が低く、コンタクトを取るのが難しくなっているが、同社はSNSやSMSを上手く活用することでこうした課題を解消しており、コンタクトセンターのIT化で先行していることも強みと言える。
保険業界の中ではコンタクトセンターについて外注を使う企業が多いが、同社はインバウンド対応など重要業務については自社の社員で対応している。問い合わせ件数の増加により、2017年以降は派遣社員の受入れを開始したが、すべての社員が保険販売に関する研修を1ヶ月間受け、資格を取ったうえで現場に配属されるため、保険商品に対する知識も豊富で顧客からの高い評価につながっている。また、同社は契約社員制度を導入しており、派遣社員のうち1年以上の勤務経験があり、かつ能力の高い社員については契約社員として改めて採用するケースもある。2020年3月末時点のデジタルコミュニケーション開発部の人員は110名程度で、うち正社員(契約社員含む)比率は約4割となっている。
ロジスティック部門についても、各種資料の配送だけでなく、送られて来た申込用紙の不備チェックや返送作業などを、迅速かつ高い品質で処理している。特に、申込用紙の記入不備補完率は95%以上と業界の中でも極めて高い数字となっており、保険会社からの高い評価につながっている。なお、デジタルコミュニケーション開発部やロジスティック部門については、提携代理店側から見れば同社にアウトソーシング(BPOサービス)する格好となっており、顧客情報のデータ連携システムの提供も含めて、提携代理店から一定の対価を得ている。ここで言う顧客情報のデータ連携システムとは、ASP事業で提供している「御用聞き」とは異なり基本的な顧客情報のみの連携システムとなる。
このように、Webサイトによる集客からデジタルコミュニケーション開発部での顧客対応、ロジスティック部門に至るまで、すべての工程を自社のリソースで手掛けている企業はほかになく、各工程で品質の高いサービスを提供していることが同社の強みとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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